第215話 魔導スライムに変化

 レギオンの授業があった日の夜。


 セシリアから【魔導スライム】に変化が起きたと連絡が来た。


「マスター、【魔導スライム】全てが突然姿を変えました。」


「姿を変えた? スライム状からどうなったの?」


【魔導スライム】は核となる【虹結晶】の周りに各属の色をしたプヨプヨしたものが付いた感じだったんだけど、どう変化したんだろうか?


「見た方が早いのですが、室内だとうるさいので外に行っても大丈夫ですか?」


「うるさいの? 【魔導スライム】には意志がないから鳴きもしない筈では……。」


 とりあえず、セシリアの言う通りに学生寮から少し離れた公園へ行くことにした。




 ☆



 公園についてからセシリアが【魔導スライム】を取り出したのだが、言われた通り見た目が変化していた。


「キュー!」

「キュー!」

「キュー!」

「キュー!」


 ぷよぷよしていた【魔導スライム】の半透明な見た目が、各属性の色をしたペンギンの形をしていた。


 サイズ的には30cm位で、見た目はフェアリーペンギンに似ている気がする……。


 キューキュー鳴きながらぎこちなく歩いている姿は可愛いな。


「セシリア、これはどういう事?」


「原因はハッキリしませんが、【魔導スライム】を使った戦闘訓練をしていたら突然変化を始めたのです。」


「進化したって事なのかな。」


 セシリアも日々周囲の【魔素】を吸収して強くなっているから、同じ【虹結晶】である【魔導スライム】も進化したりするのはあるかもしれないな。


「進化と言えば進化かもしれませんが、今まで以上に勝手に動くので扱いが大変になりましたね。」


「あっ、もしかして自我に目覚めた?」


「まだハッキリとはしませんね。 独自には動きますが考えて動いているかは分かりません。 今まで通りに操れば変わりなく動きますが……」


「なるほどね。 でも変化があるのは良いことだよ。 引き続き【魔導スライム】をよろしくね。」


「分かりました。 また変化があれば報告します。」


「しかし、可愛いな……。 寮内で飼えないかな。」


「この鳴き声さえ外部に漏れなければ大丈夫じゃないですか?」


「そっか、防音室みたいな様に……。 いや、それでも鳴き声は漏れそうだな。」


 目の前でキューキュー鳴いているペンギン型【魔導スライム】達は可愛いがかなりうるさいと思う。


「【魔導工房】内に入れれば……」


「きっと【魔導工房】内を荒らされますよ?」


「それは困るな。 そしたら寮内もダメじゃないか。」


「そうですね。」


【魔導具】でなんとかならないかな。


 音と衝撃を吸収するか、遮断するかのどちらかか……。


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