第208話 呼び出し ②
自分は上級生に連れられて学生寮の隣にある建物内に来ていた。
「僕はシュバルツと言って、3年生だよ。 お互いにこれから授業があるから簡潔に要件を言うよ。」
「はい。 お願いします。」
シュバルツと言う上級生は、白っぽい髪に小麦色に焼けた肌を持つ、ワイルド系イケメンだった。
流石は3年生、見た感じからして強そうな体をしているな……。
「僕達の用件はセシリアさんのファンクラブか親衛隊を結成したいのだけど、セシリアさんの雇い主であるレイくんに了承を取ろうと思ってね。」
「えっ? ファンクラブ?」
「そう。 学校にはいくつものファンクラブや親衛隊があるけど、僕達も新規参入したいんだよ。 既に同志達は20人近くはいるよ。」
「えっと、いまいち理解が追い付かないんですけど、ファンクラブを了承したとして僕やセシリアに利点はあるんですか?」
自分の印象だとファンクラブとかってあまり利点があるように思えないんだけどな……。
むしろ、目立つって意味ではマイナス面しかない気がする。
「利点は性格によって変わると思うけど、まず目立つのが好きな人の場合は率先してファンクラブメンバーや親衛隊が普及活動をするかな。」
「目立つならこの話は無しだと思うので帰ります……」
目立つなら無いなと思うと、シュバルツさんは慌てて訂正してくる。
「あっ、待って待って。 目立たなくするパターンもあるよ!」
「そうなんですか?」
「この学校の暗黙ルールで、ファンクラブや親衛隊のある子には手出し無用というのがあるから、騒ぎたくない場合は何もしなければ告白されたりすることも無理なデートの誘いも無くなるよ。」
「なるほど……。 そのルールでいくとファンクラブがある女子はみんな彼氏無しなんですか?」
「そうだね。 まあ、本人からは告白するのは自由だよ。 そして、付き合いだしたらファンクラブは解散になるよ。」
「セシリアにとっては良いかもしれないですね。」
セシリアが誰かと付き合う事は無さそうな気がするしな。
「ちなみに、ファンクラブや親衛隊は女子だけでなく男子にも有効だからレイくんやブラットくんも将来的に出来る可能性はあるよ。」
「ブラットはイケメンだから分かりますが、僕もですか?」
「……レイくんは自分を過小評価するタイプなのかな? 世間一般的にレイくんもイケメンの部類だよ。 しかもふたりは1年生の中でもトップクラスの実力者みたいじゃないか。」
「3年生にも僕達の情報が?」
まだ入学して1ヶ月位なのに、情報が早いな……
「冒険者になるなら情報は大事だし、優秀な下級生とは学生の時に仲良くなっていた方が将来的に良いからね。 みんな毎日の様に情報戦をしているよ。」
「それは凄いですね。」
「今回、セシリアさんのファンクラブを立ち上げる話も、見た目以外にも強さが発覚したからなんだよ。 セシリアさんは今まで強さは不明だったからね。」
「強さも関係するんですか?」
てっきり、セシリアの見た目だけでファンクラブの話が来ていると思ったけど、違うのかな?
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