第206話 暗黒魔闘技 ③

 セシリアの暗黒魔闘技はブラットの大剣を破壊していた。


「木製とはいえ、学校の丈夫な大剣が破壊されるとはな……。 仕方ないから【武器生成】を使わせてもらうぜ。」


「大丈夫です。」


 ブラットは地面に手をつくと、土がどんどん武器に変化していき、数秒したらブラットの手には木製の大剣よりも長い大剣があった。


「やっぱり、大剣の長さはこれくらいが丁度良いな。」


 ブラットは作成した2mはありそうな大剣をブンブンと振り回している。


 相変わらず、ブラットは馬鹿力だな。


「さてと……」


 ブラットは大剣を片手にセシリアに飛び込んでいき、横凪ぎをするがセシリアはそれを楽々回避する。


 その後もブラットは大剣を器用に使い、連撃で斬りつけるがセシリアは回避したり受け流したりして、ブラットの攻撃を全て無傷で凌いでいた。


 しかし、セシリアのわずかな隙をつき、ブラットはセシリアの肩へ攻撃する事に成功したのだが……

 

 剣はセシリアに届かず、漆黒のオーラに阻まれていた。


「マジかよ、本気でいったのに……」


「それで終わりですか?」


「くっ、まだだ。」


 ブラットはそこから怒涛の連撃をするがセシリアはびくともしない。


 というか、普通の【魔導壁】なら破壊されるか吹き飛ばされる筈だが、あの漆黒のオーラは地面と一体化しているかの様だ、そして、明らかにブラットが作成した武器よりも硬い。


 ブラットも連撃に疲れたのか、バックステップでセシリアから離れる。


「やべぇな、セシリアさん強いな……。 本気はもっと強いんだろ?」


「ブラットさんに使える能力は限られますがね……」


「なるほどな。」




「「うおおおっ!!」」


「すげえ!」

「あの美人は1年か?」

「いや、俺達より年上じゃないか?」

「あの青い髪の美少女も初めて見たぞ!」

「くそっ、チェック不足だった……」

「もしかしたら、マリオン・アズのメンバーより可愛いんじゃないか?」


 知らぬ間に修練場でトレーニングなどをしていた生徒達がブラットやセシリアの戦いの音を聞いて、観戦しだしていたみたいだった。


 流石に遠くから観戦するくらいで、質問したり挑戦するとかはないだろうけど目立つ前に退散するかな。


「ブラット!」


「ああ、退散するんだな?」


「うん。 アメリアさんとディアナさんも大丈夫?」


「今日、退散するのは構わないが……」


「いつも、私達が修練場へ来ている時は騒がないのにセシリアさんが来たら騒ぐあいつらにイラッとするわね……。」


「そこ、気にするんだ……?」


「「気にするわよ!」」


「2人が在学中にセシリアさんに勝つのは無理だろ。」


「ブラット、後で話があるから付き合え。」


「ええ、私も今の発言の意味を聞きたいわ。」


 ブラットがアメリアさんとディアナさんに不用意な発言をして睨まれていた。


 思っていても、発言したらダメだろうに……。


「なっ、なんだよ。 俺は間違った事を言ってないだろ! レイもそう思うだろ?」


 きっと、ブラットはセシリアの出す大人の魅力を出すのが在学中では厳しいと言ったのだろう。


「いや、僕に振られても分からないよ……。」


 まあ、12歳のアメリアさん達と18歳位のセシリアでは身長も違えばスタイルも違うから仕方ないが、それは言ったらダメだろうと思う。


「それじゃあ、私とアメリアはブラットを連れて退散するよ。」


「また再戦しましょう!」


「ちょ、ちょっと待ってくれよ!」


 ブラットは2人に引きずられて修練場を出ていったので、自分達も帰る事にした。



「ブラットは相変わらず、一言が多いよね。」


「そうですね。 言わなければ良かったのに。」



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