第204話 暗黒魔闘技

 シンシアがアメリアさんとの戦いで、強すぎる【炎弾】を使おうとしたので、セシリアに頼んで【魔素圧縮吸収】を使ってもらった。


 吸収した後は全員びっくりしていたが、コーデリアとシンシアにはセシリアの能力を教えていたから、すぐに【魔素圧縮吸収】を使ったのだと理解してた。


「シンシアとアメリアさんの模擬戦は引き分けにしようと思うけど、良いかな?」


「うん。 私は、引き分けで、大丈夫……。 やり過ぎて、ごめん。」


「……私も引き分けで良いわ。 次は完全に勝利してみせるわ。」


 本当ならシンシアの負けでも良いと思ったけど、シンシアとアメリアさんの性格的に、中途半端な勝敗をつけない事にした。


「セシリアさん、ありがとう。」


「大丈夫ですよ。」


「そうよ、さっきのスキルはなんなの!? 【魔法】を消したの?」


「それは秘密ですよ。」


「【魔法】を消せたら、私達には勝ち目が無いじゃない……。」


「セシリアさんの凄さはそれだけではないですよ。」


「そうだな。 俺達との戦いを見たら分かると思うぜ?」


「そうなの? てっきり、レイくんの面倒をみるメイドだと思っていたけど、違うのね……。」


「セシリアさんはレイの護衛役ですからね。」   





「そろそろ俺達も模擬戦をやろうぜ。」


「3人にともやり過ぎない様にね。」


「マスター、私は近接戦闘をやりますので大丈夫です。」


「俺も狭いから近接戦闘のみにするつもりだけど、セシリアさんは大丈夫なのか?」


「ブラット、周りに被害の無い限りなら全力を出しても大丈夫だと思うよ。」


「分かった。 久しぶりに全力でやらせてもらうぜ。」


 多分、ブラットとセシリアが近接戦闘をして、コーデリアがブラットの支援をする流れだろうな。


 セシリアの見た目はディアナさん以上に細いが、骨格は金属製な上に日々、微量の【魔素】を吸収して硬くなっているらしい。


 らしいというのも、セシリアの身体の内部に関しては最初に作ってからほとんど関与していないから不明だったりする。


「そう言えば、セシリアの武器はどうする?」


「素手でいきます。 マスターの記憶内にあった格闘術を試してみます。」


「うん? 僕の記憶内に格闘術?」


 前世の自分は空手や柔道の基礎は学校の授業でやったけど、戦いに使えそうなのは知らないぞ?


「暗黒魔闘技というものがありましたよ。 それでは行ってきますね。」


 暗黒魔闘技……?


 どこかで聞いたような……。



 思い出してはいけない気がする……



 モヤっとしたまま、セシリア対ブラットとコーデリアの模擬戦が始まった。


「ブラット、【水膜】で防御膜を展開します!」


「おう、助かるぜ。」


 コーデリアの【水膜】がブラットとコーデリアの身体表面を覆っていく。



 対してセシリアは……。




「世界を巡る暗黒の者達よ。その力を我が身に与え、仇なす者共を薙ぎ倒す力を我に与えたまえ。【ダークネス・フォーム】!」 




「ぶふっ!?」


 あ、あれは自分が考えた……。


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