第203話 シンシアの強さ ②

 シンシアとアメリアさんによる【魔法】対決が始まろうとしていた。


「やっぱりレイはシンシアが勝つと思いますよね?」


「どうかな、【魔力】の総量で言ったらシンシアの方が圧倒的に強いんだけど、アメリアさんが近接もして来たら分からなくなるね。」


「そう言えば、アメリアさんは近接も出来たんですね。」


 アメリアさんは確か、本職ほどではないが身体能力もそこそこ良かった気がする。


「それに、もっと広い場所で戦えればシンシアが確実に勝つだろうけど、ここはシンシアにしたら狭いかな。」




 シンシアとアメリアさんの戦いが始まったのだが、やはりアメリアさんは遠距離攻撃ではなく近距離戦に持ち込むつもりみたいで、先制でシンシアに向かい走り出していた。


「私の【ミラージュ】を食らうと良いわ!」


 アメリアさんの光属性【魔法】なのか、アメリアさんが走っている途中にブレて3人になっていた。


 分身の術みたいなものだろうか?


 よくあるパターンだと本体を倒すと分身も消えるみたいな感じだろう。


「何人、いても、変わらない。 【炎壁】。」


 シンシアを中心として炎の壁が全面に展開する。


「甘いわよ。 【透過】!」


 アメリアさんはシンシアの【炎壁】を簡単にすり抜けて、シンシアを殴り飛ばす。


「きゃ。」


「ふふん。 ノーダメージは無理だけど、私に【魔法】の防御壁は、効かないわ……。」



 シンシアの【炎壁】を簡単に突破しているアメリアさんの【透過】というのは凄いのだが……


「あれって【炎壁】で焼けてるよね。」


「そうですね……。 すり抜けてはいますが、炎の中へ飛び込んだ感じになってますね。」


 そう、アメリアさんの肌などは若干、火傷したんじゃないかというダメージを受けていた。


 自分の【魔導壁】みたいな【属性付与】をしていないものや、追加ダメージの無いものならノーダメージで突破出来そうだが、今回の場合は相討ちみたいな状態になっていた。


「今の、パンチ、痛かった……。 【炎弾】……」



「あっ、レイ。 ちょっとヤバイかもしれないです。」


「ん?」


「【精霊】が危険だと、伝えてきている気がします。」


「ああ、あれはヤバイね……。」


 シンシアの【炎弾】が通常サイズ以上の大きさになっていた。


「レイ、あのサイズはアメリアさんが回避した段階で回りに被害が出るぞ。」


「うん。 エターナル先生に使ったレベルの【炎弾】だね。

 セシリア、お願い出来るかな。 」


「分かりました。」


 セシリアはすぐさまシンシアの方に向かう。


「セシリアさんなら大丈夫なのか?」


「まあ、見てれば分かるよ。」


 セシリアはシンシアの【炎弾】に手を付けて【魔素圧縮吸収】を使うと、セシリアの手に吸収されたかの様に【炎弾】が消えていった。


「「えっ……?」」



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