第195話 ナチュラルマスター

 今日は【属性付与】の授業があるので闘技場にみんな来ていたのだけど、エレナの情報通り、変な格好の先生が目の前にいた。


「私が【属性付与】の授業を特別担当するエターナルよ。」


 偽名みたいな名前のエターナル先生は、鉄仮面と海パンしか着ていないゴリゴリのマッチョだった。


 しかも、若干黒光りしており、ちょっと気持ち悪い。


 しかし、この先生は……


「まずは私の自己紹介からしましょう! 私の【職種】は【ナチュラルマスター】よ。 【属性】に特化した感じなのだけど、私のスキルは後で見てもらうとして、この授業は1年の時しかないから頑張って【属性付与】を習得するのよ」


「あの~、もし1年で【属性付与】が出来なかったら追試ですか?」


「追試は無いけど、私とマンツーマンレッスンで【属性付与】を覚えて貰うわ。 でも毎年みんな真剣に授業を受けてくれるから、マンツーマンレッスンはほとんど無いわね。」


「「……。」」


 エターナル先生とのマンツーマンレッスンを回避する為なら必死に授業を受けるだろうな。


「他に質問は無いかしら?」


「何故、そんな格好なのですか?」


「良い質問ね。 それは【ナチュラルマスター】のスキルを見てもらった方がよいかしら。 そうね……。」


 エターナル先生のスキルを見せる為に何故かシンシアと自分とクラスメイトの女子が選ばれた。


 シンシアは分かるのだが、何故自分が選ばれたんだろう?


「先に女の子の方からね。 私に向かって【属性付与】した攻撃をしてきて頂戴。 全力全開でも良いわよ。 ここなら何かあっても死なないしね。」


「本当に、全力で、大丈夫?」


「ええ、良いわよ。 みんなもしっかり見ていてね。」


「じゃあ、全力で、【炎弾】……。」


 シンシアの使おうとしているのは、普段から使っているというか、シンシア唯一の攻撃手段の【炎弾】だ。


 この【炎弾】はシンプルなスキルながら汎用性か高く、形状や威力など【魔力操作】次第で変えられるらしい。


 そして、エターナル先生に向けて撃とうとしている【炎弾】は威力重視になっており、自分達が食らえば死ぬかもしれないが……。


「ふふ、良い【属性付与】ね。 私も気合を入れなくちゃダメね。」


 エターナル先生は両腕両足を開き、見た目は無防備状態になるが、全身を高濃度に圧縮した【魔力】で覆い尽くす。


 いったいなにをするつもりなんだろうか?


「いく、【炎弾】。」


 シンシアの放つ【炎弾】はスピードが遅いが、威力は凄く、真っ直ぐエターナル先生に向かう。


「いくわよ! 【ナチュラルアーマー】!!」


 ゴオオオゥ!!


「うわっ、【炎弾】が直撃したよ。」


「耐えきる気か?」


「全く回避してないからね……。」


 火柱がおさまると、【炎弾】が当たる前と同じ格好のエターナル先生がいた。


「ふふ、良い【属性付与】だったわ。 そして、私の【ナチュラルマスター】はこういう事が出来るのよ。」



 エターナル先生の手にはシンシアと同じ【炎弾】があった。

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