第193話 覚醒薬
マギリさんの鞭に拘束されたサリウスは急に静かになっていた。
さっきまでとのギャップに妙な違和感を覚えていた。
「問題解決したのでカーラ先生達と合流しましょうか。」
「いや、あのサリウスは何かやろうとしている気がするな。 まだ近付かない方が良いけど、カーラ先生に危険な気がするとは伝えたいな。」
「この距離で叫ぶのも逆に良くない気がしますしね。 」
「カーラ先生に任せるしかないか。」
自分達が叫んだり、近付いたらカーラ先生の邪魔しそうだから馬車の中で見守る事にした。
襲撃してきた集団の拘束が終わりに近付いた時、サリウスに変化が起きた。
サリウスは鞭で拘束されていた【木耀の鎧】を脱ぎ捨てる様にすっぽりと拘束から脱出してしまったのだ。
まるで脱皮みたいな感じで……
『ふはは、今回は2対1だったので不覚を取ったが、次回はもっと計画を練ることにしますよ。』
鎧を脱いだサリウスは最初に見たガッチリした筋肉質な体格とは程遠い、細い体格だった。
どうやったか分からないが、体格を細くして鎧のサイズは変えずに拘束から脱出したみたいだ。
『逃がしませんよ。』
『【錬成】! 【木耀の天羽】』
『【錬成】! 【木耀の大蛇】』
サリウスは【錬金術】を使うと、地面から巨大な蛇を作り出すのと同時に、背中から天使の羽根みたいなもの生やして飛び上がってしまう。
『くっ……。』
『マギリ、この蛇を任せられるか?』
『強さが未知数ですから、サリウスの捕縛は諦めましょう。』
『ちっ、仕方ないか……。』
『レイくん達と合流して、すぐに【スカウトフォート】へ帰りましょう。 カーラは当分、街から出るのを禁止します。』
『げっ、マジかよ……。』
『仕方ないでしょう。 カーラが外に出れば襲われる可能性が高いのですから。 』
それから自分達はカーラ先生と合流し、【スカウトフォート】へ帰るのだった。
「あの襲撃してきた人達を拘束状態で放置して良かったのですか?」
「本来は馬車に入れて運んだ方が良いけど、あんなに大人数は入らないから仕方ないですよ。」
「そうだぞ、基本的には同意が無いのに人を襲ったらダメだからな。」
「それをカーラ先生が言いますか……。」
ビキニアーマーでナンパしてくるやつを誘い込んで返り討ちにするという事をしているカーラ先生には、言えない……。
「あんだと?」
「カーラ、レイくんの言うとおりですよ。 あとレイくんには言っておかなくてはいけないのですが……。」
「ああ、さっき見た件は秘密にしておくんですよね?」
「ええ。 察しが良くて助かりますが、レイくんはとても10歳とは思えない位に賢いですね。」
「あはは、ありがとうございます?」
たまに10歳だと忘れてしまう時があるから気を付けないとな……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます