第190話 復讐者

 自分達は【王都】からの帰り道に、後ろから武装した集団が迫っているのを察知していた。


「カーラ、後方から来る集団がそろそろ目視出来る筈なので見てください。」


 僕も馬車の後方に移り見てみると、馬に乗った8人と1台の馬車が走っていた。


「微妙な数だな、相手の強さ次第では危ないが……。 マギリ、相手はやる気みたいだから馬車を止めろ。」


 カーラ先生がそういうとマギリさんは馬車を止めて、鞭の様な武器を持ち外に出る。


 そして、カーラ先生も既に巨大な斧を持って外に出ていて、2人は馬車より数十m離れた場所で武装集団に対応するみたいだ。


「マスター、向こうはかなりの殺気を放っていますから戦闘は回避できないかもしれません。」


「うん。 それは僕も分かるよ。 しかも、僕達には興味が無いみたいだから、目的はカーラ先生かマギリさんか。」


 そう話していたら、カーラ先生に向けて1人の男が斬りかかる。


「あっ、戦闘になっちゃったな……。」


「マスター、相手の集団は話し合う前に斬りかかっています。」


「そうか、セシリアはこの距離でも会話が聞こえるのか。」


「周囲で複数のスキルを使われると聞こえなくなりますけどね。」


 セシリアは【魔素】を介してある程度離れた会話も聞こえるし、探索なども出来るがスキルを使われると【魔素】が乱れて上手く聞こえなくなる。


「そしたら、探索用の【魔導具】を飛ばして会話を聞くか。」


 自分は【魔導操術】を使い、球体の中に【虹魔石】を入れただけの探索用【魔導具】をいくつも飛ばす。


 これには激しく動かなければカメレオンの様に背景と同化する事が出来る効果があった。



『おい! 貴様ら話を聞いてるのか! 攻撃を止めないと殺してしまうかもしれないぞ。』


『カーラ、この人達は思考がある様に見えませんから説得は難しいですよ。』


『くっ、こいつら【ハンタースクール】の卒業生だから殺したくは無いんだが……。 多少、恨まれる事はあっても襲撃するほどでは無いと思うのだが。』




「襲撃者は【ハンタースクール】の卒業生なのか。 それにしても全員の表情がやばいね。」


「はい。 本能のみで動いている感じがします。」


「【チェスガン】襲撃事件とは関係無いだろうけど、あの時の魔獣みたいにな雰囲気を感じるな。」


 しかも、手足を斬って動けない様にしているが、再生能力があるかの様にしばらくしたら立ち上がり襲ってきていた。


『マキリ、殺してしまうかもしれないが、手足を切断して動けなくするぞ!』


『分かりました。 仕方ありません。』



 その後、カーラ先生達は襲撃者の手足を切断したりして無力化に成功していたのだが……。



『流石はカーラ先生ですね。 相変わらずの強さですね。』


『お前は、誰だ……?』


『生徒を忘れるなんて酷いなぁ。 卒業式の日にカーラ先生に告白したサリウスですよ。』

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