第189話 ドレスのカーラ先生

 ダンディなハンスさんとの話が終わり、外に出るとビキニアーマーを着たカーラ先生とマギリさんがいた。


「おう、やっと終わったか。」


「あれ? カーラ先生はもう終わったの?」


「ああ、ちょっと挨拶しただけだからな。」


 ちょっと挨拶って言っても、戻ってくるのが早すぎないか?


 もしかしてビキニアーマーだから脱着が早いからとかかな。


「なんだレイ。 私の身体をジロジロ見て。 もしかしてドレス姿でも見たかったのか?」


「いえ。 ドレスを着て謁見したにしては早くないかなと思って……。」


「ドレスなんてビキニアーマーの上から羽織れば一瞬だろ。」


「えっ、ドレスってそんなものでしたっけ?」


 そんなパジャマに着替えるみたいな……。


 いや、この世界のドレスはそんなものなのか?


 カーラ先生が特殊過ぎて何が正解か分からないな……。


「レイくん、普通の女性はそんなに早くドレスを着れないから勘違いしないようにね。 カーラのだけ特別にドレス後ろからスッポリとハマる様になっているんだよ。 もちろん、ビキニアーマーの上からドレスを着るなんて論外だよ。」


「ですよね~。 ちょっと悩みました。」


「ドレスなんてモッタリした服は合わないんだよ。 それに挨拶も軽くで十分だしな。」  


 時間的にカーラ先生の挨拶は本当に軽くだったのだろうかな……。


「そんな挨拶で良いんですか?」


「ああ、大丈夫……」


「カーラ、全然大丈夫じゃないですよ! 国王は待てって叫んでいたでしょう!」


「それはいつもの事だろう。」


「カーラ先生、それがいつもの事ってところが良くないのでは?」


「あまり話す事も無いから良いんだよ。 そんな事よりも学校に間に合う様に早く帰ろう。」


 カーラ先生は単純に話すのもそうだが、【王都】に来るのが面倒なだけみたいだな。




 ☆



【王都】から【スカウトフォート】へ帰る馬車に乗っていたら……


「マスター、後方から武装した集団が近づいてきます。 人数は不明です。 あと数分後には追いつかれるかもしれません。」


「魔獣じゃなくて人が?」


 この世界での強盗や殺人などは罪がもの凄く重いからほとんど遭遇しないと聞いているが、追いかけて来ているとしたら4人の誰かに用があるのだろう。


「マギリ、分かるか?」


「いえ、まだ私の索敵範囲には入っていません。」


「セシリアは凄いな、マギリより索敵範囲が広いなんてな……。 マギリ、スピードは上げられるか?」


「スピードを上げると馬が【スカウトフォート】まで持ちません。」


「くっ、この道は【スカウトフォート】へ行く馬車位しか無いのに……。 こっちより早く走っているって事は狙いは私達か。」


「レイくんかセシリアさんのどちらかは馬車を動かせますか?」


「私が多少は出来ます。」


「私とマギリで対応するから大丈夫だとは思うが、もし危なくなりそうなら2人で逃げろ。」


「そしたら僕達も戦います。」


「いや、レイは絶対に戦うなよ。 何かあったら責任が取れない……。」


 きっと、自分がケガをしたら両親が何をするかわならないというのを恐れているのが分かったので、それ以上は何も言えなかった。


「まあ、私とカーラは超級クラスですから、大抵のトラブルには対応出来るので大丈夫ですよ。」



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