第188話 ハンス

 自分はマギリさんの上司が待つ部屋に入る。


「初めまして、レイくん。 私はハンスだ。 そして、セシリアさんは見た目が違いますが、久しぶりですね。」


「初めまして、レイです。」


「セシリアです。」


 ハンスさんは、以前に露店で出会ったダンディ執事さんだった。


 露店の時は自分が変装していたから、ハンスさんは初対面だと思っているのだろう。


 セシリアは大口取引をしていたし、名前も同じだから変装はしていてもバレているのだろう。


「今日は来てもらいありがとう。 本来ならこちらから会いに行くべきなのだが、今は忙しくてここを離れられなくてね。」  


「それは大丈夫です。」


「マギリから聞いた話ではセシリアさんの主人がレイくんみたいだが、本当かな?」


「はい。 僕がセシリアの主人という認識であっています。」


「わかりました。 ではレイくんとこれについての話をしましょう。」


 ハンスさんは机の上に【虹魔石】を置く。


「やっぱり【虹魔石】の話なんですね。 何が聞きたいのですか?」


「話が早くて助かるよ。 出来れば製法などを知っていれば教えてほしいのだが……」


「そう言った関連の話は申し訳無いですけど、出来ません。」


「そうか……。 ならば、以前に売ってもらったみたいに、この【虹魔石】を売ってもらえないだろうか?」


 どうしようかな……。


【虹魔石】は大量にあるから売っても良いのだけど、そんなに大量な【虹魔石】を販売したら、自分が作れる、もしくは作れる人を知っているという事になってしまうんだよな。


 とりあえず、お金の収入源に関してはセシリアショップで十分だけど……。


「大量には無理ですが、少量の【虹魔石】なら不定期で売る事は出来ます。」


「おお! 販売してくれるのはありがたい!」


「ですけど、入手先については……。」


「それはもちろん。 レイくんの事は極秘にするよ。 あと、可能なら聞いてもらいたいお願いがあるのだが。」


「お願いですか?」


【虹魔石】を売ってもらいたいというお願い以外になにがあるのだろうか?


「そう。 我々が売ってほしいと言っておいてなんだが、【虹魔石】を【王国】以外には販売しないで欲しいのだ。」


「えっと、その理由を聞いても良いですか?」


 まあ、他に売る気は元々ないのだけど……。


「国家が所有する分には良いのだが、一般人経由で反聖教会組織に渡ると厄介な事になるのでね。 なるべくは拡散しないでもらいたいのだ。」


「なるほど……。 分かりました、【虹魔石】の販売は【王国】以外にはしないので、安心して下さい。」


「おお、ありがたい。 我が国は絶対にレイくんと敵対しない為にも情報漏洩はしない様に徹底させよう。」


「……そこまで両親が怖いのですか?」


「今はレイくんの両親だけでなく、【モロット】にいるガインさんやエリーさんにも警戒しているからな。 4人が揃えば……。」


「ガインおじさんやエリーさんにもか……。」




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