第185話 天上国

 エンジェルアートのパーティーメンバー6人共に出身地は【天上国】らしいが、自分は授業で聞いたことの無い国名だった。


「【天上国】?」


「ええ、天人族が多く住んでいる国です。 分かりませんか?」


「はい。 ちょっと勉強不足なのか、聞いた事がないです。」


「ウリミア様、イーストエンド地域の方には馴染みの無い名前ですよ。」


「あっ、イーストエンド地域では無いのですか?」


「はい。 【天上国】はこことは逆のウエストエンド地域にある国ですから、イーストエンドの人には聞き慣れない国名だと思います。」


「なるほど……。 【魔眼】の様になったのは【天上国】にいた時からですか?」


「はい。 私は5歳の時に違和感を覚えました。 6歳になってからは変化が、止まりました。」


「私も似た感じです。 6歳からは変化がないです。」


【天上国】にいる間だけ【結晶化】が進んで、【スカウトフォート】に来てからは【結晶化】が止まるとしたらウリミアさん達の出身地に【巨大結晶】があるのは確定だな。


「最後ですが、出身地に大きな【魔石】みたいなものはありましたか?」


「大きな【魔石】……? あったかしら?」


「ウリミア様、もしかして神殿に安置されている神石の事ではないですか。」


「ああ、あれね。 見た目は分からないけど、確かに強大な【魔素】を放出していたわ。」


「大体分かりました。」


「レイくんはなんで神石があるのが分かったの?」


「以前、似たような症状の人を見たことがあったんですよ。」


 ウリミアさん達に情報をぼかしながらマティアスくんの話をする。



「その時は治す方法があったの?」


「完治するかは分からないけど、有効なマッサージがありましたよ。」


「マッサージ?」


「はい。 体内に蓄積された【魔素】を排出するマッサージです。 一応、セシリアが出来ますが他の人には見せられないので、試すかはウリミアさん達の判断に任せます。」


 昨日、セシリアと考えた偽装方法で、【魔素圧縮吸収】は教えられないが、マッサージをしながら吸収すれば、バレないという話になった。


 そして、【魔眼】で見られたり、マッサージ方法を聞かれたらバレるので、個室で2人きりになれるなら試すという話にもっていくのだ。


「ウリミア様、私は試してもらいたいと思います。」


「私もマッサージで治るかもしれないならやってもらいたいです。」



 こうして、セシリアが暇な時に定期的にマッサージをするという話にまとまった。


 これで、もしかしたらセシリアの新しい【結晶能力】に目覚めるかもしれないなと考えていた。


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