第177話 地下室

 コーデリアとシンシアの2人には、地下1階のスペースを見てもらっていた。


「それじゃあ、次に地下2階の研究室に案内して終わりかな。」


「えっ、まだ地下があるのですか!?」


「ここまで、でも、凄いのに……。」


「うん。 研究室の階段はこっちだよ。」


「あの、床しか無いんですけど?」


「ちょっと手を繋いで良いかな。」


 研究室だけは他人にバレたくないので、研究室への階段だけは自分かセシリアにしか見えないし、入れない様に結界をしてあるのだ。


「手をですか?」


「結界の弱点というか欠点なんだけど、僕と身体が接していると結界を素通りしてしまうんだよね。 まあ、そのおかげで【同期】しているセシリアも自由に通れる利点もあるから改善してないけど。」


「そういう事ならいくらでも手をつなぎますよ! なんなら歩く時も……」


「その案。私も、同意。」


「いや、街中とかで手をつなぐのはちょっとアレだし……。」


「アレってなんですか!?」


「人前で手をつなぐのは恥ずかしい……かな。」


 他人の目が無かったり、危機的な状況なら幾らでも手をつなげるけど、人前では恥ずかしいんだよな。


 仮に付き合っていたとしてもハードルが高いんだよな。


「それなら仕方ないですね……。」


 嫌そうな感じが顔に出ていたのか、街中で手をつなぐのは諦めてくれたみたいだ。



 自分の両手にコーデリアとシンシアが片方ずつ手をつなぎ、地下2階にある隠し階段を降りていくと、地下1階と同じ面積のスペースが広がっていた。


 天井の高さは3mと地下1階よりは低いが、一般住宅の部屋よりは少し高くはなっている。


 そう言えば、前世でも外国人用の家は天井が高かったり、シャワー室やトイレがいくつもあったりしたな。


 そういう意味ならドワーフ族とエルフ族が一緒に住んだら身長差が凄そうだな。

 ブラットは10歳なのに身長は160cm以上あり、来年には170cmになってしまいそうな勢いに対して、コーデリア達は100cm位だろうか?


「このフロアは先程とは違い、ほとんど物が無いのですね。」


「あっちの、端に、水槽が、見える。」


「本当ですね。 でも濁っている?」


「このフロアは僕の研究室なんだけど、元々【チェスガン】の自宅にあったものを移設しただけだから、あの、水槽っぽい物しか無いんだよ。」


 そう言いながら自分達は水槽に近付いていくのだが、コーデリアがある臭いに気が付く。


「あの水槽から血の臭いがしませんか?」


「そう。 あれば魔獣の血を循環させて【魔石】を濃縮させていく機械なんだよ。」


「魔獣の血……?」


「この機械によって、セシリアのコアになっている【虹結晶】や他の【魔導具】の【虹魔石】を作ったりしていてね。 ここだけは2人以外には教えて無いものだよ。」


「あの……。 教えてくれるのは嬉しいですが、私達が知っても良かったのですか?」


「重要な、機械……」


 本来は見せなくても良いのだけど、これからパーティーを組むのなら【虹結晶】や【虹魔石】を搭載した【魔導具】を2人の前ではよく使うだろうから、知っていた方が良いかなと判断したのだ。




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