第172話 複製機

 自分は【魔導工房】に追加された【複製室】の性能に驚愕していた。


 イチゴのショートケーキが、25分で40個も作れてしまうのだ。 他にも作ったことのあるお菓子もリストにあったので、カプセル3個を使い時間を無駄にしない様に作る事にした。


 残り2個のカプセルにはお菓子以外のものを試そうと思った。


 リストを見てみたが、【神紙】【神木材】【神鋼材】など、【神】という名のつくものはリストに載っていなかった。


 そして、【虹結晶】【虹魔石】などは可能だった。


 とりあえずは【虹結晶】と【虹魔石】を試してみると、【オプション】で付与されている効果を選べた。


 今までは【虹結晶】などの付与されている効果は完全にランダムだったので、大量生産してから、欲しい効果をピックアップしている為に、欲しいキャラが当たるまで引き続けるガチャみたいな感じだった。

 複製機を使えば大量生産する必要は無くなるのだ。



 しかし、早速【虹結晶】を選択して【オプション】を選んだりしたが……




【自律思考核】で20年……。


【演算増幅】2年。


【転移】2年。


【属性増幅】3ヶ月。



 などとレアケースの【オプション】はかなりの月日がかかった。  



「流石にそんな上手くはいかないか。」


 多分、【自律思考核】というのがセシリアみたいな自我を持った【虹結晶】なのだろうと予測された。


【演算増幅】や【転移】は研究していたが、完成はしていなかった筈だけど……。 何故あるんだ?


【属性増幅】は多分だが【魔導スライム】の核だろう。


 年数は長いが、【自律思考核】は欲しいな。





 ☆




 もう少し【複製室】の内容を試してみたい事はあったが外はもう深夜なので、そろそろ寝なくてはいけない。


 とりあえず、お菓子3種類と普通より品質の低い【虹結晶】を2個選んで戻ってきた。


【虹結晶】も品質が低ければ作成時間も1日と、極端に少なかった。


「マスター、かなり長い事【魔導工房】にいましたが、どうでした?」


 自分が【魔導工房】から出るとセシリアは次の日の準備などをしていた。


「セシリアも僕と一緒なら【魔導工房】に入れるから、中に入って来れば良かったのに。」


「他にもやりたい事がありましたのでマスターにお任せしました。」


「そっか。 新しいスキルである【複製室】なんだけど……」



 セシリアに【複製室】で見てきた内容を説明して、【虹結晶】の【自律思考核】などを欲しいかなども軽く相談した。  


「そうですね……。 【自律思考核】というのが増えれば私以外のマスターを支援する【魔導生命体】が助かりますが、【演算増幅】というのでも良いかもしれないですね。」


「セシリアのスペックを上げるパターンか。」


「はい。 私の体内に【演算増幅】は既にありますが、更に演算処理能力が上がれば出来る事は増えます。」


「あっ、既に【演算増幅】はセシリア内にあったのか……。」




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