第167話 新セシリアショップ? ③

 カーラ先生が貸してくれると言っていた土地に到着してみて、自分は土地の広さにビックリしていた。


「どうだ? これ位の広さがあればどんな店でも開けるだろ。 人員が足りなければマギリ経由で何人かプロのスタッフを借りられるぞ。」


「いや、この広さは……。」


 自分が予想していた敷地面積の4倍はあった。


「なんだ? これだけあれば広さ的には十分だろ?」


「いや、逆に広過ぎるので借りるにしても土地の借料が払えないというか……。」


「この土地は無料で貸すつもりだぞ。 その代わりに、私達にケーキや唐揚げとかを優先的に販売してくれればよい。」


「この土地を無料!? なんでそこまでしてくれるんですか。」


「私は元冒険者の教師だが、【王国】の王族でもあるからな。 【王国】内の情報網は一般人とは違うぞ?」


「あっ。」


「【チェスガン】に【セシリアショップ】があるだろう。 私達はレイ達が【セシリアショップ】を経営かなにかで関係していると確信している。」


「……。」


 確かに大人の情報網を舐めていたのかもしれないな。


「レイ様。 この【セシリアショップ】オープンの話はカーラだけの道楽ではなく、王族内でも要望が高まっているのです。」


「カーラ先生以外の王族からも要望?」


「レイ様は既に大量のお菓子を王族へ販売していましたよね? しかし、【チェスガン】襲撃事件からしばらくしてから、急に【セシリアショップ】が閉店したので、閉店理由など調査もしていました。 そんな時にカーラからレイ様の話が絶妙なタイミングで入ってきたのです。」


「えっ? 僕は王族にお菓子を販売した事ないですよ? セシリアなら、わかる?」


「いえ……。 私も分かりません。 地位の高い方ですと王族ではないですが貴族の方に販売はしています。」


「ああ、あの執事と貴族の子供っぽい人だね。」


 露店で知り合ってから、いろいろ儲けさせてもらったからな。


「レイ……、その子供っぽい人は私の弟だ。 つまりは王子だな。」


「ええっ!?」


「その執事は、私の上司だったりします。」


「マジか……。」


「ここまで話したのも、その上司から必ず【セシリアショップ】のオープンをさせて来いと言われていますから、私達を助けると思って土地を借りて下さい。」


 土地の価格を値切るならあるかもしれないが、土地を無料で借りてくれと頼まれるのは想定外だった。



 結局は、全くのタダというのは嫌だったので、毎月一定数のお菓子を無料で納品するということで話はまとまった。  


 あと、建築する人や建材も提供してくれるという話だったが、建材以外は断った。



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