第163話 人形を作ろう

 中央図書館で【魔導王伝説】を調べたあと、セシリアから提案されていた、【魔導スライム】みたいに操れる人形を作る計画を立てていた。



 人形自体はセシリアと同じ作りにして、コア部分を【魔導スライム】みたいな【虹結晶】にすれば多分成功するだろうと確信していたが、最大の問題があった……。



「お金が足りな過ぎる……。」


「何をするにもお金は必要ですからね。」


「せめてセシリアショップを【スカウトフォート】にオープン出来れば収入源が出来るのになぁ。」


「マスター、昔みたいに露店で販売しては如何ですか?」


「それも考えたんだけど、販売している時間が無いんだよなぁ。」


 低学年の時は学校に通ってはいたけど自由が多くて暇な時間は作れたが、【ハンタースクール】は達成課題があったり、自己鍛錬、ダンジョン攻略、学科の勉強といろいろやることがあり忙しくて、露店に張り付いている時間は無かった。


「【チェスガン】で働いてくれていた2人がこちらに来れないかな?」


「どうでしょう。 来てくれる可能性は高いかもしれませんが、店舗も無いのに呼ぶのは……。」


「そうだよね。 呼ぶなら住居も確保しておかないとダメだしね。 土地だけあればな……。」


【チェスガン】にあったセシリアショップは閉店と共に、パーツ毎に解体して【ストレージ】内にしまってあるから、【スカウトフォート】に同様の土地さえあればセシリアショップを再開出来るし、住居も確保出来る。


「【チェスガン】の土地が売れれば良かったけど……。」


「【チェスガン】襲撃事件で空いた土地はたくさん出来てしまいましたからね。 なかなか売れないと思いますよ。」


「とりあえず、シーラさんに手紙を書いておこうかな。」




 ☆



「レイ、クラスメイトで親睦会を開かないかにゃ?」


「突然、どうしたの?」


「【ハンタースクール】に入学してからそろそろ1ヶ月にゃ。」


「もう1ヶ月か。 それで親睦会?」


「そうにゃ。」


「だけど、何で僕に提案するのさ?」  


「学生の親睦会と言ったらお菓子とゲームにゃ。」


「なるほど、そのお菓子を僕に用意させたい訳か。」


「理解が早くて助かるにゃ!」


「というかエレナが食べたいだけでしょ。」


「にゃ~。 定期的に親睦会が出来たら情報交換や将来のコミュニティという意味でも良いと思うにゃ。 それとお菓子代は個人負担にさせるにゃ。 情報交換もタダでは出来ないにゃ。」


「まあ、そういう理由なら親睦会を定期的に開催するのも、お菓子などをいつも用意するのも大丈夫だよ。 だけど学校内で親睦会するならカーラ先生からの許可は任せたよ。」


「それは許可をもらっているにゃ。」


「流石、準備が良いね。」




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