第158話 勘違い貴族?

 初のダンジョン攻略が終った次の日の教室にて……。


「おい! この教室にコーデリアっていう【精霊使い】がいるだろう? 俺のパーティーに入れてやるから付いて来いよ!」


 授業が終わり、昼休みを取っている時に変な男が教室に入ってきた。


 指定の制服をわざわざ高そうな生地に変えて作り直したであろう豪華な制服を着た金髪のデブだった。



「エレナ、あれは誰?」


 分からない事はエレナに聞いたら分かるかもしれないと思い、聞いてみる。


「別クラスの新入生の貴族で、昨日の学生用ダンジョンで3層以降に行って全滅した男みたいにゃ。」


「流石エレナは何でも知ってるね……。 僕達以外にも3層以降に行ったパーティーがいたんだね。」


「私達以外だとあの貴族パーティーの他はアメリアやディアナのパーティーともう一組が3層以降に行ったみたいにゃ。」


「おい、コーデリアはいないのか! いないなら誰かコーデリアを呼んでこい!」


 まだ貴族の男は騒いでいた、そうするとコーデリアが急に立ち上がり、ブツブツ言いながら貴族に向かって歩いていく。


「レイ、コーデリアを止めるにゃ。 目がすわってて危ないにゃ。」


「確かに危ない目つきだな……。」


 今にも人を害虫に様に殺しそうな雰囲気だったが、エレナやブラットも言うなら止めて欲しい。



「ちょっとコーデリア! 落ち着いて。」


 コーデリアの肩を掴み、引き留めるが振り返った時の目は、人に向ける視線ではなかった。


「ああ言う悪意のあるゴミ虫は綺麗に掃除しないと、だめですから。」


「ゴミ虫って……。 とりあえず、ここは僕に任せて。」


 そう言えば、コーデリアは本人に向かう悪意には【精霊】経由で分かるんだっけ。


 という事は、この貴族はろくでもない可能性があるのか……。


「……分かりました。 レイが言うなら。」


「おお、お前がコーデリアか? 俺のパーティーに入れてやるからパーティー申請の手続きに来い。」


 さっそく変な貴族はコーデリアを見つけたら一方的な事を言ってきた……。


「あなたとコーデリアはパーティーを組むことが出来ないです。 何故なら既に僕達とパーティーを組んでいるからです。 そっちのパーティーに入るのは無理だから諦めて下さい。」


「貴様のパーティーと組んでいるなら、そのパーティーを解散すれば良いじゃないか。 問題が解決したなら俺に付いて来い。」


 なんだこの貴族は……


 話にならないな。


「何度も言うけど、パーティーは解散しないし、コーデリアがあなたのパーティーに行くことは無いです。」


「何だと? 俺を誰だか知らないのか?」


「……知りません。」


「ふん。 知らないなら教えてやる! 俺は【ソウルイーター】並みの天才と呼ばれている雷使いであるカンデラリオだ! いつか歴史に名を残すから覚えておくと良い。」


「「……は?」」


 あんなデブがお父さんと同じ?


 確かにお父さんや自分みたいな金髪だから雷使いなのは間違いないだろうけど。


 誰だよ、そんな嘘を吹き込んだ人は……。


「何ならコーデリアと一緒のパーティーメンバーが女なら俺のハーレムパーティーに入れてやるよ。 役に立つなら彼女にもしてやるぞ。」



 貴族の発言に思考は大丈夫か?と思った。


 そんな考えをしていたら、背後からすごい殺意が発生していた……



「調子にのって……。」


「消し炭に、する。」


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