第155話 初ダンジョン
学校でダンジョン探索の授業が始まる前に、【魔導工房】内にて【魔導操術】で使う探索用の小型【魔導具】の作成をしていた。
「やっぱり、探索用なら小型で、大量に欲しいし、先制攻撃や罠解除がしたいな。」
「マスター、あまり欲張った性能にすると、ダンジョン探索の授業に間に合わなくなりますよ?」
「まあね。 まずはナイフ型にするか手腕型にするかだね。」
ナイフ型ならプレス加工技術で大量生産が出来て安いし、そのまま刺せば攻撃にもなるが、罠解除は出来ない。
手腕型だとコスト面と制作時間面で大量生産は出来ない。
「2つの良いとこ取りはないだろうか?」
「難しいですね。 せめて時間がもう少しあれば良いのですけどね。」
「うーん」
それから試行錯誤して【魔導操術】を使ってみたら、【魔導操術】の効果範囲内ならば【魔導剣】に属性付与をしたり、【魔導】関係のスキルも使用する事が出来た。
これにより、【魔導操術】で操るものに刃が付いていなくても【魔導弾】を放ったり、【魔導手腕】を発動したりが出来た。
という事で、小さい【虹結晶】の表面を金属でコーティングしただけの【魔導玉】というものを大量生産していた。
「マスター、なんだか楽しそうですね。」
「うん。 【魔導玉】を作るときにいろいろなアイディアが生まれてね。 今回の【魔導玉】から取れるデータ次第では資金が集まり次第、研究に取りかかるつもりだよ。」
セシリアにも今後に作成したい【魔導具】のアイディアを思いつく限り話した。
「なるほど、でしたら私からもいくつか作ってもらいたいものが……」
☆
今日から授業中に学生用ダンジョンに入るとあって、カーラ先生より注意事項などの説明があり、みんな真剣に聞いていた。
「さて、説明はこれ位にして、注意点は撤退のタイミングを誤るな。 後は他のパーティーと揉めるな。 初日の撤退するタイミングは、慣れてきてスムーズに進めてきたと思ったら戻れ、まだ進めるかもしれないが疲労は溜まっているかもしれないからな。」
「その撤退タイミングでパーティーの意見が割れたらどうするんですか?」
「役割分担を作れ、ほとんどが4人以上のパーティーだろうから、まずはリーダーとサブリーダーだな。 基本的にリーダーが撤退のタイミングを指示する、お前達は未熟だから意見を出し合って最終的にはリーダーが決めろ。 仮に全滅しても死にはしない。 そして、リーダーの才能が無いと他のパーティー全員から言われたら違う奴に変えれば良い。 いろいろ失敗して試してみるんだな。 今日はどちらにしても3層まで行けたら帰ってこい。」
☆
「僕達のパーティーのリーダーは誰にする?」
「もちろん、レイくんですよ!」
「レイさん、しかない……。」
「ですよね~。 なんとなくは分かっていたよ。」
こうしてリーダーが自分。 サブリーダーがコーデリアさんになった。
「あと、私とシンシアからのお願いがあるんですが。」
「お願い? なにかな?」
「えっと、セシリアさんやブラット、エレナは呼び捨てなのに私とシンシアはさん付けじゃないですか。 出来れば私達の事もコーデリアとシンシアって呼んで欲しいんです。」
「戦闘中に、さん付けは、非効率。」
「そうかぁ。」
出来れば自分も2人の事を呼び捨てでも良いかなとは思っていたのだが、ずっとさん付けしていたので急に呼び方を変えるのは違和感と恥ずかしさがあったのだ。
しかし、2人から提案されたのは良いタイミングたな。
「分かったよ。 今日からはコーデリアとシンシアって呼ぶね。 そして僕の事もレイで良いよ。」
「分からりました、レイ。」
「よろしく、ね。 レイ。」
「とりあえず、今日は3層を目指そうか。」
「わかりました! みんなで頑張りましょう!」
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