第153話 セシリアの能力

 自分達はスキルの確認をする為に、【スカウトフォート】の外周部にある森の中に来ていた。


「レイくん。 気になっていたのですが、セシリアさんの肩に乗っているスライムはレイくんがテイムしたスライムですよね? テイムした生き物もセシリアさんと共有するのですか?」


「ああ、それは【魔導スライム】って言って、僕が作った【魔導具】だよ。 作った当初は低レベルながらも知能があると思っていたんだけど、いろいろ検証した結果、属性能力をブーストする【魔導具】だったんだよ。」


「えっ? スライムを?」


「その辺も見せた方が良さそうだね。 セシリア、よろしく。」


「分かりました。 マスター。」


 セシリアは手足を動かす様に【魔導スライム】をポヨポヨと動かしてみせる。


 現在の【魔導スライム】は、大気中の【魔素】を各属性に変換して、属性エネルギーを貯蔵しておくバッテリーの様な使い方をしていた。


 貯蔵してある属性エネルギーを使うことにより、【結晶能力】以外にもセシリアは【時】と【神】属性以外を使う事に成功していた。


 まさに主人を超えるチートメイドである。


「試しに【氷】と【風】属性の【魔導スライム】を使います。」


 セシリアは【魔導スライム】を外部デバイスの様に使い、貯蔵してある【氷】属性を操る。


 そうすると、セシリアの前には氷の結晶が現れ、今度は【風】属性を操り、氷の結晶を薄く削っていく。


 薄く削ったものを器に入れてシロップをかけ、コーデリアさんとシンシアさんに渡す。


「どうぞ。 かき氷です。」


「凄い……。 2つの、属性を、使うなんて……。」


「ごく稀に複数の属性があるスキルを使える人がいるらしいけど、まさにそれですね。 他の属性も使えるのですよね?」


「セシリアの場合は各属性の【魔導具】を使いこなせるって表現が正しいかもしれないね。 一応はほとんどの属性が使えるよ。 その代わり、【魔導スライム】に貯蔵出来る量はそんなに多くはないから、使い続けることは出来ないのが欠点かな。」


 他にも、セシリアが出来る【結晶能力】やいくつかの能力を披露した。


「十分に凄いと思いますよ。」


「ちなみに、ダンジョン攻略ではセシリアも同行はするけど、支援しかしない予定だよ。 セシリアが全力を出してしまうと……ね?」


「確かにセシリアさんが活躍すると、私達の出番が無くなりそうですね。」


「回復、攻撃、探索、防御……。 私達、いらない?」


「ダンジョン内では死ぬことが無いので、マスターの指示で私もほとんど手を出しませんが、ダンジョン外では独自の判断でマスターの護衛をします。」


「まあ、セシリアも成長段階だから、僕達の休憩中とかにはモンスターを倒してもらうよ。」




「それよりも、かき氷が美味しくて止まらないけど、頭が痛い……。 美味し過ぎるかき氷は危険です!」


「頭が、痛い、美味しい……。」



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る