第145話 入学式

 入学初日のホームルーム後、何故かブラットとカーラ先生が模擬戦をする事になってしまった。


 最近はこういうトラブルに巻き込まれる事はほとんど自分ばかりなので、ブラットがトラブルに巻き込まれるは無かったんだけどな……。



 そして、ホームルームが終わったあとはみんなで入学式に参加していた。


 入学式は生徒数や教師が多いからか、野外のグラウンドみたいなところで行われた。


 教師達を見ると、流石にカーラ先生みたいなビキニアーマーはいないが、全身フルプレートの人がいたり、弁慶みたいに大量の武器を担いでいる人、海パンみたいなパンツ一枚に仮面付けたマッチョがいたりと、冒険者の闇を少し見た気がした……。


 もちろん全てがヤバイ教師ではなく、9割近くがスーツやカジュアルスタイルの服を着ていて、1割が常時戦闘スタイルといった感じだった。


「この学校ってヤバイ人が多いのかな?」


「レイ、何を今更言ってるんだよ。 冒険者はほとんどが定職に向かない性格の社会不適合者が多いんだぞ?」


「えっ? 社会不適合者?」


「そうにゃ。 普通は会社で働いたりして安定を求めるにゃ。 力に自信があっても騎士団や魔法研究所みたいなところに入社するにゃ。」


「マジか。」


 両親が普通に冒険者をしていたし、今世では社畜にはならず、自由に世界を見て回りたいって希望があったから冒険者1択だったけど、冒険者の社会的見られ方がそんなのだとは思わなかったが、よく考えれば冒険者は前世でいうところの傭兵みたいなものだから、多少は仕方ないのかな。


「しかし、レイの両親みたいに成功すれば話は違ってくるぞ。 こんなたくさんの冒険者になりたい学生がいるのもレイの両親みたいな英雄が【王国】にいるからなんだぜ?」


「そうだったんだ。」


「レイくんなら間違いなく成功すると信じてますよ。」


「レイさん、なら、将来は、英雄に、なれる。」


「コーデリアさんとシンシアさん、ありがとう。」


「コーデリアとシンシアはレイをおだて過ぎるのが良くないにゃ。 レイは調子にのるとトラブルを起こしやすくなるからにゃ。」


「むっ、そんな事は無いと言いたいけど、言えない自分がいるのが悔しいな……。」


「マスターには私がついているので、トラブルが起きても大丈夫です。」


「そうですよ。 レイくんには私達がついているから大丈夫ですよ。」


「うん。 トラブルは、私達が、なんとか、する。」


「ありがとう?」




「エレナ、レイの将来は大丈夫なのか?」


「駄目かもしれないにゃ……。」




 入学式も開始され、最初に壇上へ上がった校長先生を見てビックリした。


「私は校長のゴルゴンだ。 今年も危険な冒険者になりたいと言う若者がこんなにたくさん入学してくれて私は嬉しいと……」


 校長先生の容姿を一言で言えば、巨人だろうか?


 遠くからだから正確身長は分からないけど、近くにいる教師達がエルフ族でない限りは、身長3mはあるのではないだろうか?


「ブラット、あの校長先生はドワーフ族なのかな?」


「いや、ドワーフ族だからってあのサイズはデカイだろ……。 突然変異のドワーフ族か?」


「校長先生は、絶滅したはずの巨人族の先祖返りみたいにゃ。」


「あれが巨人族なのか。 教科書で見た事があるけど、実在したんだね。」


 巨人族とは脳筋の極地みたいな種族で、なんでも力で解決させていたのが原因で滅ぼされたと書いてあったと思う。


「多分、純粋な巨人族は身長が5m以上あったらしいから、巨人族のハーフと言ったところにゃね。」


「なるほど。 確かに完全な脳筋に校長先生は出来ないか。」


 なんでも力で解決する様なカオスな冒険者学校には怖くて入れないからな。


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