第144話 カーラ先生

 初登校の日。



 自分とセシリア、ブラットは座席に座って待っていると、時間ギリギリでコーデリアとシンシアに連れられたエレナが登校してきた。


 【チェスガン学園】時もそうだけど、エレナは相変わらず朝が極端に弱いのは改善されてなかった。


 自分達を含むクラスメイトが全員席について、しばらくすると数人の教師が入ってきた。


 その教師の中でも独創的な女性が前に出て話し始める。


「私は今日からお前達の担任になったカーラだ! 私は他の教師より厳しいらしいが、頑張って卒業しろよ! 何か質問はあるか?」


 担任のカーラ先生は長い赤い髪をしたドワーフ族の女性で、服装は何故かあまり着る人のいないビキニアーマーを着ていた。


 ビキニアーマーと言えば、前世でやった昔のゲームではよく出てきていたな。


 カーラ先生は引き締まった筋肉と巨乳のエロい身体していたが、全身が古傷だらけであまり魅了を感じないアンバランスな感じの先生だった。


 防具店では、たまにビキニアーマーを売っているのは見た事があるけど、実際に着ている人は初めて見た……。


 しかし、カーラ先生は何で学校でもビキニアーマーなんだ?


 先生なんだから普段は服を着て、戦闘訓練時に着替えるので、良いはずだ。 他の先生はスーツを着てはいるが鎧は着ていない。


 そんな自分の心を代弁する様な勇気あるクラスメイトがいた。


「先生! 何で教師なのビキニアーマーなんですか? しかも古傷が凄い多いのはビキニアーマーのせいですか?」


「お前は変わった質問をするな。 私がこの格好でいるのは、街中をビキニアーマーで歩けば、ガラの悪い冒険者が私の身体目的で近付いてきて、そいつらの誘いを断ると私がガラの悪い冒険者に襲われるからだ!」


「「え???」」


 自分も含めて、この先生が何を言っているのか解らなかった……。


「まだ、子供にはわからないか? おい、お前は魔獣に襲われたらどうする?」


 質問したクラスメイトがカーラ先生に聞かれていた。


「倒せるなら撃退します。」


「そう、撃退するんだ。 街中で絡まれたら正当防衛が成り立ち、合法的に冒険者と戦える。 しかも勝てばお金も貰える。 魔獣と戦うのも良いが動きが単調で面白くない、その点で冒険者は馬鹿でも戦闘のセンスが良い奴もいるから面白い。」


「「……」」


「それとビキニアーマーと全身の傷は関係ない。 この傷は若い頃に街の外で輝く剣を持った男に襲われてな、その時に重傷を負った時の傷だ。 それ以降、対人戦が楽しくてビキニアーマーを着るようになったんだ。」


「カーラ先生! ビキニアーマーを着た位で冒険者がそんな事をしますか? リスクが高過ぎる気がするんですが!」


 確かに、街中に限らず人を襲うのはかなりの重罪だ。 ビキニアーマーを着ているからナンパする事はあっても襲うのは無さそうである。


「それはこのビキニアーマーに【魅了】と【暴走】という付与効果があるからだ。 今は発動してないから安心しろ。 あと、金は巻き上げるが罪にはならない様にしているから、恨まれる事はほとんど無いぞ。」


 それって、襲ったほうは被害者じゃないのか?


 この人、ほんとに教師か?


「お前も私に挑戦していいぞ!」


「「(誰もやらねーよ!!)」」



 その後は副担任3名が紹介されたが、普通の人みたいだった。


 ヤバいのは担任だけだな、しかし、カーラ先生は強そうだけど、そんなカーラ先生に重傷を負わせるなんてやばい奴もいるんだな……。


「おい、そこの赤髪のお前! このクラスの中でも強そうだな? このホームルーム後に模擬戦するか?」


 いきなりブラットがカーラ先生のターゲットにされていた。


 ブラットはドワーフ族のハーフだけあって、体格は子供にはみえないから絡まれる姿は貴重だった。


「いや、今日の授業はどうするんですか?」


「そんなのは私の気分だ! 冒険者なら絡まれる練習もしておけ。」


「そんなのでいいんですか?」


 ブラットは副担任達に視線を向けると、無言で頷かれていた。


 良いのか……。


 いつもの事なのか?


「分かりました。 じゃあ後でお願いします。」


「おう、戦いが楽しみだな。」



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