第122話 魔法戦

 学園の昼休み中、セシリアの更なる強化案などを考えていたら自分を呼んでいる上級生がいるとクラスメートに言われた。


 自分には上級生の知り合いなどほとんど居ないのに誰だろう?と思って教室の外に行ってみると、銀髪の綺麗な女子がいた。 この人が自分を呼んだのかな?


「えっと、僕を呼んだのは先輩ですか?」


「ええ、そうよ。 私の事くらいは知ってるでしょ。」


 胸を張って言われても知らないよ……。 この銀髪の女の子は背は自分と同じくらいだが、胸の強調が激しかった。 きっとエルフ族の宿敵だろう。 低学年でこの大きさはヤバいな。


「いえ、分からないです。」


「あなた、私の胸を見過ぎよ。」


「あっ、すいません。」


 胸を見ながら話しかけてしまったからな……。 というか後からコーデリアさんとシンシアさんの視線がいたい……。


「はぁ~、まあいいわ。 私はアメリア。 この前までは学園最強の魔法師って呼ばれていたわ。」


 自分で学園最強って言えるのは凄い自信だな。 自分なんて家族や幼なじみと比べてしまうと全然自信もてないよ。


「アメリア先輩でしたか、噂は良く聞いています。 それで何の用ですか?」


「要件は魔法戦の決闘をしましょう!」


「決闘? なんで?」


「それは学園最強の魔法師のままで卒業したいからよ。 『学園最強』と『学園二位』では全然違うわ。 将来の就職にも影響が出るわ。 だから『魔法戦で学園最強』になりたいのよ。」


「な、なるほど。 それじゃあ、僕が決闘で負けたって事にしてもらって構わないですよ。」


「そうじゃないわ! 私はあなたに勝って『魔法戦で学園最強』になりたいのよ!」


「いや、大会とかでも無いのに、僕がアメリア先輩と決闘する事にメリットが無いですから。 そうだ、エレナと戦って勝てれば『実戦で学園最強』ですよ。 エレナは実戦ならブラットより闘技で強いし、僕より魔技で強いですよ。 」


「そうなの? ……でもエレナさんの強さを証明する機会がもう無いですわ。 あなたにメリットがあればやるのね?」


「ええ、僕にメリットがあれば良いですよ。」


「それなら、あなたが勝ったら私の胸を好きにして良いわ。 私は負けないけどね。」


「な、なんだって!?」


 胸を好きにして良いって……。 推定Gはありそうなあの山を……。


「「うおおおっ!!」」


 気か付いたら他クラスの生徒達まで集まって来ており、主に男子達があの胸を揉みたいと言わんばかりに絶叫していた。


 しかし、背後から只ならぬ殺気が2つ……。


「……レイくんはやっぱり大きな胸が好きなんですか?」


「やっぱり、巨乳が、勝つの、ですか?」


「いや、そんなこと無いよ? ふたりにも巨乳には無い強みがあるよ。」


「それはなんですか?」


「是非、聞きたい……。」


 この選択肢が正解かは分からないけど、もう後戻りは出来ない……。


「ふたりにある強みは『幼女』というアドバンテージだよ!」


「それは強みなんですか?」


「レイさんは、『幼女』が、好きなんです、か?」


 う~ん。 自分が『幼女』を好きだと言ったら変態な感じがするぞ……。 でも……。


「まあ、好きかな?」



「ちょっと、そこで変な雰囲気を作らないでくれる? 私との決闘はどうなるのよ!」


「えっと、無しで?」


「それは困るわ! 負けたら何でも言うこと聞くから、決闘してよ!」


 アメリア先輩はどんどん泥沼にハマっていくタイプだな……。 


「分かりました。 決闘するとしてルールはどうするんですか? 魔法戦ってのと普通の戦いの違いが分からないんですが……。」


「やっと受けてくれるのね! 魔法戦は物理スキルが禁止の戦いよ。 魔法を纏った攻撃なら近接攻撃もありよ。 魔法戦で近接攻撃をする人はほとんどいないけどね。」


「なるほど、魔法さえ纏えば何でもありって事ですね。 武器や防具は制限があるのですか?」


「そうなるわね。 あと、武具に関しては制限が無いわね。 でも、私の装備はかなり良いからハンデが必要かしら?」


「ハンデはいらないですよ。」


 どちらかというと自分は武具でカバーするタイプだからアメリア先輩の方が不利になるのだけど、それを言うとキリがない。


「まあ、そうね。 それじゃあ、明日か明後日に決闘で良いかしら?」


「今日でも良いですよ?」


「……分かったわ。 それじゃあ、一応、先生に報告してからやりましょう。 あなたのクラスはロナルド先生だったわね。」





 ☆



 それからお互いの担任に話をつけて、先生がいる前での決闘になった。 危ないときは先生が割って入る為だ。

 決闘場所はいつもブラット達が使っている修練所で、みんなには申し訳ないが少しの間、スペースを開けて貰う事になった。


「おい、レイ。 間違っても修練所は壊すなよ? 出来れば防御壁も壊すな。 再度、展開させるにはお金がかかるからな。」


「それはアメリア先輩次第ですね。 強さがよく分かりませんから。」




 アメリア先輩は先程の制服とは違い、魔法師っぽい高そうな生地の服やアクセサリーを着ていた。 武器は小さなワンドみたいなものを持っている。


 それに対して、自分は【魔導服】だけを着ていた。 【魔導服】だけでもアメリア先輩の装備全てよりも高性能みたいだから、武器を使うのは止めた。


 決闘の勝敗は相手が降参するか先生が止めるかで、重傷をおわせるのは禁止されていた。


 ちなみに自分の作戦は、ひたすらアメリア先輩の攻撃魔法を防ぎ、適当な攻撃で決闘を長引かせ、最終的には負けるのが狙いだ。


 ぶっちゃけ、アメリア先輩に勝っても変なフラグが立つ気がするから、出来れば避けたい。 そしたら負けるか引き分けしかない……。 そう言えば引き分けって時間切れ? 時間制限も決めていないからな。 いきなり引き分けの条件も聞きづらい。


 そんな事を考えていたら、審判のロナルド先生とサポ審判のアンヘリカ先生の準備が出来たみたいだ。


「それじゃあ、アメリアとレイの決闘を始める。 アメリアが勝利した時の条件は『実戦で学園最強を名乗れるようになること。』、レイの勝利した時の条件は『アメリアがどんなお願いでも1つ叶える。』だ。 というか、アメリアはこの条件で本当に良かったのか?」


「だ、大丈夫よ。 私、負けないですから!」


「……レイ、仮に勝っても学生らしいお願いを期待しているぞ。」


「はい、大丈夫ですよ。」


 自分とアメリア先輩は構える……。


「それじゃあ、始め!」


 僕は【魔導壁】を多重展開していく。 確かアメリア先輩の得意魔法は光属性の【光収束魔法】である【レーザーガン】が得意魔法というのは、アメリア先輩の顔を知らない自分でも知っている位は有名だった。


 とりあえず、牽制の意味を込めて、弱めの【魔導弾】を20発ほど撃ち込んでおこう。 多分、アメリア先輩も防御魔法で防ぐだろう。


「きゃあ!」


「あれ?」


 ……と、思ったらアメリア先輩に【魔導弾】が全て直撃してしまった。 何故、防がない。


「さ、流石【魔眼】使いね。 【無属性魔法】を使いこなすなんて……。」


「なんで今のを防がないのですか?」


 素朴な疑問を聞いてみる。 手加減した【魔導弾】でも一発一発が子供のパンチ位の痛さはあるから、20発も受ければかなり痛いはずだ。 現にアメリア先輩はちょっと涙目だ……。


「そんな事、上級クラスの戦闘のプロじゃないんだから、見えないものは防げないわよ!?」


 えっ? ブラットや、エレナは普通に回避したりするんだけど……。


「こうなったら、やられる前にやってやるわ!」


 アメリア先輩は魔力を手の前に集め始めてから圧縮し始める。 あれは自分の【圧縮魔導砲】に近い感じがするな。


 それからアメリア先輩は圧縮した魔力弾に光属性を付与した【レーザーガン】が放たれるが、簡単に自分の【魔導壁】に防がれる。


「なんですって、【無属性魔法】で私の【光属性魔法】を防いだ!?」


 アメリア先輩は凄くビックリしている。 しかし、自分にはアメリア先輩が圧縮する時の【魔力操作】の効率が悪い印象を受ける……。


 それからアメリア先輩は【レーザーガン】を防がれたのが納得しなかったのか、先程よりも威力を上げて撃ってきたが、自分の【魔導壁】を壊すまでには至らなかった。


 予想以上にアメリア先輩は弱かったが、この位で良い勝負が出来ている演出は出来たはずだ。

 自分が負けるにしてもいきなり【レーザーガン】1発で負けたら嘘臭いので、お互いに数発を撃ち込んでから負ける計画だった。


 そして、これからは負ける為に【魔導壁】を破壊されて、ピンチになる演技でもしようかなと考えていた所で、アメリア先輩から信じられない発言が飛び出す。


「負けを認めるわ……。」


「……えっ?」


 負けを認める? これから負ける演技をするつもりだったのに?


「だから負けを認めると言ったのよ! あなたの勝ちよ!」


「いやいや、もうちょっと頑張りませんか? 次、【レーザーガン】を撃ったら防御が壊れるかもしれませんよ?」


「……あなたの余裕のある顔を見れば分かるわ。 あなたはまだ本気じゃないでしょ? それに比べて私はさっき放った魔法が全力だったわ。 それを簡単に防がれれば実力差が分かるわ……。」


「……。」



「アメリアの棄権により、決闘の勝者はレイ!」


「「うおおおっ!」」



「負けたからには約束は果たすわ。 何でもするから言いなさいよ。 あ、あなたなら胸を揉むでも、恋人になるでも良いわよ……。」


 いや、こんなにギャラリーの居る中で胸を揉むとか発言したら完全に黒歴史だよ。 というか恋人になるってなんだ? 


 どう答えれば良いか分からなかったので……


「後日返答でも良いですか?」



 アメリア先輩が卒業するのもあっと言う間だろうから、それまではこれで逃げ切ろうと思った。 


 保留からの無かった事にする作戦。



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