第121話 セシリア強化 ②

 文化祭が終わってから数日間が経過して、ガーランさんの治療は順調に進んでいた。


「ガーランさん、眼と身体の調子はどうですか?」


「大分良いと思う。 片眼に関しては昔に戻ったみたいに視力が回復したが、もう片方は変わらずに失明したままだな。 あとは身体能力は落ちた気がするが調子は良いな。」


「片眼は完全に【結晶化】して【風の結晶】になっているので戻らないですね。 身体はもう少し治療をすれば昔の様になると思います。」


「しかし、まさか【聖霊眼】の適正者が風の【巨大結晶】の影響を強く受ける特殊体質の者とは思わなかった……。」


「【巨大結晶】の影響を受ける事で能力向上などの恩恵もある代わりに徐々に身体が不自由になるから難しい問題ですね。」


「私にしてくれた治療法がもっと誰にでも出来ればみんなに話しても良いが、現状はセシリアさんしか治療が出来ないなら誰にも言えないな……。 混乱も起きるかもしれない。」


「今のところはその方が良いかもしれないですね。」



 その後、ガーランさんは片眼と身体の【結晶化】を完全に治療してから、エルフ族の里に帰って行った。



 ☆



 自宅地下にて。


「ガーラン様の【結晶化】をかなり吸収しましたので、風の【結晶能力】を使いこなせる様になりました。」


「セシリアは【風の魔結晶】と【虹結晶】を体内に取り込んで調子はどう?」


「【虹結晶】を7個取り込み私の【虹結晶】と内部で【同期】したら【虹結晶】7個の名前が【虹多重結晶】になりました。」


「なんか凄そうな名前だね。 しかし何でそんな変化が起こるのかよく分からなくなってきたな。」


(イメージ的にパソコンのCPUが8コアに進化したみたいな感じなのかな?。)


「変化の原因が正確には解りませんが、性能は簡単に言うと以前、話した通りに演算処理能力が上がり、私は風属性能力を使えるようになりました。」


「そしたら、セシリアは風属性能力を全て使えるの?」


「将来的には使用出来ますが、現在は練度不足によりほとんど使用出来ないみたいです。 とりあえずは初級レベルなら使えます。」


「練度不足は訓練とか1人でやってるから上がりにくいのかも。 本当は師匠みたいな人がいれば良いけど、セシリアの秘密がバレるにはまだ早いからな……。」


「バレるにしてもマスターが成人後が良いんですよね。」


「うん。 まだ親に迷惑かかることはしたくないからね。 セシリアには悪いけど、それまで地味な修練を頼んだよ。」


「わかりました。 マスター。」


「ガーランさんの治療でわかったけど、他の【巨大結晶】から【結晶能力】の吸収が出来そうだよね?」


「いえ、多分ですが【巨大結晶】は既に【結晶化】が終わっているものとすれば吸収する余地が無いと思います。 なので【結晶化】中の人からしか吸収が出来ないと思います。」


「セシリアの強化の為にガーランさんみたいな人の治療をするのも気持ち的に微妙なんだよね。 全員の治療するなら良いけどね。」


「もしかしたら私の吸収能力の問題かもしれません。」


「あ~。 その可能性はあるね。 【巨大結晶】になるともっと高い吸収能力が必要になるのかも。」


「全ては推測ですけどね。」


「そうだね。 しかし、セシリアに搭載されている吸収能力以上のものを作るのは現状は無理かな。」


「マスターは【魔導スライム】に吸収能力を付けられずに苦戦していましたからね。」


「【魔導スライム】は【魔石分解珠】と【魔素属性変換珠】を使い、食べさせて消化させるのが精一杯だったからね。 結局は何でセシリアだけ【魔素圧縮吸収】の吸収能力があるかは解らなかったしね。」


「私も元々の能力や体内での変化がなんで起きているか解らないことが多いんですよね。」


「将来的に【巨大結晶】の近くを冒険して【結晶化】で困っている人を治療するのが無難かな……。」


「それか自然に【虹結晶】が【魔結晶化】するのを待つのもありだとは思います。」


「時間はまだまだあるしね。 成人するまでは気長に行くしかないかな。」


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