第117話 文化祭(裏)① ファンクラブ結成?
【リサ視点】
文化祭1日目……
私はチェスガン学園の教師になって4年目になっており、今は4年生の担任をしていて、生徒に頼られるのは良いのだけど……。
「はぁ……何か刺激がないかしら?」
私は今年で21歳なのに、彼氏はおらず……帝国で人気の男性イケメン歌手グループが大好きで、給与の半分はそのグループのグッズに消えていた。
まあ、私が教師になったのも、合法的に若い男の子と話が出来るから……とは言っても、話をするだけで変なことはしていないから全く問題は無い……。
今まではそれで満足していたのだけど、最近になって同期の女教師が、男教師といきなり付き合いだすという事件が起きたことにより、私の中での何かが変化した気がした。
「まあ、だからと言って、あんなダメ男とは付き合いたくはないけど……でも、ちょっと、楽しそうなカリーヌを見ていると、羨ましいわね」
「リサ先生、さっきからなにをブツブツ言ってるのですか?」
「ああ、ディアナ? なに、文化祭だって言うのに私と戦いたいの?」
「はい! 試したいスキルがあるのもありますが、闘技の部の4連覇がかかっているので、最終調整したいんです」
「はぁ、まあ、良いけど……ディアナに勝てる生徒なんてアメリア位じゃないの?」
「そうですね、ですが油断は出来ませんから!」
クラスは見学の日だったので、私も暇だったしちょっとだけ付き合うことにした。
ディアナは私のクラスの生徒で、チェスガン学園の最強王者として4年間君臨してきた戦闘面だけで言えば優秀な生徒だった。
私も学生時代は斬鬼の超美少女とよく分からない異名で呼ばれていただけあって、戦闘面では少し自信があったので、たまにディアナの相手をしていた。
「最近では、あまりアメリアも私の相手をしてくれないので、リサ先生みたいな強者が担任で有り難いです!」
「まあ、低学年に負ける気はないけど、でも私が強者に名乗るのは無理があるわね……」
私は学生時代、一度だけ本当の強者をこの目でたまたま見たことがあるけれど、私がどんなに修行をしたって到達出来ない領域があるのだと知ってしまったことにより、剣で生きていくのは無謀だと悟り、教師になることにしたのだ。
「ソウナンですか? 私にはリサ先生は憧れる強さがありますよ」
「ありがとうね……でも、ディアナが冒険者を目指すなら、私レベルは軽く超えられないとやっていけないわよ」
「冒険者とはそんなに凄いんですか!?」
「ええ、超級を超えた冒険者はどれも異次元の化け物ばかりよ。」
そう、上級レベルも凄いが、死ぬ気になって修行すれば、なんとかなれる気はするけど、超級というレベルを超えた辺りから、一気に化け物じみた異次元の強さになっていくのだ。
まあ、上級と超級の間にはとあるスキルが使えるかどうかで決まるのだけど……ディアナに言って真似されて死なれても困るから言わないけど……
それから少しディアナと戦って、ダメな点を指摘して別れた。
「ふぅ、ちょっと汗かいたし……冷たいものでもってだしてる処にでも入ってみようかしら?」
毎年、私は文化祭で可愛い男の子が居ないかをチェックしながらクラス展示等をうろうろしているのだけど、今年はカリーヌの件で、やる気がでなかったから、全然チェックしてないのよね……
「あら? 何かしら、あの行列は……メイドカフェ?」
でも、学生がやるメイドカフェなんて……2年生の出し物だし、ちょっと入ってみようかしら……
去年は学園内で不祥事があったから、2年生はあまりチェックが出来てなかったので、ちょうど良かったわ……。
メイドカフェとは帝国発祥の独自文化だとか、なんかの情報誌で見たことがある……私はまだ帝国に行ったことがないから、メイドカフェというものは文字でしか知らないのだけど、メイドカフェをやるってことは、王国の生徒なのに帝国の文化を知っているってことよね?
もしかしたら、うちの生徒に帝国出身者がいるのかもしれないけど、そもそもメイドカフェは、子供が行くような店でも無いから疑問に思った。
普段なら女の子には興味がないから行かないが、あそこまで並ぶのは珍しい……。
ちょっと気になりメイドカフェの列に並んでしまった。
それが私の今後を左右するとは知らずに……。
☆
メイドカフェ店内。
まさか、入場するのに3時間かかるとは思わなかった……。
青少年達をチェックする貴重な時間を無駄にしてしまった……。
それにしても、入り口で入場案内をしていた生徒は、随分と機転が利くし、視野も広く、的確に人を捌いていた。
きちんと教育を受ければ、軍師や経営などになれるかもしれない。
そして見た目もそこそこイケメンであった。
金髪で……
私は心のメモリーに新しい情報を書き込んでいく。
そしてやっとメイドカフェに入店する事が出来た。
「「お帰りなさいませ、ご主人様!」」
その瞬間、私は感電したかの様な衝撃を受けた。
お出迎えしてくるれたのは全員が可愛い女の子ではあるが、1人だけ男の子がメイド服を着たような子が居たのだ。
女の子なのに男の子の要素を持ちながら、可愛さを失わず、寧ろ男女両方の良いところ引き出している。
こんな逸材を1年以上見逃していたなんて、過去の私を棍棒で殴りたい気持ちだった。
その女の子はブルーちゃんというみたいだ。
私の脳内永久保存メモリーに保存だわ。
席に着くと、別のエレナちゃんが来てメニュー説明をしてくれた。
「この中で一番人気はラブオムライスですにゃ。 お気に入りの子にその場でケチャップアートをしてくれますにゃ。」
「そしたら、ラブオムライスをブルーちゃんでお願いね。 あとは食後にコーヒーも貰うわ。」
「かしこまりましたにゃ。」
ちょっと何かを飲むだけの予定だったけど、あんな反則的なサービスを説明されたら、頼まないと失礼じゃない!?
5分経過して、ブルーちゃんがラブオムライスを持って来た。
こんなに混んでるのに、随分と料理が出てくるのが早いわね……。
奥で料理を作ってる教師はきっと料理経験があるのね……もしかして、教師が帝国出身?
「ご主人様、ラブオムライスをお持ち致しました。」
やっぱりブルーちゃんは可愛いわ。
私が大好きな男性歌手グループよりも好きになりそうだわ。
「ケチャップアートが出来ますが、如何致しましょうか?」
「……そうね。『リサ先生 大好き』でお願いね。」
「え!? か、畏まりました、ご主人様。」
ブルーちゃんがおいしくなーれ、おいしくなーれと言いながらオムライスに文字を書いてくれた。
ぶはっ!!
な、なんて可愛いの……。
くっ! 連れ帰りたい衝動が!!
しかしダメよ私!
それは犯罪だからね!
そして楽しい時間は、あっと言う間に過ぎていき……。
「申し訳ありません。ご主人様。 そろそろお時間になります。」
「もうそんな時間なのね。 とても残念だわ。」
そして私の夢の時間は終わった。
☆
メイドカフェからの帰りにて。
私と同じくメイドカフェから出て来た学生の会話を聞いて閃いた。
「いや~、あのブルーちゃん可愛かったな。」
「間違いないな!」
「ブルーちゃんみたいな子が団長をやっている騎士団とかあったら速攻入団して魔獣からブルーちゃんを守る壁になるわ。」
「俺も命を懸けても良いかな。」
「守りたいわ~。」
そうだ!
私はとある名案を閃く!
アイドルグループで良くあるファンクラブを作って、ブルーちゃんを害虫から護ろう!
「ちょっと君たち、良い話があるんだけど、聞かない?」
「「り、リサ先生!?」」
「(やべえ先生に声掛けられたな……。)」
その後、学園の非公式ファンクラブ【蒼護騎士団】が結成される。
姿を見せない影の団長と3年生の生徒2名が副団長として、初期メンバーとされた。
そして非公式なのに資金はそこそこある不思議なファンクラブだった。
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