第113話 セシリア強化 ①
ガーランさんの治療を終えてから、ガーランさんはマティアスと会うために別れたあと、自分とセシリアは寮に戻らず、自宅地下へ一緒に来ていた。
目的は、先ほどの治療中にセシリアがお願いがあると言っていたことを聞く事だ。
【魔素通話】で話せば誰にも聞かれる心配も無いから、便利だけど……やっぱり話し合いやお願いなどは対面して話したいなと思ってしまうのだ。
「さてとセシリアのお願いって何かな?」
基本的にはセシリアからのお願いは不可能なことで無い限りは叶えて上げたいと思っている。
まあ、セシリアが不可能なことを言って来ることはないだろう。
「その前に報告がありまして【魔導スライム】の1個のコアが【風の魔結晶】になった事により、進化した【魔導スライム】とだけですが【同化】する事が可能になりました。 感覚的にはその内、全ての【魔導スライム】のコアも時間をかければ自然と【魔結晶】化する様な気がします。」
「【同化】って事は【同期】とは違うんだね?」
似ているようで全く別次元の能力っぽい気がするな。
「はい【同期】とは違います。【風の魔結晶】と一時的に【同化】する事により【風の魔結晶】を私の体内に取り込み、私が風属性の能力を使えるようになります。」
「なるほど……もしかして、今までは【魔導スライム】経由で使っていた【風の衣】以外にも風属性が使える様になるの?」
「そこは【同化】してみないと分かりませんが、使えるようになる気はします」
【風の衣】も悪くないが、セシリアが他属性も使えるようになるのは大きい気がする。
「他の【魔導スライム】で【同化】は無理なの?」
「【魔結晶】まで進化しないと無理みたいです。」
「僕としてはセシリアが【同化】したいならして良いよ。」
「ありがとうございます。それでお願いはもう一つあります。」
「基本的にセシリアのお願いなら何個でも言ってもらって構わないよ。」
「はい、以前作成した【魔導スライム】に出来なかった【虹結晶】を7つを頂ければと思いまして。マスターが他に使おうと思っていたみたいだったのですが……。」
「ああ、あれね。セシリアが使うなら良いよ。前からセシリアと僕の強化に使うつもりだったからね。 セシリアが使うならきっと僕にもプラスになるだろうからね。」
「そうなのですか? それなら【虹結晶】は使わせて頂きます。」
「ちなみに何に使うの?」
「演算能力向上に使用したいのです。【魔導スライム】の【同化】に関する情報から【虹結晶】を体内に入れると【同化】に近いレベルで【同期】して使う方法を考えつきました。それに【同化】後に風属性を使うには今の私の演算能力では負荷が高そうなのです。」
「何か話が難しくなってきたな……【虹結晶】を体内に入れて演算能力向上すると属性付与がしやすくなりそうって事かな?」
「そうですね。今は【魔導スライム】に【結晶能力】の演算をさせていましたが、【同化】すると私のコアと一緒になり演算能力は使えなくなります。」
「僕が属性付与が使えないのは演算能力がないからか? ……そう言えば【魔導具】を使えば僕は全属性が使えるか……。」
【虹結晶】をパソコンのCPUみたいな感じで考えれば良いのか?
自分で作っておいてあれだけど、【虹結晶】は謎だからな。
「どうですか?」
「セシリア、そういう希望は大歓迎だよ。もっと希望を言って欲しいと思っていた位だしね。」
「それでは、私は作業に入りたいと思います。」
「僕も手伝おうか?」
「いえ、体内に取り込んだらこちらで統合処理するだけなので大丈夫です。それにマスターはそろそろ寮に戻られた方がよろしいです。」
「そっか。もうそんな時間なんだね。【虹結晶】にそんな使い道があるならもう少し量産化する?」
「そうですね。 現状では私が【虹結晶】をフルに使えるのは7個までですが、いつか必要になるかもしれませんしね。」
「分かった。なら一応、量産しておこう。資金的に大量生産は無理だけどね。」
こうしてセシリア強化計画が始動した。
そして今の話と今まで計画していた話を統合して、自分の強化計画が出来ないかなと考えるのだった。
しかしこの計画はリスクがありそうだから考えだけをレポートにでも残して、考えを纏めていこう。 現状はセシリアが強くなれば、僕は少し強いくらいで大丈夫だしな。
☆
【マーティナ視点】
私は誰もいない深夜の保健室で、眠れずにいたのでぼぉ~っとしていた。
日中にはブルーノくんやエレナが様子を見にきてくれたけど、保健室内では短時間の滞在しかダメらしく、ブルーノくんやエレナは直ぐに帰られていた。
「はぁ、何だか眠れないし……暇だなぁ」
「思ったより元気そうだね?」
急に部屋が明るくなる。
「えっ、マグナさん?」
保健室の入口を見ると、保健室の明かりを付けていたマグナさんがいた。
しかし、何で深夜の学園内に【バベル】のマグナさんが入れてるの?
「本当はもっと早くお見舞に来たかったんだけど、流石に私とマーティナさんの関係性を知られるのは、何かとマズくてね……」
「やっぱり【バベル】のことがバレない為ですか?」
「うん、そうなんだけど……私達のことを……あっ、私がマーティナさんに会いに来たのがバレたみたい……ごめんね。また来るけど、身体のことは私達がしっかりと対処するから、気にしないでね」
マグナさんは、伝えたいことだけを伝えると、逃げるようにして保健室から出て行ってしまった。
何かから逃げてる?
「あれ?」
さっきまでは薄暗い部屋にいたから、気が付かなかったけど……私の視界に真っ白なものが見えたのだけど、これは髪の毛……いや、日中は鏡を見たときは普通だったから、気のせい……じゃない、これは気のせいじゃなくて本当に白くなってる?
え、なんで?
私は直ぐに保健室内にある洗面所へ行き、鏡を見てびっくりする……
「これって、どういうこと?」
私の髪色はキラキラと少し輝く銀髪になっていて……更に驚くことに瞳の色が金色に変化していた……。
「あっ……さっきマグナさんが身体のことは対処するって言っていたのは、この事?」
いったい私の身体は……どうなってるの?
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