第98話 ???


とある会議室の様な質素な部屋で、話し合いをしているもの達がいた。


会議室の様な部屋には、デカい円卓があり、そこには沢山の席があったがほとんど空席であった。



そして現在、席に座っているものはたった3名だけ……。


1人目は、神々しい金色の鎧を着た40代近い男で、ワイルドな見た目とは裏腹に、知性あふれる印象を受ける不思議な雰囲気をしてもの。


2人目は、絶世の美女の言っても良い完璧なスタイルに万人を魅了する容姿、ダイヤモンドの様な輝きなのに半透明なドレスを纏い、美しい4枚の羽を生やしたもの。


3人目は、スーツの様なグレーの服を着て、髪は腰位まで真っ直ぐ伸ばした、一見すると女性の様な美しさをもつ美青年、しかし容姿は知性と共に狡猾な印象を受ける矛盾したかの様なもの。




40代近い男が羽の生えた美女に話しかける。


「おい、クピド……例のアーカイブ略奪計画はどうなっている? 前回の報告から大分経つだろう?」


「大丈夫ですよ、マルス様。計画に問題はありません……半年前に同じ報告をしたばかりじゃないですか。」


「例のアーカイヴ略奪計画は失敗するわけにはいかないんだぞ? 報告はもっと細かくしろ。計画の状況により必要なら数を増やすし、計画も修正する必要があるのだぞ。」


「既に私以外も動いてるのですから、数がこれ以上増えたら逆に向こうにバレるわ。」


「それもそうか……あっちの世界はガイアの複製世界だった癖に、今では俺達ガイアより豊かになりやがって……妬ましい限りだな。くそっ、何故我々が下級クラスの複製世界を気にしなくてはいけないのだ……考えるだけでもイライラする」


「ガイアは現在、発展し過ぎて崩壊寸前ですからね。」


そこで知性的な青年が話してくる。


「あと、クピドさんの担当である【勇者】の成長はどうですか? 【勇者】を任命してからかなりの歳月が経過しているはずですが……?」


「現在は世界に慣れさせるため、自由にさせているわ」


「まだ慣れる段階なのですか? 【勇者】には即戦力になれるようにハイスペックな仕様になっているはずですよね……それに、わざわざ向こうの世界のようにステータスのあるゲームが得意だった人間を送り込んだから、そろそろ結果が出ていないとおかしくないですか?」


「そうね……確かに能力を使いこなす才能だけは抜群ね。その代わり、何故か頭はかなり悪いけど……それでも、まあまあ成長しているわ。」 


「頭が悪い……? 確か、あなたは頭脳明晰な人材に【勇者】を授けたと言いませんでしたか?」


「うるさいわねっ! 最初は頭脳明晰だったのよ! だけど、年数が経つにつれて頭がどんどんおかしくなって言ったのよ!?」


「なるほど……ですが、私達、支援担当が用意した【賢者】【拳聖】【剣聖】【勇者】の特殊な職種を使うのです、しっかり活用してくださいね。」


「……。」


「どうしましたかクピドさん?」


「私の担当【勇者】は、【魔獣使い】みたいになってるけどね……。」


「はぁ!? それはどういうことですか! 【勇者】は私達がかなりの力を使い、創り出した万能職種ですよ……? それを低級職である【魔獣使い】だなんて……」


「ヘリオスも知ってる通り、私の加護は魔獣に対する愛情で成長育成するタイプだからしょうがないでしょ?」


「まあ、クピドさんの加護はそうですが……それなら【勇者】じゃなくても良かったのでは?」


「……そこは本人が【勇者】が良いって言うから仕方ないでしょ。」


「おい、クピド。 ほんとーにその【勇者】は大丈夫なんだな?」


話を聞いていたマルスが不安になり聞いてきた。


「だ、大丈夫よ。マルス様は心配しすぎですわ。」


「他の【賢者】【拳聖】【剣聖】の担当しているもの達は、アフロディーテ、アテネ、エロスだったな……ちょっと人選に不安がないか、ヘリオス?」


「我々の計画は魔獣に頼らなくてはいけないので、この選別に……。」


「今更、変更は出来ませんから、フォローしましょう、マルス。」


「そうだな……。」


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