第87話 遠足?
プールの季節が終わりに近づいてきて、そろそろ秋が近づいてきた、ある日の授業前。
ロナルド先生からみんなに報告があった。
「さっき、職員会議で今年の行事予定が決定したから伝えるぞ!」
「ロナルド先生! 今年はもう半分が終わってますよ!」
「仕方ないだろ! 大人の事情なんだから俺に言うな!」
「うわ~。それ子供の前で言っちゃダメでしょ。」
「ダメついでに言うなら、俺が貰う今年の給与が半分になることも決定した! もう不祥事起こせないぞ。」
「マジですか?」
「マジだよ。次に問題を起こしたら良くて給与が7割カットだ! 給与の3割なんてその辺で適度に冒険者した方が稼げる位だからな? だからおまえ等は俺の生活の為にも絶対に問題起こすなよ! 絶対だぞ?」
適度に冒険者って……だけど、これは。
「それは問題を起こして欲しい振りにゃ?」
エレナが自分の想いを代弁してくれた。
「違う馬鹿やろう! 絶対に振りじゃないからな!!」
「……これは7割減が確定のフラグだな。」
確実にフラグが立ったなと思った。
「まあ……本題に入ると、1週間後に5日間かけて遠足の代わりに旅行に行く。そこから1ヶ月後に文化祭をする事になった。」
「旅行を5日間もですか?」
子供の旅行で5日間って長すぎないか?
しかも、1ヶ月後に文化祭って……
そう言えば、この世界の文化祭って何をするのかな?
「とりあえず一気に説明するぞ。まずは旅行の内容は職場見学で、場所は王国の産業都市と呼ばれる街 《ガスデール》だ。移動は専用の馬車で片道1日かけて移動する、向こうには夕方に到着後に同じ宿で4泊する。滞在は3日間だ。見学するのは職業紹介所、鍛冶工場、パン工場、建設会社、商会に行く。」
聞いただけでも、結構なハードスケジュールじゃないか?
「商会こん……。」
クライブが複雑そうな表情をしている。
「どうした? クライブ。」
「いえ、なんでもないこん。」
商会に何かあるのだろうか?
「そして文化祭は毎年恒例行事で5日間やっている。クラスの出し物が2日で、残り3日が競技大会をやる予定だ。競技大会は闘技が2日間、魔技と軽技が同日に開催の3種目で自由参加だ。」
ほう、文化祭っていうが、中身の半分は競技大会なのか。
「文化祭のクラスでの出し物は何がしたいか各自考えて、遠足後にどれが良いかを話し合おう。学園からクラス費として5万コルトが出るからお金の使い方も考えるようにな。そしてお金の管理は俺がするから相談してくれ。」
☆
「ブラットは競技大会には出る?」
「おう! 去年もあれば出たかったけどな。レイは魔技の部か?」
「出るか迷ってるんだよね~。」
「なんでだ? レイならせっかくの見せ場だし、絶対に出るって言うかと思ったぜ」
「いや、魔技の部って威力と命中率を競うらしいけど、僕の魔法は命中率は良いけど威力がね……。」
「レイは魔法の威力も十分に強いだろ?」
「そうでもないよ。僕が模擬戦で使っている無属性だと威力が弱いし、雷属性が有りだと強すぎるんだよね。」
「最近、お前が修練所を使わないのはそう言う理由なのか?」
「それもあるけど、最近はブラットとエレナについていけなくてね。」
最近はエレナはもちろんだが、ブラットとも修練所で模擬戦をしていなかった。
まあ、個別の訓練は毎日しているから、身体能力や【魔導】の細かい操作はかなり成長しているんだけど、なかなか新しい2人への打開策が見つけられないで迷走しているからだ。
「レイさんが、魔技が出ないなんて!」
近くで会話を聞いていたシンシアさんが驚きながら会話に入ってくる。
「シンシアさんは魔技の部に出るんだよね?」
「はい! レイくんとの訓練の成果を、お見せます!」
「レイくん、私も出ますよ。精霊魔法をお見せします。」
「コーデリアさんも出るのかぁ。負けても良いから出てみるかな?」
「そうですよ! 一緒に、頑張りましょう。」
自分もやっぱりみんなと一緒に競技大会へ参加する事にした。
闘技の部 ブラット、アラン、ブルーノ、マーティナ
魔技の部 レイ、コーデリア、シンシア
軽技の部 エレナ
☆
【マーティナ視点】
「はぁ、はぁ……」
最近、身体の調子が良い時と悪い時の差が激しくなってきた……
「大丈夫ですか、マーティナさん?」
【バベル】のマグナさんが心配してくれる。
「胸が苦しいです……」
漠然と胸の辺りが痛いと言うよりは、何かが抜け落ちている様な……心が削れているというか表現しにくい痛みが定期的に訪れていた。
「多分、一時的な薬の副作用が出ているのですね……安定するまではなるべくスキルの使用は控えて下さいね? 特に薬によって取得したスキルは使わないで下さい。」
「わ、分かりました……だけど、今度、学園で競技大会があるんです……」
「マーティナさんはその時に全力を出したいと言うのですか?」
「はい……出来れば、そこで強くなった私を見せたいです……」
「それはいつ頃なんですか?」
「約1ヶ月後位です……」
「1ヶ月ですか……ちょっと微妙かもしれませんね。本来、マーティナさんに打っている薬は完全に馴染むまで二年近くかかるものなので、あまり無理はして欲しく無いのですが……」
「……」
私としてはブルーノくんに早く強くなった私を見て貰いたいと思っていた。
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