第81話 魔獣登録
【魔導スライム】には庭で放し飼いをして良いのかを調べるまで自宅地下に待機してもらっている。
ぴょんぴょん飛んでいて可愛く思えてくる。
前世ではペットを飼った事はなかったので、ぴょんぴょんと跳ねる可愛いスライムを見ていると新鮮な気持ちになる。
「それにしても、結局この【魔導スライム】は自力で各属性を吸収することは出来ないのかな……?」
「現状では各属性の魔石を与えないとダメですが、将来的には外気の【魔素】から吸収出来るかもしれませんが、未知数ですね」
「謎ばかりで不思議だよね……」
各属性の魔石を与えているとは言っているが、ほとんどはクズ魔石で12体の【魔導スライム】はお金がかかっていないが、時属性だけは魔石自体が無いので、虹魔石を与えており、他よりもお金はかかっていた。
ちなみに各属性の【魔導スライム】を造ろうとはしているが、現状では使い道は有りそうで無い。
将来的には身体を透明化させ、コーデリアさんの言う精霊みたいな存在にしたいと思っている。
それまでは一応、扱いを特殊なスライムにしようと思っている。
☆
今日は目的のために、普段は来ない学園の職員室に来ていた。
ほとんどロナルド先生としか関わりがないから、生徒が職員室に来る必要性は無いので何故かちょっと緊張する。
今日の目的はやはり【魔導スライム】の件であり、聞きたいことは専門家に聞くのが早いという事で魔獣研究クラブの先生に会いに来たのだ。
「先生、魔獣使いについて聞きたくて来たのですが、時間ありますか?」
「少しなら時間あるよ? さくさく質問してね?」
先生は相変わらず会話が疑問系の不思議な人だが……そこは気にしてはダメなのだろう。
とりあえず、先生の言うとおりすぐ本題に入ろう。
自分は鞄から【魔導スライム】の1匹を出す。
「このスライムなんですが、ペットにしたい時はどこかに登録するんですか?」
先生に【魔導スライム】を見せると、先生は急に目を見開く。
「えっ!? 君は魔獣使いじゃないよね? なんでスライムに襲われてないの? なんで? あれ? なんで?」
先生は自分が思っている以上に不思議がっていた。
あれ?
先生の食いつき方が異様なのは何でだろう?
自分が魔獣使いじゃないから?
それも有りそうだが、先生が【魔導スライム】をいろいろな角度から見ているのを見ると、スライム自体が珍しいからだろうか?
そう言えば、この世界でスライムはまだ見たこと無いな……
もしくは【魔導スライム】が普通のスライムではないとすぐにバレたのか?
「ねえ、ねえ……どうやって懐かしたの? 謎ばかりだよ?」
「えっと、普通にスライムに懐かれたんですよ。それで勝手に街中で飼ったら良くないかなと思って先生に聞きに来たんですよ」
「それ、おかしいからね? 普通じゃないよ? まずスライムに意思はないから【魔獣使い】でも使役が出来ないはずだけど? どこかの研究機関が長年研究しているって聞いた気がするよ? しかも、私が結果を知らないってことは成功してないんだよ?」
「完全に意志がない訳ではないですよ。」
自分はセシリア経由で【魔導スライム】に簡単な命令を出す。
「え? 嘘だよね?」
「よし、ジャンプ!」
びょーーん!
【魔導スライム】はジャンプというか身体を縦に伸ばし、体内の【虹結晶】や【魔導具】を持ち上げた感じになる。
まだ意志はあっても、言葉を完全に理解していないのかな?
これは今後の課題かな。
いざという時に、止まれなど理解出来てないとシャレにならないからな。
「そ、そんな……もしかして……?」
「どうです? 実際に懐いていますよ」
「う~ん、そもそもスライムの生態って謎ばかりなのは知ってる?」
「いえ、そんなに謎なんですか?」
「うん、スライムは多種多様なタイプがいるけど、捕獲すると何故か勝手に死んで魔石になっちゃうから、生きたままに捕獲することが出来ない生き物でもあるんだよ? だから、研究させて?」
「それはダメですよ……それで僕がスライムを魔獣登録するにはどうすれば良いですか?」
あまり詳しくどこで発見したとか聞かれると説明し辛いので、自分の目的を速やかに聞いて撤退しよう。
「えっと、スライムは分類が謎だから、もしかしたら違うかもしれないけど、多分スライムは魔獣だから、魔獣の管理は魔獣センターに行って聞いてみて?」
「なるほど、魔獣センターに行くのに必要なものはありますか?」
「特にはないかな? 一応私の紹介状を書こうか?」
「それでは魔獣センターの場所を教えて欲しいのと、紹介状をお願いします。」
「わかったよ?」
☆
先生に紹介状を書いて貰い、魔獣センターに来ていた。
「すいません。魔獣登録をお願いします。」
「わかりました。 小さい魔獣ならこちらで対応します。 大型なら向こうのカウンターにお願いします。」
「登録はスライムなんですが大丈夫ですか?」
「……スライム? スライムってあのスライム?」
鞄から【魔導スライム】を1匹出す。
「こちらです。」
「うわ!! 本当にスライム……? しかも見たこと無い…… 新種かもしれないわ。」
「え?」
「こちらのスライムを少しお預かりしても良いですか?」
「僕の見える範囲でなら良いですよ。」
「分かりました。 すぐそこですから大丈夫ですよ。 それでは少々お待ちください。」
受付の女性が若干手が震えながらスライムを抱えて向こう側に行き、奥の人と話し合っている。
(スライムなのに一目で新種とかわかるものなのか……。 自分には全部同じに見えるのだけど。)
暫くして受付のお姉さんはスライムと共に戻るのきた。
「お待たせしました。 こちらのスライムは新種なのですが、どちらで発見しましたか?」
「……言わないとダメですか?」
「……いえ、大丈夫ですよ。 それでは魔獣登録をしますね。」
「ちなみに同じスライムが12匹いるのですが大丈夫ですか?」
「え!! あっ……大丈夫ですよ。」
受付の後ろがガヤガヤ騒がしくなって来ているが気にしないことにした。
そして無事に?13匹の登録出来る事になった。
レイの帰った後に魔獣センター内で大きな論争があった。
本当に新種だったのか?
スライムは使役出来ないとか。
13匹が全て別の属性だった。
1つの属性はわからなかった。
スライムコアらしいものが4つもあった。
☆
「セシリア、無事に13匹の【魔導スライム】の魔獣登録が終わったから、庭で自由にさせて大丈夫だよ。」
「お疲れ様です。マスター。」
「敷地外にだけは出さないようにね。 あと新種と勘違いされてしまったから、誘拐はいないとは思うけど不審者がいたら教えてね。」
「わかりました。マスター。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます