第79話 夏の湖へ

 僕達はみんなで湖へ向かう馬車に乗っていた。


 大型の馬車と何台かすれ違うので先生に聞いてみる。


「湖まで専用の馬車が出てるんですか?。」


「これから向かう湖は別荘地でもあるからな。 夏には湖周辺護衛の見回りや往復の専用馬車、観光用の店も出るんだ。」


(海水浴場みたいなものかな……。)


「それにしてもレイが持ってきたそのデカい荷物は何だ?」


「え? 今更馬車の中で聞くんですか?」


「いや、今が聞くタイミングな気がしてな……。」


「えっとですね。これは【ペンギンスーツ】なんです。」


「俺が知りたいのは何に使うものなんだ?って事だ。」 


「この【ペンギンスーツ】は見た目ペンギンの着ぐるみですがダイバースーツに風魔石が搭載されている機能スーツでして、水中をペンギンのように泳げる【魔導服】なんです。」


「【魔導服】ってなんだ? 聞いたこと無いぞ。」


「簡単に言うと【魔道具】を搭載した服ですね。」


「装備する【魔道具】は武器かアクセサリーしか見たこと無いな……。服の魔道具は意味あるのか?。」


「まあ、普通はアクセサリーで十分ですからね。 昔に【魔導王】が考案したものとされている服で、着ると全身の【身体強化】を適切な魔力で運用してくれるパワードスーツみたいなものですね。」


「パワードスーツが分からないが、確かにアクセサリーで出来る【身体強化】はあるが全身に同じ魔力が使われてしまうから無駄が多いらしいな。 ベテランは皆、【身体強化】はアクセサリーに頼らないらしいな。」


 昔に【魔導王】は【魔導服】に幾つもの魔導具を搭載していたらしいので本当にパワードスーツみたいだったのかもしれない。


 自分はまだ子供体型だから作っていないが、セシリアは大人の体型だからセシリア用の【魔導服】を試行錯誤しながら作っているところだ。 


(今回の【ペンギンスーツ】は魔石の搭載か上手くいったので湖にて試運転用に持ってきたのだ。)



 ☆



 馬車がやっと湖に着いたのでみんなゾロゾロと降りる、そして目の前に広がる光景は素敵な観光地だった。

 前世の記憶にある湖はあまり綺麗ではなかったが、ここの湖は綺麗で透き通った色をしていた。

 湖周辺も綺麗に整備されていてゴミは一つも無かった。


「俺はこのシートを拠点にして待機してるから、お前達は遊んでこい。 集合時間は3時間後だ。」


「「は~い!」」


「ではまず、みなさんに水中で呼吸が出来るようにしますね。 効果時間は30分だけなので注意してください。」


 コーデリアさんが魔法をかけてくれると頭をスッポリ覆う水の球が出来る。


「25分経つと球が水色から赤色に変わるので、変わったら私のところに来てください。 また掛け直しますから。」


 水中で息が出来るなんて本当に便利な魔法だな。


 しかし今の自分には不要だ。 何故なら【ペンギンスーツ】は全身を覆い、ほぼペンギンになれるダイバースーツで、風魔石を使い、呼吸も出来き、泳ぎも完璧になれる。



「レイ、なんだその着ぐるみは、へんな生き物みたいだな。」


 ブラットに笑われた……。


「ブラットはペンギンの素晴らしさが解らないのか? おい、身近にペンギンのいるアラン、ペンギンの素晴らしさを言ってやれよ!」


「……いや、ペンギンは馴染みの動物って以外は特に思入れはないぞ?。 しかし、レイの身長だと王様ペンギンの本物にしか見えないな……。」


「完成度は高いからな。」


「レイくん、【ペンギンスーツ】可愛いですね。」


「おお! 流石はコーデリアさん。 女子にはペンギンの良さがわかるのかも!」


「ペンギンは鳥みたいですが、空を飛んだりするんですか?」


「ペンギンは飛ばないかな……。 代わりに水中を飛ぶように泳ぐよ。」


「レイくん、私と一緒に泳ぎませんか?。」


「わ、わたしも一緒に、泳ぎたいです。」


「そしたら3人で一緒に泳ごうか。 【ペンギンスーツ】の背中にしがみついてくれればゆっくり水中に潜るよ。」


 30分おきに戻り、コーデリアさんが魔法をかけてはまた水中に戻って泳ぐのを繰り返した。



『セシリア、湖の中は見えてるかい?』 


『はい、マスター。 とても幻想的な輝きです。』


『大人になったらセシリアと旅をしてこういう自然を見せて上げたいよ。』


『良いですね。 私もマスターと多くの景色を一緒に見たいです。』






 アランの水嫌いは若干改善されたけど、まだまだ泳げはしなかった……。


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