第75話 セシリアショップ

 帰省から《チェスガン》に戻った後、店舗部の敷地で余っている場所にアパートタイプの社員寮を作った。


 社員寮は2階建ての全6部屋。1DKの間取りにした。

 以前の住宅作成時に購入した加工済みの部材を少しイジればアパートに利用出来る部材が多く余っていたから良かった。


 【建築】のスキルを使い、家などを建てていて気づいたのが戦闘の鍛錬をしているよりも身体にスキルが馴染んでいて、建築家や調理師として、これだけで食べていけそうな気がする……。

 やはり前世の職種や経験が大きく左右するのだろうか?。


 しかもクオリティが低学年生の能力じゃないな……。 既に前世の一流プロを超えているかもしれない。


 しかしそこはいろいろ職種を経験したおじさんが中身だから仕方ないか。


 社畜癖が消えず、ギリギリまで働いている方が落ち着くんだよな……。



 ☆


 《モロット》より希望していた助っ人が到着して、セシリアショップの従業員が2名増えた。


「リリです。 よろしくお願いします。」


「ネルぽん。 よろしくお願いぽん。」


「2人共、シーラさんの食堂でお世話になっていたし、気軽にでいいですよ。」


「私はセシリアです。 よろしくお願いします。」


 リリさんは人族で緑の長い髪に緑の瞳。背は160位。


 ネルさんは狸獣人で赤の短い髪に赤い瞳。背は150位。


 セシリアもだいぶ喋るのがうまくなってきて、動きも良くなっている。


「リリさんとネルさんには1階でお菓子を販売してもらい、セシリアには2階で雑貨を販売してもらう事にしました。」


「はい。 わかりました。」

「わかったぽん」


「店名は【セシリアショップ】にします。 セシリアを店長にしましたが、セシリアと僕が共同経営みたいな形になります。オープン予定は来週にしますが、最初は宣伝をしないから暇になるかもしれないけど給与は大丈夫だからね。」


「お店の宣伝をしなくて経営は大丈夫なんですか?」


「お菓子を作るのが僕だけだから、あまり忙しいのも困るし、たぶん露店時の固定客が来ると売上は大丈夫かな。」


「私はお菓子が食べられて、給与が貰えれば頑張るぽん!」


「お菓子の販売するものは1ヶ月単位で表を作り、売り出すお菓子を決めておきます。 1日30個の限定販売にします。」


「あと余裕があれば個別での大口注文も受けるけど、その時はセシリアに聞いてください。」


「わかりました。」

「わかったぽん!」


(たぶん、例のダンディー執事と女性騎士の人が露店時のお菓子を買い占めていたから、多分セシリアショップにも来るだろう、そして2階のアクセサリーで利益出す感じかな?)



「後は制服をどうするかな……。」


「セシリアさんが着ているメイド服が着てみたいです。」


「私もその服が可愛いと思ったぽん!」


「メイド服が気に入るのは想定外だな……。 これの黒い部分を赤とピンクに変えて明るいイメージにしても良いかな? セシリアの方は雑貨だから黒のままにしよう。」


「確かに店の外観もお菓子の家ですから、ピンクの方が似合いますね!」


「私もそれが良いぽん!」


(これでカフェにしたらまんまメイドカフェだな……。)



 ☆



【セシリアショップ】オープンの日。


 近隣の挨拶周りでお菓子を配布したのが噂になっていたらしく、オープン1時間でお菓子は完売していた。


「やっぱりレイさんのお菓子は中毒性があるから、一度食べたら買っちゃいますよね。」


「まさか、近所の主婦だけで完売は予想外だぽん。」


「確かに、近所の主婦を失念していたよ……。 お客さんが一気に来るから包装してある焼き菓子を常時置くかな?」


「それは良いかもしれませんね。」


「焼き菓子なら大量生産に向くぽん。」



 そんな話をしていると、ダンディー執事が来店してきた。


(あれ? まだ露店でセシリアショップの話はしていなかったはずだけど……。)


「こちらで至高のスイーツが販売すると聞いて来ました。」


「申し訳ございません。 本日分の販売は終了しました。」


 リリさんがダンディー執事に説明すると、膝から崩れ落ちた。


「な、なんだと……。」


「な、泣いてる……。」


 ダンディー執事の男泣きにリリさんがドン引きしていた。


 リリさんをこっそり呼んで、明日以降なら個別注文も出来ると伝える。


「お客様、数量によりますが個別注文も受けられます。 いかが致しますか?」


「おお! 神は私を見捨てなかった!」


「………。」


「すいませんお嬢さん、少し取り乱しました。 個別注文の件は是非お願いします。 可能なら毎日20個は欲しいのですが……。」


「確認して参ります。」



 ……。



「毎日は難しく、1週間に各5種類の50個なら大丈夫だそうです。」


「分かりました。それでお願いします。 受け取りは代理の者がお金と共に持って来ます。」


「わかりました。 3日後には50個用意しておきます。 専用の保冷箱を付けますから、必ずそれに保存してください。 次の商品の引き渡し時には保冷箱が必要になりますのでお忘れなく。 破損時も保冷箱は回収致します。」


「わかりました。 必ず持参させます。」





 そしていきなり個別注文が入った。




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