第69話 冬休み③
冬休みも1ヶ月位が過ぎたある日。
今日はエレナに付き合って町近くにある山に来ていた。
目的はエレナがエリーさんから【モロット】に戻ってきている時だけの日課と課されている薬草採取のお手伝いだ。
「山には何回か来た事あるけど薬草採取で来たのは初めてだなぁ。それにしても冬なのに薬草が取れるの?」
「一部の薬草が冬に効果が増えるから今のうちに取るんだにゃ。」
「へ~。その辺は野菜とかと変わらないんだね。」
「冬でも、たまに甘い木の実もあるにゃ。」
「それは楽しみだ。」
薬草の知識は全くないけど、【鑑定】スキルを使えば目的の薬草を探し当てることは出来るだろう。
あとは少しでもエレナの強さの秘密を探ろうというのが本来の目的でもある。
最近のエレナは神がかった強さであり、力や物理耐久力、速さみたいな明確な力の差が無い限りは勝てない存在へと変化していた。
これでエレナが物理的な速さを手に入れでもしたら、自分やブラットは確実にエレナと戦えるレベルではなくなる。
流石に幼なじみの女の子に圧倒的な差で負けるの嫌なので、どうすればエレナに勝てるのかを考えている。
☆
【特殊採取を取得しました。】
目的地の山で【鑑定】を使いながら3時間位かけて薬草や木の実などを採取していたら新しいスキルを取得した。
こういうちょっと変わったスキルの取得は相変わらず……突然だなと思う。
【特殊採取】 所持スキルの素材に使えるもの限定で採取場所がわかる。
【鑑定】結果も微妙に分かりづらい……建築、土木、料理、鍛冶、魔導科学に使える素材の場所が解るのかな?
このスキルの使用方法は特に無くて自動的に素材の場所がうっすら光るらしい……。
……らしいというか、そこら中が光っていて、どれが何の素材かよく分からない。
試しに光っている方に歩いていくと、草や木の実がもの凄い勢いで無くなっていき……
【アラサンテ草×14本を特殊採取しました。アイテムはストレージに入ります。】
【ポットク草×11本を特殊採取しました。アイテムはストレージに入ります。】
【ガリエルスの土×8キロを特殊採取しました。アイテムはストレージに入ります。】
【マリエス草×1本を特殊採取しました。アイテムはストレージに入ります。】
……
……
脳内に怒涛の勢いで特殊採取したであろう聞いたこともない草などの名前が脳内アナウンスされていった。
えっ……
これは自動採取なのか?
しかも乱獲ってレベルじゃない勢いで、全ての素材を刈り取ってしまうスキルらしい。
このスキルは凄いのだけど……ヤバいスキルでもある。
このままだと自分が通った道は素材がいっさい残らない不毛な土地に……
何とかならないか考えていると、【特殊採取】はスキルのオンオフや欲しいアイテムから逆算した素材だけを採取してくれる便利機能がある事が分かった。
スキルの取得時は全てがオンの状態だったみたいだ。
良かった……
とりあえず薬草やポーションを特殊採取出来るように設定して、光る場所へ走って回った。
しばらく走ったあと、エレナの方へ行ってみると相変わらず、すごいスピードで採取していた……。
「レイ、どうしたにゃ?」
「いや、ちょっとエレナの様子を見にきただけなんだけど、順調そうだね」
「いつも通りにゃけど、レイはどんな感じかにゃ?」
「一応、採取したのはこんな感じかな」
自分は【ストレージ】から採取したポーションなどの素材を取り出す。
「にゃ!?」
エレナが素材の量を見てビックリする。
エレナがビックリするのを見るのは久しぶりだから、何となく気分が良いな。
「あの時間だけでこれだけ取れたにゃ?」
「まあね、実際には一時間位かな」
【特殊採取】を取得してから一時間ほどだから、嘘ではない。
「一時間でこれだけ取れたらママ並にゃよ?」
「えっ、エリーさんは一時間でこんなに取るの?」
自分は場所も分かった上で、自動採取していたのに、エリーさんはこれと同じ量を普通に取れるっていうのか?
「そうだにゃ」
それは自分の方がビックリなんだけど……
「そう言えばエレナはさっきから迷いなく素材に向かっているけど、遠くから素材が見えるの?」
「流石に見えないにゃ。だけど【野生の勘】のスキルでどこにあるかが解るにゃ。」
「またそのスキルか……万能過ぎないか?」
「レイには言われたくないにゃ。」
「僕に万能なところがある……?」
その後、スキル効果で見落としが減り、採取スピードが少し上がっていた。
☆
今日の採取が終わり、町に帰宅途中での事。
「今日は、レイに手伝ってもらって助かったにゃ~。」
「いや、僕の方も良い経験が出来たよ。」
「レイはいろんな事が上手に出来るから凄いにゃ~。」
「僕はいろいろな事が出来るかもしれないけど、戦闘に関してはエレナとかに勝てないし、他のことも負けることが多いかな。」
(たぶん【ジョブホッパー】が器用貧乏なタイプなんだろうな。 【魔眼】が無かったら良いところ無さそうだし……。)
「レイは魔法師タイプだから1対1では仕方ないにゃ。」
「まあ、そうかもね。単独で無双する魔法師には憧れるけどね。」
「レイがたまに言っている【魔導王】みたいな感じにゃ?」
「あそこまでいけたらカッコいいかもね。」
「レイならなれそうな気がするにゃ。」
「ありがとう。 頑張るよ。」
「憧れと言えば、コーデリアとシンシアはどう思ってるにゃ?」
「妹のフローラみたいに可愛いよね。なんか懐いてくる妹が2人増えたみたいだよね。」
「(コーデリアとシンシアもレイを振り向かせるのが大変そうだにゃ……。)」
「なにか言ったか?」
「ひとりごとにゃ~。」
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名前・レイ(6歳)
状態・良好
属性・雷
職種・魔導技師3.3 魔導剣士4.6
種族・人族
パッシブ・人見知り、建築、土木、料理
素材の極み、鍛冶、パラレル思考
共感覚、魔導科学、特殊採取
アクティブ・魔導操作、鑑定、クリーン、ストレージ
武器強化、雷属性付与
魔導工房、魔導具作成、魔導弾
魔導手、魔導壁、魔導剣
圧縮魔導砲、魔導細胞生成
固有スキル・ジョブホッパー
鑑定の魔眼
装備・神木の小太刀
魔導圧縮銃
印象阻害の銀ブレスレット
容姿変更ペンダント
身代わりネックレス
重力カウンターの指輪
雷属性擬態の指輪
脱兎のブーツ
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