第68話 冬休み②
冬休み中にしか出来なくて実家にいる間にやっておきたい事を思い出した。
「お母さん、【回復魔法】について教えて欲しいんだけど良いかな?」
自分も【回復魔法】が仕えたら便利だなと思っていたので、一度お母さんから習って起きたかったんだよな。
遠足の時に自分が【回復魔法】を仕えていれば結果も変わっていたかもしれない。
「教えるのはいいわよ。だけど回復関係は【職種】に影響するから、レイには覚えるのが難しいと思うわよ? それでも良いかしら?」
それは予想していたことだから、問題ない。
そもそも【回復魔法】を使える人が少ない理由も、回復関係の【職種】自体が少ないのも関係しているのだ。
「うん、やり方だけでいいから知りたいんだ。」
だけど、もしかしたら自分ならば【魔導操作】で再現出来れば【回復魔法】みたいなスキルを取得出来るのではないかという気持ちがあった。
「それなら良いわよ。だけど私の場合は【回復魔法】が最初からあったから簡単なことしか教えられないわよ……そうね、まず【回復魔法】のイメージ方法だけど、【魔力】を粘土みたいに考えて怪我や欠損部分の無くなったものを作り、くっつけるように考えてるわ。」
「【魔力】が身体の欠損部位に変化するの?」
お母さんの話を聞いていると、【魔力】がその人の欠損部分の代わりになるみたいな感じだな。
しかし、その話を聞くと【魔力】とは何なのだろう?
属性付与したりスキルにより様々な形に変化する万能素材みたいな気がしてきたな。
そして自分の【魔導】は【魔力】よりも更に汎用性と性能が高い気がする。
「そうね、普通の人の場合は怪我や欠損部分が明確にイメージする事が出来れば成功するわ。そして【魔力】を多く込めればそれだけ早く身体に馴染みやすくなるの。」
「普通の人の場合ってことは……お母さんの場合は違うの?」
「ええ、私の場合はもっと簡単で、治したいと思いながら【魔力】を注げば治るわ」
「え、お母さんの場合はそんなに簡単なの?」
「そうよ、それに私の【回復魔法】には解毒などの状態異常も治す効果も付随してるから、私の【回復魔法】は普通とは別物と考えても良いかもね。あと私の【回復魔法】は発動が簡単だから、他の人にはなかなか出来ない範囲回復魔法も使えるわ」
「お母さんの【回復魔法】はいろいろと凄いんだね」
お母さんの【回復魔法】がこんなにチート性能だなんて知らなかったな……
「あとは古傷のように怪我した本人が傷に馴染んでしまうと治せなくなるわね。その場合は傷がある事に違和感を覚えるように催眠状態にしてから治療することも可能だけど、失敗する可能性が高いわ。」
「何となくわかったよ。ありがとう。」
「ふふ、頑張ってね。何でも挑戦するのは大切よ。」
とりあえず、お母さんからは普通の人の場合の【回復魔法】のやり方を聞いたから、あとは自分なりに努力してみたいと思う。
☆
部屋に戻り自分は回復魔法の練習をする事にした。
フィギュア作りみたいなイメージで治るのかな?
血管や血液、皮膚……。
細かく考えれば魔素を相手の細胞に変化させられたら治るのか?
相手の属性に合わせた魔素で治すのも良いかもしれないな。
【ジョブホッパー】の効果でスキル取得は緩いはずだから、指先を切って試してみるかな?
……指先でも切るの怖いな。
爪に傷を付けて治るかな?
自分は自分の爪の表面をナイフでガリガリと削り出す。
「にぃさま、なにしてるの?」
自分の腰に違和感なくくっついているフローラは自分がナイフで自傷しているのを見て不思議がっている。
「これはねお母さんから聞いた【回復魔法】を再現しようかなと思ってるんだよ」
「わたしもやりたい~」
フローラは自分のナイフを持って自身の手を傷つけようとする……
「ちょ、フローラなにしてるの!?」
「にぃさまと一緒!」
「いやいや、そんなことしたらお母さんに僕が怒られちゃうよ!」
「え~」
フローラは自分と同じことが出来ないのが嫌らしく、頬を膨らませる。
ふむ……可愛いけど、フローラに自傷させる訳にはいかない、しかしどうしたものか……
「そうだ、フローラは【魔力操作】出来る?」
「まりょくそうさ?」
「知らないか……ならフローラには【魔力操作】のやり方を教えてあげるよ」
【パラレル思考】があるから、フローラに【魔力操作】を教えながらでも【回復魔法】の練習は出来るだろう。
自分はフローラの身体に触り、フローラの体内にある【魔力】の流れを変化させる。
「【魔力】の流れは分かる?」
「ん~ もぞもぞするやつ?」
「そうそう、それを自在に操れる様にする遊びをしよう」
「うん!」
フローラに【魔力操作】を教えている間に自分は【回復魔法】の練習をしていこう。
前世で建築を勉強した時に人体の勉強もしてたから知識を活用出来るかもしれないな。
爪に軽く傷を付けてから【魔導操作】で【魔導】をコントロールし、【魔導】で爪の傷部分を埋める様に変化させ、【魔導】が爪と同じものに変化するイメージをする。
これで【魔導】が爪の素材に変化するのか……?
おお?
治ったぞ!
スキル取得は無いけど、間違いはなさそうだから、このまま頑張ろう。
ブルーノの怪我した時も治療は無理でも止血レベルで使えれば変わってたかもしれないしな。
冬休みの間で気長にやるかな~。
☆
それから数日後…。
【魔導細胞生成を取得しました。】
【魔導細胞生成】 外部の魔素を使い、治療などに必要な細胞生成をする。
なんか思っていたのと違うものを取得していた。
「にぃさま、【魔力操作】をおぼえました!」
「えっ、もう?」
「はい!」
フローラももう少ししたら4歳だけど、【魔力操作】を取得するが早い気がする……いや、でも自分やエレナは既に取得していたから早過ぎることはないのか?
「そっか、そしたら今度は【ボール】の使い方を教えようか?」
「はい!」
☆
部屋でフローラと遊んでいるときはよく【ハンド】を使った疑似飛行して楽しませており、今もやっている。
くるくる回してあげると良く喜ぶ。
「にぃさま~ たのし~。」
「よし! 後方宙返りだ!」
「あははは。」
「幸せそうだな~。」
自分にも出来たら良いけど、【魔導手】は自分から生える。
だから【魔導手】を使い、浮けても歩いている感覚になる。
他属性を使えたら、重力操作や風による飛行とか試してみたい。
そこで自分は閃いた!
【魔導操作】で魔素をフワフワのクッションに出来ないかなと思い、やってみたら……。
出来た。
フローラと遊ぶのは終わりにしてフワフワのクッションに横になる。
ついでに微振動も加えてマッサージ機みたいにしてみる。
……ああ、これは気持ちいいな。
あまりの気持ち良さで眠りについてしまったら……。
「いだっ」
寝てしまった事により、【魔導操作】が切れてしまい自分は、床に叩きつけられてしまった。
「にぃさま、だいじょうぶ?」
「ああ、大丈夫だよ……」
身体的には大した高さから落ちたわけではないから痛くはないが……ちょっと妹の前で寝落ちしてというのは恥ずかしかったので、無意識で口笛を吹いていた。
「にぃさま、それはどうやるの?」
フローラは自分の口笛に興味津々な感じで訪ねてくる。
「これは口笛って言うんだけど……」
そう言えば、この世界で口笛を吹いている人は見たことがないな……、何でだろ?
フローラに口笛を教えても良いのかな……
もしかして口笛はこの世界ではかなり行儀が悪いことなのではないかと不安になったので、お母さんに聞いてみることにした。
「口笛? それは森とかで使う合図のこと?」
「う~ん、ちょっと違うんだけど、こんな感じの奴」
自分は試しに前世で流行っていたアニソンを口笛で再現してみる。
「へ~器用なものね。口で音楽を再現しているのね。別に教えても良いんじゃないかしら」
どうやら単純に口笛というものが、この世界に普及していなかっただけらしい。
まあ、お母さんから口笛を教えても良いという許可がおりたので、フローラに口笛を教えてみる。
「~♪ ~♪ にぃさま、こんなかんじですか?」
「凄いな……一回聞いただけで口笛を再現出来るだなんて……」
しかも、自分がやるより巧いかもしれない。
フローラには絶対音感とかあるのだろうか?
試しにアニソンの他に童謡とか交奏曲など、自分の知っている前世の曲をいっぱい聞かせてみたら全て完成度の高いレベルで再現出来ていた。
「フローラは天才かもしれないな……」
「てんさい?」
「ああ、フローラは天才だな」
自分はフローラの頭を撫でながら凄い、凄いと誉めていた。
「にへへ……にぃさまに誉められた」
それから、ひまなときにはフローラに【魔力操作】と歌を教える様になっていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます