第60話 遠足①

 プールの授業が開始してから2ヶ月が経ち、楽しいプールの授業も終わってしまった。


 1年生のプール授業は基本的には泳がずに遊びながら水に慣れる感じの授業が通常なのだが……


「ふむ……今年の一年生というよりも俺のクラスの生徒は普通に泳げているな……若干泳ぎ方が洗練されすぎているのが気になるが?」


先生は自分の方をちらちら見ながら、独り言とは思えない声の大きさで話している……というか自分は悪くない。


確かに自分とエレナでクラスメイトに泳ぎ方を教えたけどさ。


主に自分がクロールで、エレナが平泳ぎを教えたのだけど、この世界の子供は基本的に身体能力が高いからか、数回教えただけで25mは簡単に泳げてしまい、1ヶ月もすればかなりのスピードで泳いでいたから、多分自分とエレナが教えなくても勝手に泳げていただろう。


まあ、先生の泳ぎ方を見る限り息継ぎの仕方が変な感じだったので、この世界の泳ぎ方とはちょっと違うのかもしれないが……


「ブラットとブルーノは速いですよね……」


「そうだな……というか最後の水泳の授業なのに、レイは泳がないのか?」


先生は自分が泳がない理由はわかっているだろうに……性格がちょっと意地悪だなと思う。


「……泳ぎ方を教えたらあっという間に追い抜かれる子供の気持ちが分かりますか?」


まあ、中身は子供ではないが、大人だろうとメンタルにダメージは受けるのだ……既にブラットとブルーノの泳ぎは自分を超えているのが分かる。


「しかし、今年でこれだけ泳げれば来年にはもしかしたら……」


若干、先生の顔が悪巧みをしている表情をしていた。


この先生は悪人ではないし、生徒にも優しいので悪くはないのだけど……ちょっと自分の欲に正直すぎるところがあるのが欠点だなと思う。


「先生……顔が悪人になってますよ? そんなんじゃ女子生徒に嫌われますよ」


「レイは相変わらず俺に厳しいな。だが、油断してるのはレイの前だけだから大丈夫だ。俺は良い先生だからな」


「自分のことを正義だとか善人とかいう人の大半は悪いことしてると思うんですけど……」


「ふむ……確かにそれはあるな……というかレイと話していると、レイが生徒だというのを忘れそうになるな……むしろ俺より年上と話してる様な錯覚すら……」


「それは気のせいですよ」


「それもそうか」


まあ、精神年齢で言えば先生より年上なんだけど……自分で言うのもアレだけど、前世よりは明らかに精神年齢が下がっている気がするんだよな……


精神って肉体に引っ張られたりするのかな?


「レイくん! 一緒に遊びましょうよ!」


「うん、今行くよ!」


コーデリアさんとシンシアさんが一緒に遊ぼうと誘ってくれたので、自分はプールに向かうことにした。


こうやってプールで自由に遊べるのは一年生の間だけらしいから、やっぱり堪能しておかないと勿体ない気がした。


 これが2年になるとしっかりした競泳の授業もあるらしい。


 そして、ほとんどの学園生は卒業時には800メートル泳げるらしい。

 この世界の子供はかなりハイスペックな気がする。


 ちなみにアランは未だに水がダメらしい……。


 水が怖いみたいだけど、どうすれば良いんだろう?




 ☆


 夏も終わり秋が近づいて来た辺りでロナルド先生から新しい課外授業の話が出てきた。


「さて、明日は近くの山へ遠足に行くことになっている。遠足に必要な道具は学園が用意してくれるが、多少は汚れても良い格好を用意するように。 朝に学園を出発して昼御飯までには目的地のバーベキュー場まで行き、夕方には帰ってくるつもりだ。 道中は先生達が護衛をするが、念の為にみんなには武器を携帯してもらう。基本的には学園の武器から選んで貰うが、もし自分の武器を使いたい場合は各自で用意するように。」


 話を聞いていたら、遠足なのに武器が必要な事に疑問に思った。


「先生、魔獣とか出るんですか?」


「一応は出ない所には行く予定だが、絶対ではなく極希に出るからから備えた方がいい。まあ、魔獣よりも猪や狼が出る可能性が高いかもしれないがな。」


 なるほど……なら護身用の装備を完成させるか。

 

 後はお昼後用の悪ふざけグッズも作ろうかな。


「まあ、魔獣が出ても先生がすぐに倒すから、自分を守ることだけを考えろ。」


「わかりました。」




 ☆



 寮の部屋にて。


『ますたー。またそのぶきをいじってるんですか?』


「明日、遠足で山に行くから念の為にね。」


 未だに魔導では他属性が使えない。


 そして雷属性は強いけども力加減が難しい属性なので、自分1人なら良いけど遠足の様な集団行動中は仲間にも被害が出るから【魔導具】に頼ることを考えた。

 これではシンシアさんの事を言えないな……。



 この世界には魔銃という、装着した魔石の【ボール】が撃てる武器がある。


 それを以前改造して【魔導圧縮銃】という【虹魔石】を使った全属性を圧縮して撃ち出すもの作っていた。

 これは撃ちたい属性を決めて、周囲の魔素をチャージしていき魔素を圧縮して撃ち出す銃である。


 この銃の利点は全属性を使えて魔力を使わない。


 欠点は毎回チャージして圧縮したものを撃たないと自分の【魔導弾】より弱い。

 あと連射が出来ないのが痛いな。


 もう1つは【脱兎のブーツ】。


 なぜか普段や戦闘中は効果が無いらしく、ピンチ中の逃げ足だけ超速くなる靴というレアな効果ではあるが謎性能である……。


 あとは各種ポーションをカバンに入れておく。

 自作出来るのは効果小だけだから、念の為に少し高いが効果中のものもいくつか買った。


【回復ポーション小】20本

【強化ポーション小】10本

【解毒ポーション小】10本

【回復ポーション中】10本

【強化ポーション中】5本

【解毒ポーション中】10本

【安眠ポーション小】5本

【鎮静化ポーション小】10本


 ポーションは余っても【ストレージ】に入れておけば時間経過せず無駄にはならないし雑貨屋が出来たらおけるから無駄にはならないはずだ。


『わたしもあしたはたのしみです。ますたー。』


「そうだね~。 僕も遠足は初めてだから楽しみだよ。」




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 名前・レイ(6歳)

 状態・良好

 属性・雷

 職種・魔導技師3.3 魔導剣士4.1

 種族・人族


 パッシブ・人見知り、建築、土木、料理

      素材の極み、鍛冶、パラレル思考

      共感覚、魔導科学


 アクティブ・魔導操作、鑑定、クリーン、ストレージ

       武器強化、雷属性付与

       魔導工房、魔導具作成、魔導弾

       魔導手、魔導壁、魔導剣


 固有スキル・ジョブホッパー

       鑑定の魔眼


 装備・神木の小太刀

    魔導圧縮銃

    印象阻害の銀ブレスレット

    容姿変更ペンダント

    身代わりネックレス

    重力カウンターの指輪

    雷属性擬態の指輪

    脱兎のブーツ



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