第56話 資金の荒稼ぎ

 自分は放課後、久しぶりに露店へ来ていた。


 露店で【魔導王】の継承者を探す人たちがおおいとクライブから聞いていたので、何となく来づらくなっていた……


 しかし先日、資金稼ぎの方法を考えていたら、ふと思い付いたのがお店を開こうというものだった。


 そして、思いついてしまったら、どんどんとお店を開きたくなってしまったので、開店準備の秘策を実行しようと思い、露店でお菓子のマカロンを販売していた。



 何で開店準備の秘策なのに、お菓子を販売しているかと言うと……。


 例のお菓子を毎回大量購入してくれるダンディー執事を、マカロンで釣り、ダンディー執事からその背後に居るだろう貴族に、【虹魔石】を一括販売して一気に資金集めをする予定なのだ。



 この計画の為に必要な【魔導具】もわざわざ用意してきた。



【容姿変更ペンダント】任意の容姿に変更できる。(1日4時間)


【変装ペンダント】を改良したら【容姿変更ペンダント】に変化していた。


 効果は使い易くなった代わりに時間制限が付いてしまうデメリットが追加されてしまったが、仕方ない。

 もっと改良したかったが、資金的な問題もあったので、ここが妥協点だろうか。


最近になって分かったのだが、【魔導工房】を使って【魔導具】を作るとき、本当に極稀だけど超大成功品質のものが出来ることがわかった。


あとは最初の一度にしかつくれない超一級品が作れることがあるみたいだ。


 そして、今の自分はペンダントの【魔導具】を使い、金髪巨乳の大人の女性に変装していた。

 ちなみに容姿は深く考えずに大人の女性に変身したいなと考えたら、金髪巨乳になっていたので無意識で変身願望があったのかもしれない……。


 この【魔導具】は、他人から見た容姿が変わっているだけで、実際には変身していないから、身長差などを補う道具が必要でちょっと面倒だった。



 ☆



 露店を開始してから1時間もしないうちに、ダンディー執事は自分の露店を発見し、こちらに向かってきた。


 執事がこんな露店にいる頻度が高すぎる気がするな……。


 しかも、自分は変装までしているのに自分の店と当たりをつけてきたのかもしれない……。


 ダンディー執事は侮れないかも……。


 そんな事を考えてるとダンディー執事から話し掛けられた。


「失礼ですが、こちらのお菓子はあなたが作られたのですかな?」


「いえ、私は代理の交渉人なのです。」


「代理の販売員ではなく、代理の交渉人ですかな?」


ダンディー執事は、自分が交渉人というと怪訝な顔をしだした。


「はい、とある方から代わりにあなたと交渉をして欲しいと頼まれました。とある方はお菓子を買いに来た執事が居たら、その執事の主人に売って欲しいものがあると言われています。」


「ほう。私の主が誰か御存知なのですか?」


執事はますます顔が険しくなってきた……。


ってか、ダンディー執事の眼力が強すぎて、ちょっと怖いんだけど……


「私は聞かされてませんが、必ず欲しがると言っていました。」


 まあ、執事の主人が誰かなんて知らないけどね!


 自分は懐から1つの【虹魔石】を取り出し、ダンディー執事に見せる。


「見せたいものはこれです。あなたならこの価値はわかるはずです……他にも在庫はありますが……念の為、他の場所で保管されています。」


「こ、これは! 確かに最近、街で話題のものですな……。」


 執事の眼が今日一番見開き、驚きの表情をしている。


 やはりダンディー執事は【虹魔石】を一目見ただけで、街で騒がれているものだと分かったみたいだ。


 ダンディー執事は普通の執事では無い気がする。


「これを買われる場合の支払いは、金貨のみでお願いします。【認証の指輪】のクレジット機能では身元がバレるので遠慮します。その条件でアナタはいくらまで出せますか?」


「……ま、待ってください。これは私の主に確認せねばならない案件になります。明日またここへ来て頂けませんか?」


「わかりました。ちなみに交渉はこの街中でのみと言われています。」


「わかりました。」




 ☆



 次の日、前に会った生意気な青年とダンディー執事が露店に来て、値段の交渉をしてきた。


 正直、【虹魔石】の相場が分からなかったので、とりあえず1個の値段が金貨100枚からスタートして、渋られた後に値段を下げれば良いかなぁと、軽い感じで考えていた。

 金貨100枚と聞いた瞬間、ダンディー執事と生意気な青年の目が鋭くなり、やっぱり高いよねって思っていたら、迷わず了承され、持って来ていた【虹魔石】300個を出したらその場で全て買い取られた。


 どんな資金力だよ。


 しかも想定より安かったみたいだし。


 そして、自分の手元には金貨30000枚(3億円位)。


 重さも凄いが、量も凄いし……。


 荷台に積んでもらって帰るふりをして、見えない場所に入り【ストレージ】にしまう。


 その後、尾行されないように、何度か店舗に入ってから変装を解き、寮に戻る。



 ふと、ヤバいことしたんじゃないか?と考えてしまう。


 ……というか何故あんな値段になるのか?


 金銭感覚が自分と貴族では違うのか?



「……疲れたな。」


「(……おつかれさまです。)」



「ん? 空耳か?」



「(……。)」


「とりあえず明日は不動産屋に行って、物件か土地を買わないとな……。」



 社畜癖が抜けない6歳児だった。



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 名前・レイ(6歳)

 状態・良好

 属性・雷

 職種・魔導技師3.2 魔導剣士4.1

 種族・人族


 パッシブ・人見知り、建築、土木、料理

      素材の極み、鍛冶、パラレル思考

      共感覚、魔導科学


 アクティブ・魔導操作、鑑定、クリーン、ストレージ

       武器強化、雷属性付与

       魔導工房、魔導具作成、魔導弾

       魔導手、魔導壁、魔導剣


 固有スキル・ジョブホッパー

       鑑定の魔眼


 装備・神木の小太刀

    印象阻害の銀ブレスレット

    容姿変更ペンダント

    身代わりネックレス

    重力カウンターの指輪

    雷属性擬態の指輪



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