第43話 虹魔石

 最近、【魔導具】開発が楽しくて仕方ないレイです。 物を作るって楽しいし、売れると更に嬉しいな。


 今日はこの前に【虹魔粉】という謎の粉を作ったけど、コレを固めたら【魔石】にならないかなと考えている……。


 まず、【魔石】とは何か……。


 一般的に言われているのが、魔獣の心臓内にある石で、魔獣が何かしらの方法で魔素を取り込み体内で蓄積されるらしいが、魔獣の血液内で消化が出来なかったものが心臓内に溜まったとされると図書館にあった本に書いてあった。


 もしかしたら魔獣の胆石か血栓みたいなものかもしれない。


 ちなみに人類(人族、魔人族、獣人族など人型の種族)の心臓からは【魔石】は出ないらしい。


 ここで【魔導具作成】が活躍してくれるはずだ……。




 まず、疑似的に魔獣の体内を再現出来ないかなと考えた。


 前世では濃縮法というのがあったが、今回はそれに似たことをしてみたいと思う。


 実際は違うものだが、【虹魔粉】を魔獣の血液と混ぜて濃縮し、水分を飛ばせば、人工の【魔石】が出来ないかと考えた。


 魔獣の血液は街の食堂に行けば無料で手には入る。 それに普通にみんな魔獣の肉を食べているから、健康被害も無いだろう。


 ちなみに、一部の魔獣肉はかなり美味しいので食堂でも人気である。 美味しい基準はあまり動かない草食の魔獣みたいだ。


あと、食堂のおじさんの話だと卸してくれている冒険者の中には食肉を狩る専門の人達が居るらしいが、【チェスガン】や【スカウトフォート】周辺で新種の魔獣が出たって噂もあるらしい。 




 ☆



 数日間、研究と実験のトライアンドエラーを繰り返し、そんなこんなでやっと目的の性能が発揮する試作【魔導具】が完成した。



【血液濃縮循環機】 血液濃縮を行いながら血液循環させる為の装置。


 ちょっと大きめの水槽の中に濃縮機が入っており、水槽の上部には循環器が搭載されている。 そして循環している一部に濃縮された物が蓄積される仕組みを作っている。



 ヤバい最近、本当に発明が楽しくなってきたぞ!


 とりあえず、魔獣の血液20Lと【虹魔粉】1kgを【魔導具】に入れて放置しておく事にした……。



 そして次の新しい【魔導具】を作る構想をしていて、【血液濃縮循環機】の存在を忘れるのだった……。




 ☆




 今日の学園授業は金銭の勉強をした。


 この世界のお金の単位はコルト。


 1コルト   =銅貨1枚

 100コルト  =銀貨1枚

 10000コルト =金貨1枚

 10万コルト  =魔法札1枚


 物価の価値から考えると、1コルトが日本円の1円相当みたいだから分かり易かった。 それに種類もこれしかないので直ぐに覚えられた。


 基本的に金貨1枚以上の取引は【認証の指輪】にあるクレジット機能を使うのが普通みたいだ。 それなら貨幣を作らずに全て【認証の指輪】のクレジット機能を使えば良いじゃないかと思ったが、【認証の指輪】のクレジット機能をスキャンする【魔道具】は聖教会でしか作れないので、高いリース代を払わないといけないらしいから、街の食堂レベルでは導入したら採算が合わないため、一般人は基本的に貨幣を使うしかないのである。


 聖教会は教会の名が付いているけど、ほぼ世界を支配している。 もちろん良い意味で……。 

 聖教会が利益は全て運営資金にしており、【認証の指輪】の謎監視機能により職員の着服などは絶対に不可能みたいだ。 この世界の神は聖教会の不正などは絶対に許さないらしい。


 この世界の神様に前世も管理して欲しかった位だ……。




 ☆



「あっ、そう言えば……。」


 数日して部屋の片隅にあるポコポコと小さい音をした【血液濃縮循環機】を思い出す。 ホコリが入らないようにカバーをかけていたから忘れていたよ。


 大量の血液と【虹魔粉】を入れてたけど、どうなったかな……?。


カバーを取ると、換気装置も付けたはずなのに、血の臭いがムワッとして慣れない臭いがする。 そして内部を覗くと中には……。



 5センチ位の【魔石】があった。 そして、その【魔石】は見たことの無い色で、キラキラした虹色だった。


 【魔石】の大きさはよく家庭用の【魔道具】に使われる位のサイズだ。


 その虹色の怪しい【魔石】を【鑑定】してみると……



【虹魔石】 全属性対応の低濃度の【魔導石】。



 とりあえず、全属性対応って時点でなんか凄そうなのは分かるのだが、低濃度の【魔導石】ってなんだ?。 新しい物を作る度に知らないワードが出てくるな。




 ……それにしても、これは販売して平気なのかな?




 ☆




 とりあえず、試作品の【虹魔石】を持って【魔石】屋に来ていた。 もちろんいつでも逃げられるように変装はバッチリしている。


 店内のカウンターには魔法師みたいなローブを着たお姉さんが居たので、【虹魔石】を売れるか話しかける。


「すいません。 珍しい【魔石】を手に入れたのですが売れますか?」


「珍しい【魔石】? それなら調べるからこの机に置いてね。」

 

 机の上に【虹魔石】を置くと、お姉さんはビックリしながらも真剣な表情になり、調べ始めた……。


「こ、これは!!?」


 お姉さんが驚愕の表情をしている。



 ……やっぱりアカンものかな?


「……これはどこで手に入れたの?」


 お姉さんにジロリと睨まれる。 睨みが怖いけど、ここでビビっては取引にならない。


「いろいろ詮索するつもりなら売らずに帰りますよ? 出所は言えませんから、また別の店に行きます。」


 こちらも交渉に関しては強気に出る。 極端に強気すぎるのも良くないが、最初からビビってしまうのは悪手である。


「わ、わかったわ!  詮索しないからその【魔石】売って頂戴!」




 交渉もせずに【虹魔石】1個が金貨10枚で売れてしまった……。



 元が【クズ魔石】と食堂で廃棄される予定魔獣の血液だけ。


 ゴミから大金を作る。これこそ、リアル【錬金術】だな。


 【虹魔石】を大量に作って、別の街で売ろうかな……。





 その後、レイの知らないところで【虹魔石】を巡り、熾烈な情報戦が起きたりする。




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 名前・レイ(6歳)

 状態・良好

 属性・雷

 職種・魔導技師2.1 魔導剣士3.5

 種族・人族


 パッシブ・人見知り、建築、土木、料理

      素材の極み


 アクティブ・魔導操作、魔力感知

       鑑定、クリーン、ボックス

       ボール、シールド、ハンド

       ストレージ、ウィップ

       ブレード、武器強化

       サンダーブレード、雷属性付与

       サンダーボール、サンダーシールド

       魔導工房、魔導具作成


 固有スキル・ジョブホッパー

       鑑定の魔眼


 装備・神木の小太刀

    印象阻害の銀ブレスレット

    身代わりネックレス

    重力カウンターの指輪

    雷属性擬態の指輪



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