第38話 魔導王伝説

 自分は学園が休みだったので再度、学園内にある図書館に来ていた。

 前回、時間があるときに読もうと思っていた【魔導王伝説】という面白そうな本を手にとって席に座る。

 前回来たときも思ったのだけど、図書館を利用している生徒はほとんどいなくて静かだった。

 前世の地球以上にこの世界の子供は読み書きが出来ないので、やっぱり小さい子供に本はハードルが高いのかもしれない。


 さてと、この【魔導王伝説】という本は、【魔導王】と呼ばれた人が亡くなった後に書かれた本ではなくて、何故か【魔導王】本人が著者になっていた。

 普通、自分で自分の伝説本を書くか?とも思ったけど、かなり昔の本なので、調べる方法は無いだろう。

 しかも、【魔導王】本人が大量生産をして全世界の図書館や国に無料配布したものらしい。

 ちなみに【魔導王】とは本名では無いはずだが、どこにも本名が書いてない……という事は自分で【魔導王】と名乗ったらいたのだろうか?

 だとしたらかなり痛い人かもしれない。


 そして先ほど図書館を管理しているお姉さんにこの本は原本で、【魔導王】はもうこの世にいないというのもあり、原本は貴重品になっているから汚したりは厳禁だと言われた。

 この本は紛失してはいけないと聖教会から通達が来ているみたいだ。

 そんな貴重な本なのに自分みたいな子供か気軽に読んでも良いのだろうか?


 そして【魔導王伝説】の内容は、【魔導王】の半生を面白可笑しく書いた本で、たまに活躍シーンの挿し絵が入っていたりと、分かりやすい上に面白かった。

 まるで前世のラノベみたいな仕上がりだった。


 前半は【魔導王】の生い立ちや学園ライフ、冒険者としてハーレムパーティーを組んで世界を旅する話になり。 後半は【魔導王】の覚醒によりチート無双をする内容が書いてあった。


 覚醒した【魔導王】は両目に特殊な2種類の【魔眼】を所有し、無限の【魔力】を使い全ての属性魔法を操り、世界の全てを解析し、多種多様な便利道具を作った。


 【魔導王】の扱う属性魔法は全てが特殊になり、魔法とは似ているが別物だったから【魔導】と呼ばれていた。


 【魔導王】の扱う【魔導】の中でも有名なのが、【ストレージ】【転移】【次元斬】【時間停止】【ホーム】【奈落】【創世】だった。


 【魔導王】が作る【魔道具】は特殊で【魔導具】と呼ばれており、【魔導王】が使用すると恐ろしい性能を発揮するが、他の者には性能を引き出せなかった。



 チート無双パートの後半は、突然【魔導王】は【魔王】に戦いを挑んでいた。 まあ、殺し合いではなく本気の試合での話だが。


 そして数百年、【魔王】が継承されるたびに戦いを挑んだ。


 戦いの理由や内容は書いてないが、【魔導王】は多くの【魔王】に挑み、全戦全敗だったらしい。



 【魔導王】は無限の【魔力】により見た目は青年のまま、老いる事がほとんど無く、推定1000年は生きたとされている。


 それから【魔導王】は本を書き始めた……。




 ……そして伝説に。



 

 自分は【魔導王伝説】を読んでいて、フィクションかなと思い始めていた。 まず、【魔導王】の能力がチート盛り過ぎなのと、年を取らないで、1000年生きるって既に人ではない気がする。 あと150年も生きれば人は精神的に寿命を迎えるとか聞いたことがある気がした。



 




 ☆




 しかし、最後の終わり方は何だよ! しかもそんなに強いのに【魔王】様には勝てないとか、【魔王】様はステータス無敵のイベントキャラみたいだな存在なのだろうか? まあ、この本が実話ならの話ではあるけど……。



 パラパラめくっていき、最後の数ページだけ文字が違っていた。 自分がこの世界に転生してから覚えた世界共通の言語では無かった。


 だけど自分には読めた。 しかも、【魔素】を文字にしている?


内容は……



【深淵の魔眼を持つ我が同胞達へ伝えたい事がありこの本を書き始めた。 最後のページ以外は本を普及させる為のもので本題はここから先になる。】


【この文字が読めるという事は、魔導を使えるのだろう。 魔導を操るには片眼でも深淵の魔眼が必要である。】


【魔導を操る事で1つの属性以外にも全属性が使えるようになるのだが、その中に魔導にだけ使える属性があるのを知ってもらいたい。】


【一般に無属性と呼ばれる属性だが魔導には時属性となる。 この文字が読める同胞達よ。 時属性を極めてくれ。 そして……との戦いには必須の能力でもある。】


【そう、時属性は……が出来る。 しかし、時属性は便利だが万能ではない。 時属性は……すると、俺みたいな……になる。】



【魔導を極めたならば、俺が所有していた山に来い。 才能があれば……をやろう。】




【そしてもう1つの属性に神属性がある。】


【神は……ではあるが、……が居る。 ……の神は…するな。 それがどの時代に……が……はわからない。】




 鳥肌がたった。


 なんでこんな世界の真理みたいな本が普通の図書館にあるんだよ! 


 しかし特殊な【魔眼】がないと読めないから、選別はされているのか?。


 もしかして特殊な【魔眼】にはスキル、【魔素】や【魔力】が見える以外に隠された能力でもあるのか?


 あと、【魔導王】も転生者な気がしてきた。


 しかし書くならもっと詳しく書いて欲しかったよ!


 最後のページは【魔素】が劣化していたのか、後半が読めなくなってる部分が多かったな。



 だけど、自分の今後の方向性はわかって来たかもしれない。 本の話が本当なら、とりあえず時属性を使えるようにしないとだな。


 できれば学園内にいる間に使えるようになりたいな。




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 名前・レイ(6歳)

 状態・良好

 属性・雷

 職種・魔導技師1.5 魔導剣士3.2

 種族・人族


 パッシブ・人見知り、建築、土木、料理

      素材の極み


 アクティブ・魔導操作、魔力感知

       鑑定、クリーン、ボックス

       ボール、シールド、ハンド

       ストレージ、ウィップ

       ブレード、武器強化

       サンダーブレード、雷属性付与

       サンダーボール、サンダーシールド

       魔導工房、魔導具作成


 固有スキル・ジョブホッパー

       鑑定の魔眼


 装備・神木の小太刀

    印象阻害の銀ブレスレット

    身代わりネックレス

    重力カウンターの指輪

    雷属性擬態の指輪



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