第39話 学園入学
今日からチェスガン学園へ入学するので初登校の為に準備をしていた。
貰ったばかりの新しい学園の制服は、ブレザータイプで上下共に水色で袖の部分など一部に濃いめの青が使われていた。 前世でサラリーマン時代が長かったからか、スーツに近い制服の方が落ち着くので助かる。
「なんだかレイは学園の制服姿が似合ってるな……なんでだ?」
「そう? まあ、ブラットもそのうち馴染むんじゃない?」
「そっか、だけどこの制服は肩のところとか動きにくくないか?」
「いや、制服なんてそんなものじゃない? ちなみに制服は改良したらダメだからね?」
「改良ってなんだ?」
「例えばブレザーを動きやすい様に切るとかしたらダメってことだよ」
「おお! それいいな! 肩あたりから切っちゃうか!」
「いやいや、だからダメだって!」
ブラットは本当に制服を破ろうとしていたので、自分は必死に止めるのが大変だった……
その後、自分達は朝食を一緒に寮の食堂で食べて、準備を終わらせ、エレナと待ち合わせする為に、ブラットと共に女子寮前で待っていた。
自分は女子寮の前で待っていて、ある重要なことを失念していたことを思い出した。
「そういえばさ、ブラット……。」
「言いたいことはもの凄く分かるが、なんだレイ?」
流石、幼なじみのブラット。 既に自分と同じ結論に達しているみたいだ。
「あの怖いエリーさんが居る実家でもエレナはいつも寝坊してるのに、今日に限ってエレナが1人で朝起きれるとかあるのかな?」
「俺は無いと思うな……。」
エレナは普段完璧少女なんだけど、朝だけは非常に弱いのだ。
普段はエリーさんに無理やり起こされているらしいが、女子寮には無理やり起こすひとはもちろんいない。
「猫獣人は朝が弱いらしいからな。」
「それは僕も知ってるよ。しかし、どうしようか? 僕は初日から遅刻したくないんだけど。」
「それは俺も遅刻なんてしたくないぜ……。」
そんな事を話し合っていると……。
「女子寮前でどうされました?」
女子寮から声をかけてきたのは水色の髪色を腰位まで伸ばした可愛い感じの女の子と赤い髪でボブカットの女の子の2人がいた。
そして自分達に比べて凄く背が低かった。
もしかして2人はエルフ族だったりするのかな……?
この世界のエルフ族はかなり小さく、ドワーフ族は逆にでかい、そして獣人族は耳と尻尾が付いている。
他にも天人族、魔人族、竜人族など沢山の人類が居るが、耳とか尻尾、皮膚の色以外は人類ほとんどかわらない。
エルフ族についてはお母さんから聞いた位で実際には見たことがないから、単純に2人が小さいだけかもしれない。
まあ、そんな事は今は良いか。
それよりも今はエレナの件だ。
「実は今日から学園に入学をする、レイとブラットなんですが、同じく今日学園に入学する知り合いのエレナが女子寮に居るはずなんですが、待ち合わせの時間になっても出てこないんですよね……。 多分、寝坊なんですけど。」
「えっ? それは大変じゃないですか! そろそろここを出ないと遅刻しちゃいますよ!」
「そうなんですよ。どうしようか悩んでいて……」
「多分同じ一年なら部屋も近いはずなので、急いで見てきますね!」
「あっ……私も、いく……」
そして2人の幼女は走って寮に戻って行った。
「小さいから、後ろから見ると年下の子供にしか見えないね。」
「俺達もまだ子供だぜ?」
「……そうだったね。 ブラット見てると忘れちゃうよ。」
自分の身長は120センチ位で、ブラットは既に140センチ位ある。
そして先ほどの少女は90センチ位なので3歳位にしか見えなかったが、エレナと部屋が隣だと言うことは同級生だろう。
そんな会話をしてると、エレナと少女達が走って来た。
エレナの髪の毛は寝癖で酷いけど、制服はしっかり着ていた。
「エレナ、おはよう。 寝癖がやばいよ?」
「寝過ぎたにゃ~、寝癖はあきらめて学園いくにゃ。」
「よし、急いで行くよ!」
というか学園は目の前だけどね!
☆
チェスガン学園に入ってすぐの所にボードが立っており、クラス表が張り出されていた。 そこでクラスを確認すると自分、ブラット、エレナの3人は共にAクラスで同じになれた。
まあ、今年はクラスが3つあるのだけど、クラスの割り振りは基本的に申し込み順だから高確率で同じくクラスになるのは分かっていたけど、1人だけ別クラスという展開にはならずに済んだ。
クラスの確認が終わると先ほどの女の子達が話しかけてきた。
「私はコーデリアといいます。 先ほどは名前も言えてませんでしたから、よろしくお願いします」
「私は、シンシア、よろしく……。」
「僕も改めて、レイです。 エレナの件はありがとう。」
「おれはブラット、ありがとな!」
「私はエレナにゃ、コーデリアさんとシンシアさんがいて助かったにゃ~」
「皆さんとはクラスが一緒だったんですね。 よろしくお願いします。」
確かにみんなが同じクラスだなんて凄い偶然だなと思った。
ちなみにクラスは1クラス10人みたいだった。
教室に入ると既に同級生が5人が席に座っていた。 当然、自分達が最後みたいだ。
自分達が席についてから、しばらくすると先生が入って来た。
先生は見た目30代前半の人族かな?。
かなり鍛えられた体をしているのがスーツ越しに分かる。
赤茶色の短い髪に赤い瞳で、若干脳筋っぽい感じだった。
「よし、みんないるな。 俺はこのAクラス担当のロナルドだ。 学園内の授業のほとんどは俺が教えていくからよろしくな。 いくつかの専門授業は別の先生に頼んだりするけどな。 これからみんなには1時間の間に自己紹介をやってもらう、各自で自由にやってくれ。」
「注意点としてはスキルを無理に聞き出すのはダメだぞ。 職種と属性、趣味を話す位が無難かな。 後は自己紹介を全員とやること。 それでは始めていいぞ。」
斬新な自己紹介タイムが始まった。
なんか子供版の婚活パーティーみたいだな……。
☆
1時間がすぐに終わった。 最低でも1人辺り6分で話さないといけないからな……。
自己紹介を簡単にまとめると、
コーデリア(女性)職種は精霊使い。 水色の腰位まである長い髪と同じく水色の瞳。 属性は水属性。 種族はエルフ族。 とても可愛らしい感じだ。
シンシア(女性)職種は魔法師。 赤とオレンジの間位の色をしたボブカットの髪と赤い瞳。 属性は火属性。 種族はコーデリアさんと同じエルフ族。 ちょっと喋りがぎこちないから人見知りか、あがり症なのかもしれない。 こちらも可愛い感じだ。
マーティナ(女性)職種はフェンサー。 黄緑色で肩位の長さのさらさらした髪と緑の瞳。 属性は風属性。 自分と同じ人族。 顔は可愛いというより美人タイプだ。少し真面目な印象を受けた。
アラン(男性)職種はブレイカー。 刈上げた黒色の髪と黄色い瞳。 属性は闇属性。 種族は魔人族。 顔立ちは前世の中東?に居そうな感じで褐色肌。 目つきは悪いが話すとブラットに似たタイプで話しやすかった。
バリー(男性)職種はシーフ。 癖っ毛な短い緑の髪と緑色の瞳。 属性は風属性。 自分と同じ人族。 飄々とした感じだったが根は真面目っぽい印象を受けた。
ブルーノ(男性)職種はホワイトナイト。 肩まである白銀色の髪と金色の瞳。 属性は光属性。 種族は人族。 こいつはゲームの主人公を体現したような感じだ。 爽やかイケメンで話しやすい、多分天然系だろう。 なんかキラキラが見えそうだ。
クライブ(男性)職種は商人。 ほわほわした茶色の髪と狐の尻尾にグレーの瞳。 属性は木属性。 背の低い種族は狐獣人族。 語尾に「こん。」がついて可愛らしい感じだ。
幼なじみ2人は省略……
「よし、 みんな自己紹介は終わったみたいだな!」
「普段の授業は大陸共通言語。算数。王国の歴史。体育。の4つを1年で勉強してもらう。 中には親から教わり、既に出来てる子がいるだろう。そういう子はまだ出来ない子に教えたりして助け合って欲しい。 そして約2ヶ月後には運動会というのがあり、攻撃性の無いスキルを使用した全学年でのクラス対抗競技を行う。 この結果次第で成績は変わらないが、順位が記録で残るから将来の就職するときに役立ったりするから頑張って欲しい。」
後の時間は学園内を案内して終わりになるみたいだった。
そう言えば、入学式が無いな?と思ったが、明日に延期になってしまったらしい。 学園長と副学長が緊急の要件で外出してしまったからという理由だった。
学園内はかなり広く、野球が出来そうなグランドが4ヶ所。 バスケが出来そうな広さの体育館が4棟。 50メートルプール1ヶ所。 保健室。 図書館。 資料室。 畑。 修練所。 魔法実験室。などいろいろあった。
学園での授業時間はお昼までしかないので、それ以降は自由になっている。 戦闘系の職種は大体修練所かグラウンドで身体を鍛えたり、魔法の練習をするらしい。
初日の授業が終わり、自分とブラットやエレナは修練所に行こうとしていたら、コーデリアが話しかけてきたのだった。
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名前・レイ(6歳)
状態・良好
属性・雷
職種・魔導技師1.5 魔導剣士3.3
種族・人族
パッシブ・人見知り、建築、土木、料理
素材の極み
アクティブ・魔導操作、魔力感知
鑑定、クリーン、ボックス
ボール、シールド、ハンド
ストレージ、ウィップ
ブレード、武器強化
サンダーブレード、雷属性付与
サンダーボール、サンダーシールド
魔導工房、魔導具作成
固有スキル・ジョブホッパー
鑑定の魔眼
装備・神木の小太刀
印象阻害の銀ブレスレット
身代わりネックレス
重力カウンターの指輪
雷属性擬態の指輪
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