第34話 魔石

 自分は今日、寮で朝ご飯を食べたあとはエレナに遭遇しないようにひっそりと1人で露店の広場に来ていた。


 何故、エレナに遭遇しないようにしているかと言うと、昨日はエレナに荷物持ちとして何件もの服屋を連れ回されて大変だったからだ……。 エレナとは今後買い物には付き合わないことにしよう。



 そして今日、露店に来た目的はクズ【魔石】を探しにきたのだ。


 ちなみに【魔石】とは魔獣の心臓部内にある石の事で、魔獣が大気中にある【魔素】を吸い込んだものを【魔石】が吸収していく。 強くて大きい魔獣ほど長く生きており、大きな【魔石】も取れるらしい。


 【魔石】の使用目的は一般的にコンロや冷蔵庫などの【魔道具】に使われている。

 【魔石】には最初から属性魔法が記憶されており、コンロなら【ファイアボール】の【魔石】を使い、火力調整する道具を通して使う。


 だから汎用性のある属性魔法が記憶されていて、それでいて大きい【魔石】は高く売れるのだ。 魔獣狩りを専門にしている冒険者の一番の収入源だ。


 【魔石】は使えば使うほど中の【魔力】を消費して、無くなれば空になってしまう。 空になってしまった【魔石】は怪我などで戦えなくなった【魔法師】などが格安で【魔力】を補充するのだが、通常売っている【魔道具】は1週間は使えないと効率が悪くて人気が無くなる。


 【魔石】は前世のバッテリーみたいに使い続けると劣化していき、【魔力】補充を何回もやると使えなくなるのだ。

 たまに【魔石】の貯蓄してある【魔力】を急速に消費してしまう【魔道具】があるが、その場合は高確率で【魔石】が壊れたりする。



 そして、【魔石】の中でも小さくて使い道がほとんど無いものを通称クズ【魔石】と呼ばれていた。


 自分は【鑑定の魔眼】を使いながら露店を覗いて廻っていたら、目的のクズ【魔石】を大量に売っている人が居た。 【魔道具】に使用しても半日位しか【魔力】が保たないようなものばかりだった。


「おじさん、そのクズ【魔石】は安く売ってくれませんか?」


「子供なのにクズ【魔石】が欲しいのか? しかし、子供にはクズ【魔石】なんて使い道がないだろ。 流石に子供にゴミみたいなものを売るのはちょっとな……。」


このおじさんは子供を騙すのではなく、心配から売るのを渋っていた。 ここはそれっぽい嘘をつくか。


「実はお父さんのお使いなんですが、クズ【魔石】があったら安く買ってくるように言われてるんです。 使い道は分かりませんが……。」


「そうか……。 それならこのクズ【魔石】を全部買ってくれるなら安く売ろう。」


 やはりおじさんは良い人でタダに近い値段でクズ【魔石】を売ってくれてラッキーだった。 お金の無い自分には凄く助かるな~。


 そして、クズ【魔石】の中には欲しい属性魔法もかなり混ざっていた。


「安くしてくれて、ありがとうございました!」


「いや、こっちも捌けて助かったよ。 クズ【魔石】は欲しい【魔石】とセットで売られる事が多くて処分に困るんだよな……。」


「……そうだったんですね。」



 これでアクセサリーを作るぞ。




 ☆



 自分は大量なクズ【魔石】を抱えながら寮に戻り、部屋に入るなり直ぐにアクセサリー制作を開始した。


 金属を加工する専用道具が無いから今回はワイヤーをミサンガのように織っていきブレスレットを作る、クズ【魔石】を嵌め込む為に編み目を広げてスペースを開けて嵌め込む。


 そして【鑑定】をしてみる。


【印象阻害の銀ブレスレット】 装備している者の印象がぼやけて記憶に残らない。 鑑定阻害。 効果時間1時間。 



 いきなり希望通りのものが出来たな。


 今回、使用したクズ【魔石】は闇属性の【幻影】、印象阻害までの効果はなくてうっすら幻を見せるだけのものだけど戦闘に使えるらしい。

 そして、【素材の極み】効果で銀のブレスレットに【魔石】効果アップが付いていた。


 本当は効果時間も増やしたかったけど、クズ【魔石】だから仕方ない。 1時間毎に自分で【魔力】を補充するだけだから、そんなに気にならないかな……。


 コレを作った理由は小遣い稼ぎをするのに、【素材の極み】を使ったアクセサリーを売っても記憶に残らなければ、後々露店で問題は起きないだろうと思っていたからだ。


 今のところ【素材の極み】の効果があるのは……


 金属○  木材○  料理○  魔石×


 【魔石】の知識が弱いせいで【素材の極み】効果が無いのなら、学校での今後の勉強次第かな……。



 【魔石】のアクセサリーをいくつか作って、悪用されにくいものを露店で売ろうかなと思っていたら。


 【魔力操作が魔導操作に進化しました。】


 【転職が可能になりました。】



ーーーーーーーーーーーーーーー


 名前・レイ(6歳)

 状態・良好

 属性・雷

 職種・魔導剣士3.1 ➡転職可能

 種族・人族


 成長スピード 力 3 器用8 速さ3 

        知力8 魔力8


 パッシブ・人見知り、建築、土木、料理

      素材の極み


 アクティブ・魔導操作、魔力感知

       鑑定、クリーン、ボックス

       ボール、シールド、ハンド

       ストレージ、ウィップ

       ブレード、武器強化

       サンダーブレード、雷属性付与

       サンダーボール、サンダーシールド


 固有スキル・ジョブホッパー

       鑑定の魔眼


 武器・神木の小太刀

    印象阻害の銀ブレスレット


 ーーーーーーーーーーーーーーー


 突然【魔力操作】が【魔導操作】に進化した……。


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