第27話 体験学習 最終日
今日は体験学習の最終日だった。 体験学習の期間は実質9ヶ月位だけど、とても楽しかったし、お昼のまかない飯がとても美味しくて幸せだった。
うちのお母さんのご飯を何年も食べていると、シーラさんの料理が物凄く旨く感じてしまう。
そして最終日と言う事で、シーラさんと従業員への感謝の意味と追加メニューになればと思い、デザートを作ってみた。
既存のメニューにプリンアラモードがあるんだけどプリンの別バージョンである。
★とろとろのなめらかプリン。
まず砂糖と水でカラメルをつくり、容器に入れる。そして冷やしておく。
鍋に生クリームと牛乳を入れて低温で温める。
ボウルで卵黄と砂糖を白っぽくなるまで混ぜる。
温めた生クリームと牛乳を数回に分けて入れて混ぜる。
2回細かいザルで濾す。そしてカラメルの容器に流し入れ、蓋をして蒸し焼きにする。
出来上がったら冷やして完成。
(プリン必須のバニラビーンズが無かったから少しブランデーで代用してる。 )
☆
「シーラさん、従業員の皆さん短い期間でしたけど、ありがとうございました!」
「こちらこそ、レイちゃんが来てくれて助かったわ。 いつも体験学習を引き受けるんだけど、かなりの数のお皿を割ったりとかあるのよね。 それに比べたらレイちゃんは完璧だったわ。」
「それは良かったです。」
「それに礼儀正しいしね。 あの両親からどうしたらこんな子に育つのか秘訣を知りたいわ。」
(それは前世おっさんだからとは言えないよ。)
「それで感謝の意味でプリンを作ったのですが、従業員のみなさんで食べませんか?」
「……レイちゃん。」
「はい?」
「レイちゃんも今日からうちの子になりましょう! こんな優しい子は見たこと無いわ!」
「あはは、それは嬉しいけど、ブラットに悪いので。」
従業員からもそれじゃあ、うちの子で! みたいな話が続出してきた。 割りと好印象だったのが分かり嬉しく思う。
食堂のお昼の片付けを終わらせてから、みんなで席についてなめらかプリンを食べたのだが、事件が起こってしまう。
何故かみんなが無言で泣き出してしまったのだ……。
(なんで?!)
「旨すぎるわ……。」
「至高の食べ物だポン……。」
「もう死んでも良いや。」
「今までのプリンはいったい……。」
「レイくんを攫えば、毎日……。」
(なんかみんなの反応がおかしいぞ? しかも最後の発言はアウトだよ……。)
「ぼ、僕も食べてみようかな……。」
(!? ……やばい、旨すぎるぞ。)
なんでだ?と考えてすぐに思い出した。
なめらかプリンを【鑑定】してみる。
【至高のプリン】神様も食べたいプリン。 むしろ作って欲しい。
……。
(また【素材の極み】、お前の仕業かぁ-!)
後日、シーラさんの食堂では従業員が秘匿するまかないデザートがあったとかなかったとか。
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