第22話 認証の指輪

 この世界に産まれて、やっと5歳になりました。


 この世界では誕生日というものが無くて、年が明けると全員年齢が上がる仕組みになっていた。

 そして、5歳になると誕生祝いというものがある。


 昔は5歳までの餓死や病気での死亡理由で生存率が低かったらしく、その頃からの風習で5歳になってやっと誕生日になるみたいだ。

 現在は、ほとんど亡くなる子供が居ないからこの考え方はあまり関係はないらしいけど、5歳になると変わることが1つある。



 それは【認証の指輪】というものが貰える。


 神の使徒が運営している聖教会が神の祝福を使った【認証の指輪】を配布している。


 この指輪は貰うのは義務ではないが、貰わないメリットがほぼゼロなのでみんなもらう事になる。


 強いてデメリットを上げるなら、指輪を付けると神の祝福を貰い、神に逆らえなくなる事くらいだろうか。


(イメージ的には神様発行のマイナンバーカードみたいなものだろうか。)



 極まれにもらわない人が居て、神様からの祝福が無い代わりに神様への攻撃が出来るらしく、反神組織の子供が貰わないでテロみたいなことをするらしいが【魔王】の誰かが出向いて秒殺される。


 この世界を管理している神は人々が幸せになるようなことしかしないし、無理な命令もない。


 そして、神の定めたいくつかの禁止事項があり、


 ①神に攻撃してはならない。

 ②国同士が全面戦争してはならない。

 ③国は国民の為の政治を考えなくてはならない。

 ④大量自然破壊をしてはいけない。


 この禁止事項が曖昧で決まったセーフラインがない。

 アウトライン近くになると【聖人】が忠告に向かい、それでも改善がないと【魔王】に国は滅ぼされるらしい。


 だからと言って国は軍事力を持たなくて良いかというとそうでもなく、世界には魔獣、魔竜、悪魔などが居て、その討伐をしなくてはいけない。 


 【魔王】とかが全て退治してくれればよいのだが、世界規模の強敵の時だけ退治してくれる。

 その辺も曖昧で、神様はみなで考え自主的に行動して欲しいからめったに神様や【魔王】は世界に介入しない。

【魔王】も7人しか居ないから頼りすぎてはいけないということだろう。


 【聖人】は聖教会の管理、運営で指輪配布や世界の災害活動などいろいろしてるらしい。



 まあ【認証の指輪】はクレジットカードみたいな機能もあり価値は聖教会が補償している。


 貨幣が無いかというとそうでもなくて、大金しか預けられないので生活に使うお金は国発行の貨幣を使う。 あとは悪いことをして稼いだら預けられないから悪人は貨幣を溜め込む。



 謎の管理システムが高性能過ぎてすごいと思う。



 あと【認証の指輪】の最大の特徴はステータス画面が登録されていて、神の祝福により職種が開放される。

 職種に書いてある職につけというわけではないので、人によっては職種とは関係ない好きな仕事をする事がある。

 職種の仕事をした方が有利だからやりたいことがない人は大体その職につくことになる。



 神様がとても優しいようだけど、世界の崩壊を防いでいるだけである。





 そして今日、自分は認証の指輪を貰い、謎の固有スキル【ジョブホッパー】の内容を知るのだった。

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