第11話 レオン
【レオン視点】
俺は冒険者をしているレオン。
嫁のソフィアや仲間たちと共に冒険パーティーを組んでいて、初めての子供が産まれることでソフィアがパーティーから抜けて育児に専念する事になった。
本当は親子3人で一緒に暮らす方が良いけど、活動拠点にしている冒険者の街 《スカウトフォード》では俺達のパーティーは有名過ぎて、無理な仕事依頼が多く、子育てには向いていないと話で決まった。
仲間たちにその事を相談したら 《モロット》に良い物件を紹介してもらい、ソフィアには移り住んで貰うことにした。
もう少し近い方が良かったが安全面ではあの街以上に凄いところを俺は知らないから仕方ないと諦めている。
何故小さい村が安全かと言うと、あの村には以前、依頼でお世話になっていたハンターのエリーさん、鍛冶師のガイン夫婦がいるからである。
2人とも同世代の中で有名人で、エリーさんに森の中で襲われたら勝てる者は王国には居ないと言われるくらいだ。
ガインも元々王国騎士団お抱えの職人でガインの武具を装備した騎士団は一時期、異様な殲滅速度で魔獣を狩っていた。
そんな2人にもソフィアの事をお願いしたら、2人にも子供が出きたばかりだったらしく。
間もなく産まれる俺の子供にも良い仲間が出来そうだと思った。
仕事も昔ほど危なくない仕事に変更してもらい、護衛主の優しさで収入も割と良くしてもらっている。
唯一の不満は 《スカウトフォード》と 《モロット》の距離が遠くて、仕事の関係で月に1度しか帰れない事だった。
次にソフィアの元に帰るときは子供が産まれるだろう。
☆
1カ月後……。
俺は出来る限り早くソフィアの元に帰った。
「ソフィア! やっと帰ってきたよ!」
「お帰りなさい。レオン。」
俺の帰りを出迎えてくれたソフィアのお腹はスリムになっており、子供が産まれているだろう事が分かる。
「やはり子供はもう産まれちゃったか?」
「ええ、レオンが居なかったのは残念だったけど、無事に息子が産まれたわ」
出産に立ち会えなかったショックと息子が産まれた嬉しさで涙が出てしまった……。
「ソフィア、ありがとう」
「早速、私たちの息子であるレイに会ってあげてね。」
「ああ、そうしよう!」
息子のレイは可愛く大人しい感じでずっと見ていても飽きることは永遠に無いんじゃないかと思える位だった。
それと同時にレイの容姿を見ていろいろな理由でびっくりしていた。
☆
その日の夜、俺はソフィアとレイについて話し合うことにした。
「レイは【魔眼】持ちなんだな。流石にまだどんなタイプの【魔眼】かは分からないよな?」
「そうなのよね。定期的に眼を確認しているけど、私にはどんな効果の【魔眼】かは分からないわ。危険な【魔眼】じゃなければ良いけど。」
「うーん、俺も【魔眼】持ちはあまり会ったこと無いから詳しく解らないな……これはしっかりと調べないとな。」
俺も数人は【魔眼】持ちに会ったことはあるが、そのどれともレイの雰囲気は違っていた。
しかも産まれつき【魔眼】を発現しているタイプは初めて聞いた。
ソフィアも同じだから俺と似たような考えだった。
「この町では詳しく調べられないから、大きな街で調べるのをお願いね。」
「ああ、任せてくれ!」
☆
2年後……。
「レイ! お父さんが帰ったぞ!」
「おとぅ~。 おかうり~」
「流石は俺とソフィアの子供だ、もうこんなに話せるんだな!」
「お帰りなさい。レオン。」
「レイは凄く賢そうだな……俺達の息子は天才かもしれないな。」
2歳でこれだけしっかり話せるレイはきっと天才だと思ってしまった。
「確かに、少し前に産まれたブラットくんやエレナちゃんより賢いかもね。ただ、体力的にはふたりに負けてるかもしれないわね。」
「やっぱりふたりより賢いか! 体力的な事は種族特性の成長スピードが違うし、ガインやエリーさんの子供達だから才能の面では勝つのは普通に難しいかもしれないな。」
「……それもそうね。たぶんレイは魔法師系だと思うわ。」
「俺的には雷属性を引き継いでいるから前衛職になってもらいたいが、雰囲気的にはソフィアの言う通り、魔法師系かもしれないな。」
☆
「レイ~。 ちょっとお父さんと遊ぼう!」
最近、レイに抱きつこうとすると逃げられる様になっていた。
「いや!」
そしてレイはソフィアに抱きつく。
「レイ、何故だ……」
俺は竜種に囲まれて死を覚悟した時以上の絶望を感じ、膝から崩れ落ちる。
「レオンがたまにしか帰れないから仕方ないんじゃない?」
「……そうかな? なんかたまにおっさんうざいみたいな視線をするときがある気がする。」
「それこそ、気のせいよ。レイはまだ2歳よ?」
「確かに……、そうだよな。」
流石に2歳がそんな事を考えるわけ無いよな?
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