幼児編

第10話 2歳になりました。

 自分はこの世界に転生してから、やっと2年が経過して2歳になっていた。


 自分の周りでもいろいろ変化があったが、自分の中での一番に変化したのは、会話が出来るようになった事である。


 まだ舌の関係なのか、完全に思い通りには話せないけど、そこは成長すれば大丈夫だろうから、これからかなと思う。 ちなみに話してる内容に関してはほとんど分かるようになっていた。


 前世では英語すらあまり覚えられなかったから、不安ではあったけど、ある程度形にはなったから一安心である。



「おかぁさん、おはよ~」


「レイ、おはよう」


 未だに父親は外で働き、母親との二人暮らしであった。


 2歳に成長して、外には出れたけど、まだ庭までしか許されていないから、毎日やることが同じになってくるので、かなり飽きてきた。


「あさごはんまでそとにいく~」


「わかったわ、ご飯が出来たら呼びに行くわ。」


「わかった~」


「相変わらずレイは2歳なのに賢いわね……」


最初に母親の話しかけに対して的確に答えたときは、びっくりを通り越して不審な表情になったが、今では慣れたみたいでうちの子は賢いからって考えるようになったみたいだった。


 うちの家は思ったよりも広くて、平屋建ての4LDKで庭もかなり広い。


 もっとラノベに出てくるファンタジー版の中世ヨーロッパみたいなイメージかと思えば、お風呂があったり、水道もトイレもあり下水道関係もしっかりしているので地球と比べると発展の仕方に違和感を憶えた。

 地球とは違う発展をした理由として、家電製品の代わりに【魔道具】というものが一般家庭にも普及しているのもあるだろう。しかし【魔道具】は維持コストがかかるみたいだから、導入を最低限にしている家庭も多いみたいだ。



 今、自分は庭で体力作りの為に外で走ったりして遊んでいる。

 2歳だから体力はもちろん無いのは仕方ないとは思うけど、自分には同い年の幼なじみが2人いるのだが、その2人に比べるとスタミナが全く足りない気がしていた。

 【ステータス画面】にある【成長スピード】の影響が強いと思われるが、【成長スピード】が遅いなら人一倍頑張るしかないと考えていた。


 前世でも運動神経は無かったから、今度はハイスペックな身体能力を手に入れたかった。


 朝は庭で軽く疲れてくる感じになるまで、走ったりして遊んでいる。


そろそろ朝ご飯が出来てるかな?


「レイ~ごはんが出来たわよ~」


「は~い」


本来なら子供にとってご飯は楽しみなイベントなのだろうが、うちの母親は料理がかなり美味しくないのだ……


 何度か母親が料理してるところを後ろから見たけど、調味料が足りないと言うより母親が料理を作るのが苦手な印象を受ける。 キッチンにはほこりをかぶった調味料が大量にあったり、包丁の使い方が危なかったりと、もしかしたら結婚するまで料理自体をした事がないのかもしれない。


 そして、毎日似たような塩味の野菜スープを食べていく。 塩分に関しては話せるようになってから、しょっぱいアピールするとすぐに塩分を減らしてくれた。 だからと言って野菜スープが上手くなったわけではないけど……。


 野菜スープである朝ご飯を食べたら、また外で運動をする。


 手先がまだ上手く動かせないから、小さいうちは砂遊びしたり、地面に絵を書いたりして、手先を鍛える遊びをしていた。


 前世では、インテリアデザインをしていた時もあり背景画を書くのは得意だった。 パソコンが普及してからは手書きで建物の透視図(立体的に書く技法)を書く人が減っていたけど、自分は手書きが好きだった。

 多種多様な構造物の図面を見ては脳内で立体図を想像する。 住宅などは外観を見ただけで間取りが大体わかった。


 そんなこともあり、自分が勝手にテーマや敷地条件を決めて、地面に設計した図面を書いたり、外観図を書いたり、庭から見える風景を書いたりと2歳児は絶対にしない1人遊びをしていた。





 お昼を食べてからはお昼寝タイム……。


 と思わせてベットの中で【魔力操作】の練習をしていた。


 【魔力】量を増やす方法に、実は裏技的なものはなく、動物などの生き物が自然にあふれている【魔素】というエネルギーを取り込む事で体内で【魔力】になり、その肉を食べることで人間は【魔力】量が上がるというのが一般的な解釈らしい。 肉が生臭くてあまり食べたくないと母親に話したらそんな難しいことを言われて、最期には肉を食べると強くて元気になるから食べなさいと強制的に食べさせらたものだ。

 今では食べる頻度が一週間に一回程度なので我慢して食べている。


 あと【魔力】の上昇率は個人差があり、同じ肉を食べ続けても差は出たりするし、住んでいる地域によっても【魔力】量は変わるとかなんとか……。 



 そういえばこの世界の時間や曜日の考え方は地球とほぼ一緒みたいだった。


 1日24時間 

 1ヶ月30日

 1年360日


 あまりに同じ過ぎるので自分以外の転生者が過去に居たんじゃないかと考えている。


 自分としては時間などが一緒だと非常に分かりやすくて助かるけどね。


 あと【魔法】に関しては、いろいろと試す事でいくつかの【魔法】を習得していた。


 【魔力操作】関係で覚えたのは……。


【クリーン】身体の皮膚より外側の汚れと認識したものだけを落とす。イメージと技術で汚れの落ち具合が変わる。


【ボックス】魔素を四角い形に固める。中をくり抜いたりイメージ次第で応用が可能。


【ボール】魔素を丸い形に固める。属性を付与する事で応用可能。


【シールド】魔素を板状に固める。属性を付与する事で応用可能。


【ハンド】魔素を触手状にして手のように操る。属性を付与する事で応用可能。


【ストレージ】次元収納。許容量は魔力操作次第。内部時間は止まる。


 この6種類を習得していた。 これらは習得はしたけど全然思い通りにならず、ほとんど使えないと言っても良い状況だった。


 やはり【魔法】や【魔力操作】などのスキルに詳しい人からコツを聞きたいと、最近思うようになっていた。


 しかし、自分が覚えた【魔法】が一般的にどこまでが凄いのかわからないから人にも聞けていないでいた。

 2歳児が【魔力操作】などを必要とする【魔法】を使う時点で、異常なのは間違いないとは思う。 いらないトラブルは起こしたくはなかった。


 他人に聞いていないのに何で【魔法】の効果が解るかというと、自分の【ステータス画面】に表示されたものは【鑑定】を使用する事が出来たから詳細も少しなら分かったのである。


 しかし【固有スキル】である【ジョブホッパー】と【鑑定の魔眼】に関しては【鑑定】を使用する事が出来なかった。 もしかしたら熟練度的な何かが足りてないのかもしれない。


 【魔力操作】と【魔眼】、【鑑定】を練習すると最近は疲れて眠くなるので、そのまま本当にお昼寝タイムに入り、起きたら晩御飯食べてまた寝るという流れになっていた。



 ちなみに【魔法】を発動した時に光るのは【クリーン】の使用時だけで、【クリーン】時の発生する光を抑える方法は解らなかった。



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