第81話 持っていくもの
「そんなこんなで鉱石を掘ってきたわけだが、どれが必要なんだ?」
三層での鉱石採集を終え、ギルドハウスに戻ってきた。
「今回必要なのはこれ」
エマが鉱石の一つを指さす。
これは……アダマンタイト? ファンタジー鉱石として名高い鉱石だな。これを何に使うんだろう?
「リューヤ、これに魔力流してみて」
エマからアダマンタイトを受け取り【魔力操作】で魔力を流そうとしてみるが、なんだこれ、全然流れない、というよりこれは魔力が弾かれるような……
「アダマンタイトは魔力をはじく性質を持っている。これを使えば魔力の漏れが抑えられてより効率的に魔力を流せる」
なるほどつまり、ミスリルをアダマンタイトで覆ってミスリルから魔力が漏れるのを防ぐってことか。確かにそれなら消費魔力が変わらず、馬力だけを上げられる。
さらにエマはアダマンタイトを糸状に加工して布にして、これまた糸状にしたミスリルの束をくるんだ。これはケーブルか。
「こうすれば術者から離れたところでも十全に魔力が届く」
これがあればある程度大きなものも作れそうだな。
◇
「リュー兄これもらっていいの!」
ルカがバイクに乗りながら言う。
「まだ試作段階だからやらん! ほしいなら有用な意見でも出してくれ」
ここ数日でルカは【魔力操作】の使用が出来るようになっていた。今なら【錬金】スキルも入手できるだろう。
「この状態でも結構いいと思うけど、しいて言うならMP消費かな。でもこの前大幅に改善したって言ってたよね。後は……重量かな。もう少し軽くできないかな、
「これ以上ってなるとミスリルを使う事になるな。それだとコストがかなりかかるけど……いや待てよ。鉱石にこだわる必要はないのか。木材を使えば軽量化出来るし、コストも鉄とあまり変わらない。強度が心配な部分は、そこだけミスリルとかにすればいけるか。軽量化が可能なら、MP消費もさらに減るし、いいかもしれないな」
よし改良しよう。というか
持っていくものの整理もしとかないといけないんだよな。とりあえず鍛冶セットと錬金セット、後は料理セットの三つは確定として、残り七つをどうするかだな。武器はメインとサブに刀とメイスを持っていく予定だから、枠を消費しない。それはいいとして、銃に関してはどうしようか。あれってマガジンセットも入れると2枠取られるんだよな。
マガジンは現地調達するっていうのもありだけど、あれにはそれなりのミスリルが使われているから、向こうで調達できるか分からない状態では躊躇うものがある。
さらに言えば錬金セットで専用の工具を(エマが)作る必要があるのでさらに材料が必要になる。
銃はバトロワみたいな、常に戦闘するような場合には役に立つけど、探索なんかに関してはほとんど役に立たないからな。他の探索なんかに必要な物を、持って行った方がいいかもしれない。
銃はいったん保留だな。他の
確か皆はポーションなんかを持っていくって言ってたっけ。回復魔法があるとはいえMPにも限りがあるし、俺も持って行った方がいいかな。
ポーションは10個で一枠になるらしい。
あれ? ポーション10個で一枠になるなら、他のはどうなるんだろう?
他のも試しておこうかな。
後は食料かな。これに関しては現地調達が可能だろうけど。果物の説明文を見るがぎり、運営は性格が悪い人が混じっている可能性が高い。食べただけで即死とかはないと思うけど、携帯食でもあった方がいいだろうな。できれば複数個で一枠になるタイプの物を作っておきたい。まあ仮に現地で毒物が見つかっても、【錬金】スキルで毒だけ【抽出】を行えば問題ないだろうけど。
料理セットの中に調味料があるから、ある程度の味は出せるだろうけど、仕込みはできないから、【餌付け】は発動しないだろうし、その時点で匂いの出る料理はしたくない。
最初に拠点を作って、防衛できるようになってから、料理をしたい。
拠点に関しては木材が有ればエマが、無くてもナツメが魔法で塀くらいは作れるだろう。
問題は他のプレイヤーがどう出るかかな。
拠点を共有させて欲しいと言い出す可能性もあるし、奪い取ろうとする可能性もある。
いっそのこと数クランで集まって拠点を作り上げるのもありだな。
取り敢えず、鍛治セット、錬金セット、料理セット、ポーション、携帯食までは確定でいいかな。
後のものはまた今度決めるとしよう。
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