第63話 東の裏ボス
日課を行い朝食を食べて、ログイン。
今日はアーデさんのお店に行ってみよう。場所はフレンドメールで教えてもらったので迷うことはない。
迷うことはないのだが……デカくない?
メールに添付された地図の通りに進んだのだが、そこには豪邸が建っていた。ショッピングモールかな? こんなの何時建てたの? いったいいくら稼いだんだ?
中に入るとアーデさんだけではなくロンとリンカさんもいた。
「こんにちは」
「あれ? リューヤ君、久しぶり。いらっしゃい」
「え? あ、本当だ。リューヤ君、いらっしゃい」
「久しぶりだなリューヤ、どうしたんだ?」
アーデさんリンカ、ロンの順で言葉を交わす。
「お店を開いたと聞いたので、お祝いと挨拶に来たんですけど……」
あれ? アーデさんだけじゃなくてリンカさんもいらっしゃいって言ったよな? ここはアーデさんのお店のはずなんだけど? どういうことだ?
聞いたところによると、ここはアーデさんとリンカさんのお店らしい。何でも一人で買うにはちょっと高かったたしく、二人で折半して買ったらしい。
売り物は左右で右側が鍛冶で作れる物、左が木工で作れるものに分かれている。レジも二つあるようだし、よく見れば分かったな。
「ロンはどうしてここに?」
「ちょっとした情報交換だな。ちょうど今
今OLFW内で、一番熱い話題が
とはいえ、実際に使うか使わないかという話になると、使わないという人も一定数いるらしい。理由としては、消費魔力量の増加によるものだ。一定の水準にとどまっているパーティーであればすでに動きのパターンが固まっており、無詠唱で魔法を打つ必要性が低いらしい。確かに
上位の魔法職に聞いたところ、
……いやこの3人の情報網すごいな。上位ってどのあたりなんだろう?
ルカのような魔法剣士なんかは、殆どが使わないという意見らしい。純粋な魔法職より魔力量が多くないために、今の状態ですでにMPがカツカツな人が多いらしい。
ちなみにMP回復速度上昇のマジックリングを付けているルカは、ブーツが欲しいとよく言ってくるが、まず魔力操作を覚えろと言いたい。
現在の時点で魔力操作のスキルソードの発見例は挙がっていないらしく、そもそも使う事自体、俺以外が出来ない状況だ。運営からも扱いの難しいスキルだと言うことは伝わっているのでトップの攻略組は、むしろ取るべきでは無いと言っている人もいるらしい。
俺は実感出来なかったが、ナツメいわく使いこなすにはそれなりの時間が掛かるようだし、それに時間を掛けているより一つでもレベルを上げる方が有意義というように考えるのも分かる。……が、魔力操作による魔法の威力の調整はあった方が良い気がするな。あれ自体は消費魔力に見合った火力が出るし。
まあ知ってるのはミキとルカだけだし(コウは蚊帳の外だったので除外)今更情報を流すことも無いので、アーデさん達には黙っておくことにする。
取りあえず、開店祝いに昨日作ったポーションを渡しておいた。
……味付きを渡したらなぜかこそこそタイムが始まった。このポーション事態はそんなに難しい方法で作ったわけではないし、そんなに珍しい者でも無いと思うんだけどな。
……いや待てよ。そう言えば味付きを作る時は錬金を使ったんだっけ。なら味付きポーションがまだ出回ってない可能性も……やっぱりまだ出回ってないんですか。
味付きポーションを定期的に下ろしてくれないか、と言われたけど流石に毎回果物なんかを取ってくるのは面倒なので断った。
代わりに味付きじゃ無い普通のポーションの方を下ろすことになった。薬草なんかは向こう側が提供するらしいので定期的に下ろしてほしいらしい。
俺としては錬金を使えば簡単に量産出来るので快く引き受けた。これで更に懐が潤うな。
……いや使い道が無いんだよな、何に使おう。あ、リンカさん船くださーい。
さて、あとはアップデートが来る前にレベルを上げるか。
運営からの告知では明後日に行われるらしいしな。
《プレイヤー「アルミ、ユウキ、カイル、コウ」によって東の裏ボス、ゴールドスライムが討伐されました。以後東の裏ボスは弱体化かそうでないかを選ぶことが可能です。以後東のフィールドに新しいモンスターが出現します。以後町に新しい物が売られます》
お、裏ボス討伐か、コウもいるみたいだし後で話でも聞いてみようかな。
◇
「龍兄、ゴールドスライム狩りに行こ」
階段から降りてきた妹の第一声である。
「狩りに行くって裏ボスのだよな。条件は知ってるのか?」
「うん、コウ兄から教えてもらった。ショップに新しく出た、収光粉っていうアイテムを東の一層で撒くと出るんだって」
情報早いな、いやこれは帰ってきたコウに聞いたのだろう。俺の時は南で海だったし、船が必要だと思っていたんだろうけど、今回は草原だしな。
「パーティーのみんなとは一緒に行かないのか?」
「用事があって集まりが悪いの」
そういう事か、まあ特に今すぐやらなきゃいけない用事もないし、別にいいか。
「それじゃあ食器洗ったら行くから準備しとけよ」
「分かった」
そう言うと二階にダッシュで上がっていった。
忙しないな、いくら急いでも俺の食器を洗う速さは変わらんぞ。
というわけで集合場所に集まったのはいいが……
「なんか想定よりも人数が多いんだが?」
集合場所にはルカだけでなくミキとシノブさんがいた。パーティーメンバーは用事があるんじゃなかったか? という目でルカを見ると……
「集まりが悪いとは言ったけど誰も来ないとは言ってないよ」
「よろしくお願いします」
シノブさんはいい。ミキはどうしてここにいるんだ?
「ルカが居たから声かけたら、ゴールドスライムを狩りに行くっていうからメンバーが空いてたら連れて行ってもらおうと思って」
「それでルカ、これで全員か?」
「うん、アイテムも買ってきたから早速行こう」
ということで来ました、東の草原。確かここで収光粉ってアイテムを撒けばいいんだよな。
ルカがインベントリから光る粉を取り出し、撒いた。収光粉なのに光ってていいのか? 収って言うくらいだから光を吸収して黒色に見えるのを予想していたんだが。……まあいいか。お出ましのようだ。
《東の裏ボス、ゴールドスライムが出現します。弱体化させますか》
これはすでに相談済みだ。NOを選択する。
するとそこに現れたのは……ただのスライムだった。
ゴールドスライムじゃない? どういうことだ?
「リュー兄、よく見て。囲まれてる」
周りを見ると確かに囲まれているようだ。警戒を怠ったな。反省だ。
「私の索敵にも姿が見えるまで引っ掛かりませんでした。そういう演出かもしれません」
盗賊のシノブさんの索敵にかからないのか、となると……
「たしかにその可能性はあるが……多すぎないか?」
スライムは続々と増え続け……百体くらいだろうか。かなり多いがこの程度であれば問題ないだろう。問題はこの表示か。
《ゴールドスライムが逃げ出すまで残り4:56》
時間制限付きか。厄介だな。
「【召喚】ナツメ、ミキ頼む」
「了解じゃ」
「撲滅戦なら私たちが一番だからね」
ナツメとミキが魔法を使う。広範囲ならこの二人がいれば大丈夫だろう。
「ルカ、俺たちは上から探すぞ」
「分かった」
俺は翼を広げ、ルカは【空歩】を使い飛ぶ。
「見つけた。シノブ! 正面20メートル」
ルカが見つけたようだ、確かに金色に光っている個体がいるな。草が邪魔で地上からじゃ見つけにくそうだ。
「【召喚】フェルス、シノブさんの援護を」
「右から行きます」
『じゃあ私は左から行く』
シノブさんとフェルスが左右から挟み撃ちをするが……早い。シノブさんとフェルスよりも。さらに索敵スキルでも持ってるのか、一定距離に近づくとすぐに逃げ出す。好戦的であれば楽だったんだが、一筋縄では行きそうにないな。
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