第62話 ポーションと第二層ボス

 困ったな、まさかここまで広いとは。

 ボス以外の情報も調べてくれば良かった。


「こうなったら全員散開で、何かあったら【コネクト】で連絡を取ること」


 そう言ってナツメ達に自由行動させる。あっ【解体】外しとこう。

 ちなみに召喚士がレベル20になると【自立行動】と言うスキルが発現する。これがあると召喚獣達が命令されなくても自分で考えて行動するらしい。

 よって今回は引率がいらないのだ。


 ……よくよく考えたら俺がいないのに勝手にPVPやってたしあんま変わらないのでは?


 さて、俺はどうしようか。


 そう言えば冒険者ギルドでクエスト受けたんだった。狩りはナツメ達が勝手にやるだろうから、俺は薬草採集でもしようかな。







 イベント終わって数日後、料理の話をどこからか嗅ぎつけて、たかりに来たコウに言われたことがある。


「なあリューヤ、お前イベント中一回もポーション使わなかったのは何でなんだ? 確かにあれは出来れば飲みたくはないが、振りかけるだけでも結構効果はあるぞ」


「ポーション? ……ああ、そう言えば始めた時からインベントリにそんなの入ってたな」


 ゲーム開始直後にはHP回復ポーションが数本インベントリに入っている。


 今までHPを【回復魔法】で回復していた俺はそのことにまったく気付いていなくずっとインベントリの肥やしになっていた。


 それで一回ポーションを飲んだのだが、これが苦いのなんのって、ポーションは非常時以外は使わないことが決まったね。


 イベント中は外から持ち込んだ回復アイテムが使えなくなっており、代わりにイベント内のみ効果のあるポーションがインベントリ内に入っていたらしい。


 そういえばそんなこと書いてあったな。思いっきり忘れてた。まあ覚えていたとしてもあまり使わなかっただろうけど。ナツメ達との戦闘中にインベントリ開く隙なんて無いからな。


 コウの話だと【調薬】スキルってのを使うと品質が高くなるけど、実際無くても作ることは出来るとか言ってたな。


 試しに作ってみるか。


 確かまず薬草をすり鉢で砕いて、お湯と一緒に混ぜて、後は布なんかですだけだったし、それくらいなら簡単にできるしな。


 ます薬草をすり鉢で……そういえば前にエマの店で入れた物を粉末にする機械を買ったな。あれ使うか。

 次はお湯だな。これは【料理】スキルで使う鍋で沸かして混ぜていく。

 最後に漉すのは……【抽出】を使えば良いか。

これで完成。


 簡単に大量にできたな。

 しかも勝手に瓶詰めされてるし、ありがたい。


 でも使いたいとは思わないな………


 味の改良、してみるか。







 ふう、大量に取れたな。


 その後、俺は草原をかけずり回っていろんな物を集めた。


 イチゴやブドウ(に似た物)があったのは良かった。他にもいろいろ手に入ったし、これなら味を変える事くらいなら出来そうだ。


 でも一応鑑定しておくか。普通の【鑑定】だと名前しか分かんないんだけど、【料理】スキルのアーツに【食材鑑定】と言うのがある。これを使えばイチゴやブドウの詳細が分かる。と言うことで、いざ、【食材鑑定】



しびれイチゴ


種を食べると麻痺の状態異常になるイチゴ

実の方は大変美味とされている


ポイズンブドウ


皮と種に毒があり食べると毒の状態異常になるブドウ

実の方は大変美味とされている


ボムパイン


実の中央部分に爆発物があり

知らないで包丁などで切ると爆発する

大変美味とされている


オレンジ


皮は食用にむいていないので剥いて食べるべき

大変美味とされている



 あっぶねーーーー。良かった。本当【食材鑑定】しといて良かった。


 あの運営完全に殺しに来てるだろ、ボムパインとか殺意むき出しじゃん。

 後オレンジは普通なんだな。ネタ切れかな?


 取りあえず、全部おいしいみたいだし使ってみるか。


 イチゴは種を、ブドウは皮と種を……どっちも【抽出】で取れた。【錬金】て凄いな。パインは……中央ってどれ位のことを指すんだ? 取りあえず適当な所を切ってみるか。

 オレンジは……うん普通に皮を剥こう。


 後はそれぞれ粉末にして薬草と混ぜてお湯を入れて【抽出】


 出来た。どれ味は……うん不味い。


 さっきのよりはマシだけど、これじゃあんま変わらんな。


 他の方法も考えるか。







 ダメだな。量を変えたりしたんだがポーションというアイテムになると不味くなる。かといって果物の方を多くすると今度はただの果実ジュースになる。


 うーむこれは方法を変えた方が良いな。

 ポーションと果実ジュースを作って【融合】を使う。これならどうだ?


 うん、不味い。でも今まででは一番良い。


 ん? 合成があるなら別にジュースにする必要な良いんじゃ無いか?

更に言えば、粉末にする必要も無いな。


 やってみるか。

 ポーションと種を取ったイチゴを【融合】する。



初級ポーション(イチゴ味)


イチゴ味のポーション

HPを500回復する

振りかけると徐々に回復する

RTリキャストタイム1分



 飲んでみる。うん、イチゴ味だ。

 完成だな。初級ってのは確か薬草の種類のせいだっけ。

 RTってのは再使用までの時間だったな。回復量の高い薬草見つけて作ってみるか。

 スキル欄をみると【調薬】スキルがあった。


『主、ボス見つけたよ』


『おっ、その声はラルミィか、流石だな。全員ラルミィの所まで集合だ。ラルミィも【分裂】体を回収してくれ』


『了解したのじゃ』


『分かりました』


『分かった』


 翼をだしてラルミィの所まで飛ぶ、と言っても今ラルミィはかなりの数に【分裂】してるので、どこに向かえばいいのか分からなくなるが、まあラルミィの分裂体の進行方向に進んでいけば良いだろう。


 俺は従魔の場所はマップを見れば分かるので良いがナツメとフェルスは大丈夫だろうか?

 よく見たらナツメとフェルスに重なるようにラルミィの表示があるな。予め分裂体を付けておいたのか。賢いな。これも【自立行動】のおかげだろうか?


 ……もし俺が報告しろとか言わないで、自由にして良いよとか言ったら、ボスに挑んでそうだな。俺の従魔が特別なのか【自立行動】のありがたみが薄いな。


 ラルミィの所まで行くと人が並んでいた。まあ経験値的にはおいしいんだし並んでる人はいるか。【解体】を付けておこう。あ、ラルミィは今のうちに【捕食】してきて良いよ。まだ時間あるし。


 最後尾に並び従魔達も戻ってきたのでドロップ品の確認。


 ここではボアと森……じゃなくて山でも出たウルフなどが出現するようだ。肉や角、牙などがドロップしている。……あの、ボアの肉の量がちょっと過剰じゃないですか?

 後で料理しろって事ですね、分かります。


 さて、二層のボスはドン・ボア―。ボアを大きくしたような感じだな。名前考えるの面倒くさくなった感が凄いけど、まあ良いだろう。


 取りあえず全員ソロで行ってみるか。


 まずは俺から。

 スピードは中々とは言え攻撃が単調すぎる。突進ばっかじゃな。

 近くによると暴れ出して地面が揺れる。飛べる俺には関係ない。飛べなくても【空歩】使えば問題ない。


 知っていたとはいえ期待外れ。次は攻撃だな。


 魔法、打撃はあまり効かない。斬撃、刺突は効きが良いみたいだな。

 ナツメとラルミィは苦戦しそうだ。


 後は側面から攻撃して終了。


 簡単に倒せたな。弱点が分かれば簡単なもんだ。次、ナツメ。


 うん、効きにくいだけで、効かないわけじゃないもんね。ドン・ボア―のHPがゴリゴリ削れていく。


「これで終わりなのじゃ【ドラゴンクロウ】」


 あっ、あれってイベントの時に使ってた新しい【龍魔法】か、【ドラゴンクロウ】って名前なのか。斬撃系のダメージも入ってるな。【ドラゴンクロウ】は魔法と斬撃の両方のダメージがあるのか。


 うん、完勝だな。次、ラルミィ。


 数の暴力って怖いよね。現在エルダーウルフとフォレストウルフの狩りの最中です。魔法も使ってるな。しばらくお待ちください。


【捕食】して終了。次、フェルス。


 フェルス速いな。ドン・ボアーの突進を後ろから追いかけて小太刀で切りまくってる。【刀術】のスキルソード今後買って上げよう。あ、麻痺した。もうまともに動けないな。


 はい終了。


 取りあえず全員で三層に行ったら。今日は終了だな。

 噴水広場に戻って宿を取ってログアウト。


 これだけお金あれば家くらい買えそうだな。

 そう言えばアーデさん達は自分の店を持ったって言ってたな。

 今度行ってみようかな。

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