第26話 錬金術の手伝い
ちょっと実験をしてみよう。
まずなぜロッドを使うと威力が上がるのかだ。
アーデさんから買ったロッドを使ってみる。
【魔力操作】でいつも循環させている魔力をいったん止める。
これで俺は今普通のプレイヤーと同じ状態だ。
そして体内の魔力を感じる事に集中する。
ここで魔法を詠唱する。
すると魔力がゆっくりとロッドの先端に集まっていき収束していく。
そして魔方陣が完成し魔法が飛んでいく。
次はロッドを使わない場合だ。
今度は手から放つようにイメージして使ってみる。
詠唱を始めると先ほどのようにゆっくりと手に魔力が集まっていく
ん? 今度はなぜか先ほどのように収束しない。
そして魔方陣が完成し魔法が飛んでいく。
先ほどよりも明らかに威力が弱い。
さて、まず考えられるのはやっぱ収束かな。
収束することによって魔法は強くなった。と考えるべきだろう。
ではどうしてロッドで使った時、収束したんだ?
先の方に収束していた。つまり先の方にある何かが魔力を収束させているのだろう。
俺やナツメは【魔力操作】を持っているのでロッドなんて気にせずに収束させることが出来るが【魔力操作】を持ってない人には出来ない。
魔力の収束具合で魔法の威力が決まるのであれば、魔力を収束させることさえ出来れば別にロッドじゃなくて良いはずだ。
アーデさんから買ったロッドだが調べたところやはり木材を使っているようだ。ただ先端には鉄鉱石が埋め込まれるようにはまっていた。
鉄鉱石がはめ込まれていたと言うことは、収束するには鉄鉱石が必要? いや鉄鉱石だけだと限定的すぎる。
鍛冶では銅でもロッドは作れたはずだ。
となると鉱石が必要になるのではないか。
俺が分かるのはココまでだ。あとはその道のプロにも聞いてみよう。
◇
「……それで、エマのとこ、来た」
「そういうこと。俺の知っている中ではエマが1番こういうのに詳しそうだしな。魔力操作も持っているし。あと会いたかったし」
「……そう」
うん? 急にうつむいてどうしたんだ? よく見ると耳が赤いな。熱でもあるのか? 風邪かな? だったら安静にした方が良いと思うんだが。
そういえば一人暮らしなのかな。看病してくれる人は居るんだろうか。というかNPCって風邪引くのかな?
「具合悪いのか? 悪いならまた出直すけど」
「いい、大丈夫。少し、待ってて」
そう言ってエマはお店の奥に行きしばらくすると袋を抱え戻ってきた。
「これ全部、金属。魔力流してみて」
言われたとおり流してみる。これは銅かな
ん? 何か流れにくいな。と言うかこれ魔力流れてるのか。魔力を送ってるけど、途中であふれてるな。
「それは、銅。銅は、魔力が、流れにくい。流れにくいから、とどまりづらい。とどまりづらいから、収束率が、悪い」
なるほど、つまり魔力が流れにくい物を材料に使っても魔法の威力が上がりにくいと。
そして鉱石が魔法を使うさいの魔力を収束させている物だと言うことだろう。
つまり鉱石があれば魔法の威力が上がるのか。
と聞いてみると。
「ちがう、それだと、武器だと、認定されない」
「認定? 認定が必要なのか?」
「そう、武器として認定されるには、一定の行動と、装備できる箇所を、指定しないといけない」
一定の行動というのは恐らく剣を作るさいの【鍛冶】とか弓を作る時の【木工】とかのことだろう。
装備できる場所の指定は武器が出来ると勝手にセットになって出てくるさやとかのことだろうか? でもロッドなんかにはないからな。ちょっと違うか。
「どちらも、やろうと思えば、出来る。でも少し時間かかる」
「どうするんだ?」
「装備箇所の、指定は、指輪や、腕輪。そういう物で、構わない。問題は、認定の方。一定の行動の、中では、指輪や、腕輪、組み込むには、大きすぎる。だから無理矢理、魔方陣を、組み込んで、
「
「魔力で、動く、道具のこと。店においてある物ほとんど
なるほどよく分からんが魔方陣を組み込めば、武器と認定させることが出来て、その魔方陣を組み込むには【転写】と言うアーツが必要だと。
「【転写】は私が、使える。でも【転写】には特殊なインク、必要」
「つまりそれを取ってくれば作れるのか」
「そう、取りに行く?」
俺は勿論とうなずく。
――――――――――――――――――
内容;錬金術で使うインクの材料を持ってこよう
報酬:???
このクエストを受けますか
※受けなかった場合このクエストは二度と現れません
――――――――――――――――――
クエスト扱いになるのか。
っていうか手伝ってもらってるのこっちなんだが。
まあ良い。
インクの素材って何だろう?
そんなことを考えていると……
「じゃあこれ」
エマが何か渡してくる。
コレは……糸と棒?
「棒は、魔力流せば、分かる」
言われたとおり流してみる。するとガシャガシャと棒が伸び。
「コレって釣り竿か」
「南の、モンスターから、インク取れる」
「モンスターをつり上げろって事か」
「そう。頑張って」
「おう。じゃあ行ってくる」
◇
「ココが南か……見事にだれもいねえな」
現在南の海にいるが人っ子一人居ない。
理由は簡単。船がないからだ。海である南の移動手段は船だ。泳ぎだと確実にモンスターにやられるそうだ。
NPCがいないのも同じ理由である。そりゃモンスターが居る海では遊べないわな。
まあ今回は釣りだ。海には入らないので問題ない。
とりあえず糸を垂らしてみる。
………………………………よくよく考えたら餌付けてなかったな。
餌どうしようか。
狼の肉が大量にインベントリに入っていたのでとりあえず付けてもう一度やってみる。
………お、掛かったな。流石ゲームというか結構簡単に掛かるな
オラッと一気に釣り上げる。
ツラヌキ
コレは今回狙っていたのとは別の奴だな。
ちなみに泳いだ物の中で一番被害者が多い魔物である。
何か角みたいなの生えてるしな。コレに貫かれて死に戻ったのだろう。
それから何度も釣ったが目的の魔物は全然釣れず。
「そろそろアーデさんとの待ち合わせの時間だな」
しょうが無い。今回はコレでやめてまた来よう。
◇
「こんにちはアーデさん」
「うん、こんにちは」
ちょっと待ってねと言うとアーデさんは素早く露天を片付け。
「じゃあ行こうか」
と言ってギルド方面に向かった。
あれ? たしか……
「あの……他の人は」
「うん、他の二人ね先にギルドにいるらしいから」
「そうなんですか」
「ちなみにだけどリューヤ君私のとこ以外でプレイヤーのお店って行ったことある?」
「いえ無いですね」
よくよく考えたら俺メイス以外初期装備だな。
「それなら今から合う二人の店はおすすめだよ。お金はちょっと掛かるけど、他の店よりは良い物が出てくると思うよ」
「そうですか……考えときます」
お金が掛かるってどのくらい掛かるんだろう? やっぱ相場は知っといた方が良いな。
おっといつの間にかギルドに付いたようだ。
ギルドに入っていくアーデさんのあとを付いていく。
「アーデ、こっちこっち」
アーデさんを呼ぶ声があるそっちを向くと。
さっき声を掛けてきたであろう妙に背の低い女の人と、それとは対照的に2メートルを超えるであろう大きな男が居た。
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