第25話 鉄の武器

ピピピピ、ピピピピ、ピピピピ……


うん、もう朝かまだ眠いな。そういえば1時間早く目覚ましをセットしたんだっけ。


今日からランニングをする予定だ。気休め程度だけど少しはゲームとの違和感が無くなると言うし、まあ違いを実感するのは大体1ヶ月とかそれぐらいたってからだろう。


VRゲームは身体をほとんど動かさないしこのままだと身体が鈍ってしまうだろうしちょうど良い運動になるだろう。


走る時間は30分くらいで良いだろういきなり何キロも走れと言われても無理だしな。なれていったら距離でも伸ばしていこう。


「行ってきます」







「ただいま」


ふう、30分って意外に長いな。春香はこの時間なら寝てるだろうしシャワーでも浴びて……夜更かししてるだろうし春香の朝食は冷蔵庫にでも入れとくか。


ふう、さっぱりした。


「あ、お兄ちゃん帰ってたんだ、おかえり。外行って何してたの?」


「うん、ただいま。ちょっとランニングをしてきた」


そういって朝食を作り始める。


「春香、今何時だ?」


「五時半だよ」


「そうか、戸締まりしろよ」


「え? この暑い日に何で?」


「そりゃお前がこんな時間に起きるなんて、旅行に行く日ぐらいだからな。ましてや昨日はゲーム始まりの日だ。こんな時間にお前が起きるわけがない。つまりこれは夢かもしくは今日吹雪になるかのどっちかだろう」


「何でそうなるの! いや確かにいつもこの時間には起きてないけど、今夏だよ! 今週終わったら夏休みだよ! 吹雪なんて降るわけ無いでしょ」


「ん? あ、お前もしかして寝てないのか。そういえば昨日昼まで寝てたしずっとゲームやってたんだろ」


「ギク!!」


おい口でギクって言うなよ。


「全く。今日はゆるしてやるけど次は取り上げることも視野に入れるからな」


「はーい」


「あ、ちなみに二人も一緒か?」


「光輝兄と美月姉ならずっと一緒だったよ」


「そうか。今日はどうする予定なんだ?」


「今日はひたすらレベル上げかな。エルダーウルフ戦ではレベル不足を実感したし。お兄ちゃん、またナツメちゃん借してくれない? ナツメちゃん居るともの凄くはかどるんだよね」


「ああ、少しなら良いぞ。最初は町の中にいるつもりだから」


ナツメが良いって言ったらだけどな。と付け加える。

朝食を食べたら部屋に戻ってログイン。




暗いな。リアルでは6時だからちょうど真夜中の0時か。

とは言え明かりの付いている店もあるしギルドなんかは24時間365日年中無休だ。

昨日作った鉄のインゴットで武器も作ってみたいしまた場所を借りよう。


でもその前に雑貨屋による。


「おばさんこれください」


「誰がおばさんだい……ってあのときの。どうだった。あの店は役に立ったかい?」


「はい、とても」


あの店は良い。静かだし何よりエマとの話は楽しい。

問題があるとすればちょっと遠いところだろうか。


「あの店には特殊なスキルを持ってないと意味のないものばかりだからね。お前さん持ってたのかい?」


「はい、たまたまですけど」


「そうかい。エマはああ見えて寂しがり屋だからね。たまに顔を見せにいってやりな」


「ええ、そのつもりです」


何となくそんな感じはしていた。あんなに奥にお店があるせいでほとんどプレイヤーがこないのだろう。また行く約束はしたし近々行くつもりである。


「はい、金床3個ね」


「有り難うございます。また来ます」


そう言って雑貨屋を出た。


「同世代の知り合いが出来たみたいだね……良かった」


……おばちゃんはリューヤを女だと勘違いしていた。







さてと時間はたっぷりあるげどその前に。


「【召喚】ナツメ、ラルミィ」


ナツメとラルミィを呼び出す。


「ナツメ、今日俺はココで作業をしているつもりだ。ルカ達の狩りに付いていきたいなら行っても良いぞ。もちろんラルミィもだ」


『ルカ? 誰?』


そういえばラルミィはルカ達に会ったことなかったな。


「作業とは昨日の奴か、あれはつまらなかったのじゃ。魔石の中にいたのじゃがあれの見学するなら狩りに行くのじゃ」


まあやってる俺は真剣だけど見てる側は退屈だろうしな。


『いい、ここに居る』


ラルミィは残るそうだ。ルカ達が起きるのは4時頃なのでそれまで部屋を取って昨日の続きをする。ナツメは戻ると言うことで送還する。


鉄のインゴットを二個取りだし、炉に入れる。そして鍛冶バサミで取り出してリズム良く同じ強さで叩く。


叩く叩く、ひたすら叩く。

叩いていくとだんだん腕が重くなっていく。


前はココで均等な強さで打てなくなりそうでやめた。ならば今回は。


「【ストレングスエンハンス】」


STRを上げてみる。

お、ちょっと腕が軽くなった。

STRを上げれば長い間降り続けることが出来るのか。良いことを知れた。


ダメージもないし一気に仕上げてしまおう。


鉄のメイス


鉄鉱石で作られたメイス

普段の工程ではあり得ないほどの長い時間叩かれていたのでもの凄く出来が良く

ミスリルのメイスにも引けを取らない攻撃力を持っている


制作者・リューヤ



鉄の大剣


鉄鉱石で作られた大剣

普段の工程ではあり得ないほどの長い時間叩かれていたのでもの凄く出来が良く

ミスリルの大剣にも引けを取らない攻撃力を持っている


制作者・リューヤ



鉄の片手剣


鉄鉱石で作られた片手剣

普段の工程ではあり得ないほどの長い時間叩かれていたのでもの凄く出来が良く

ミスリルの片手剣にも引けを取らない攻撃力を持っている


制作者・リューヤ



鉄のロッド


鉄鉱石で作られたロッド

普段の工程ではあり得ないほどの長い時間叩かれていたのでもの凄く出来が良く

鈍器としても扱えるほど攻撃力が高い

重いのがネック


制作者・リューヤ



ふう出来たな。大剣と片手剣とロッドは先ほど新しく買った金床で作った。コウとルカに送る予定だ。ミキ? 鉄のロッドって重いんだよね。まさに鈍器。これはミキでは扱えないのでナツメにあげることにした。


今度ミキ用のロッドとラルミィ用の装備作らなきゃな。


そろそろ時間か。


ピロン♪


『噴水広場で待ってるよ』


ルカからフレンドチャットが届いた。


『直ぐ行く』


と送って部屋を出た。


「お兄ちゃん来たよ」


ルカがあくびをしているコウとルカに言う。


「お前ら次今日みたいに徹夜をしたら言いつけるからな」


「「うぐっ……」」


今の言葉で目が覚めたみたいだ。


「ご、ごめんなさい」


「もうしません」


「よろしい」


反省はしてるようなのでこれ以上は言わないでおく。


「ホラこれ」


俺はさっき作った大剣と片手剣を渡す。


「これプレイヤーメイドの武器かって制作者・リューヤってお前が作ったのかこれ。普通に今持ってるのより強いし」


「【鍛冶】スキルなんていつの間に。でもこれはホント凄い強いよ」


「あら私にはないの?」


「悪いがミキの分は残念ながら作れなかった。もっと軽い鉄があれば良かったんだがなもしくはミキにもっとSTRが有れば」


「元々ロッドは木製だしね。それはしょうが無いわ」


「【召喚】ナツメ」


ナツメを呼び出し鉄のロッドを装備させる。


「ナツメ、扱えるか?」


「うむ問題ないのじゃ」


「ならよかった。今度ミキ用にも何か作ってみるよ」


「じゃあ楽しみにしておくわ」


そうして別れた。やはりミキ用に何か作らなくちゃな。何か良い物でもあれば良いんだが。そうだ魔石を使ってみるのはどうだろう。


魔力をためていざというときMP消費なしで打つとか。いや。魔石の中の魔力はは魔力操作か機械が必要になる。となるとワンタッチで出来た機械が動くような設計にしなきゃいけないけど。機械なんて作れないし作ったところでロッドになんか出来ない。ん? ロッド? まずそもそも何でロッドなんだ。魔法はロッドがなくても使うことが出来る。だがそれだと威力が落ちる。だったら別にロッドでなくても魔法の威力が上がれば問題ないんじゃないか。


良し、ちょっと実験してみよう。

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