第7話 説明回です
新しく覚えたアーツでコウとのPVPに勝利を収めた後、流石に目立ちすぎたので、負けていじけているコウを引きずりながら、近場の飲食店によることにした。
「お兄ちゃん強かったね。コウ兄はついさっきまでフィールドでモンスター狩ってたからレベル高いはずなんだけど」
ちなみに俺とコウのPVPは中継されていて噴水広場にいた人みんなが見ていたらしい。
「コウの【スラッシュ】と打ち合って互角だてのもすごいわね。コウって鬼人族だから筋力上がりやすいはずなんだけどね。良かったらステータス見せてくれない?」
「別にいいけど」
そう言ってステータスを三人にだけ見えるように設定し、三人に見せる。
PN:リューヤ
種族:天使族
LV:5
HP:500/500
MP:400/400
――――――――――――――――――
STR:5→10
VIT:5→14
INT:5→11
MND:5→15
AGI:5→10
DEX:5→10
――――――――――――――――――
職業:召喚士
ステータスポイント:18
いろいろ上がってるな。モルドさんとの戦闘のおかげだな。
あ! ステータスポイントまったく振ってないや。
「ね、ねえ私にはステータスポイントが全く振られてないのにステータスが全部二桁に見えるんだけど。MNDに至っては10台の折り返し地点まで行ってるんだけど。」
「ステータスポイントを全く振ってない奴に負けた……しかもこっちならβテスターの俺の方が先輩なのに。レベルもあっちの方が上……一体どんなレベリングしたんだ」
「ステータスポイントは1レベルごとに2ポイントだったよね。今5レベってことは4回レベルが上がったってことで4×2は8で最初に10ポイント貰えるから合計18ポイント。……あれ、おかしいな何度やっても答えが変わらないよ」
という具合になかなか面白いリアクションを見せくれる三人。因みに上からミキ、コウ、ルカである。
ステータスポイントを振ってないことがそんなにおかしいことなのだろうか?
その後三人が話し合っているのを見ながらコーヒーを飲む。あ、ナツメ召喚しておこう。
「【召喚】ナツメ」
魔石が光りナツメが出てくる。
メニューを渡し一つ頼んでいいぞと言うと食い入るようにメニューを見るナツメ。平和だな。
「お兄ちゃん!! 和んでないで私たちの質問に答えて」
その言葉に頷くコウとミキ。なるほど、先ほどの話し合いはなにを聞くかをまとめてたのか。それをまとめてルカに質問させると行ったところか。
「答えられることなら別にいいぞ」
「まずこの子は何」
ナツメを抱き上げながら言う。ナツメはメニューに集中し過ぎて抱き上げられたことにすら気付いていない。可愛い。
しかしなぜ今更そんなことを? あ、二人とも驚いている。好奇心に勝てなかったか。
「ステータス見ただろう。俺の召喚獣だよ」
「じゃあ天使族ってどうやって手にいれたの?」
2人の顔に真剣味が増した。ここからが本題なのだろう。
「種族を選ぶ時にランダムを選んだ」
「ランダム?」
「あ、そうか! β組はキャラを作り直してないから知らないのか」
「ああ、作り直すとβの特典も消えちまうからな」
そういうコウ達にランダムの話をする。
「うーんランダムでレアを狙うか無難に最初の職にするか、か……荒れるかもな」
「なんかそれずるくない? βの人は出来ないなんて」
「いや、逆に良かったと思うわよ。β組はすでに自分のプレイスタイルが決まってる人の方が多いだろうし、βの時はドワーフで鍛冶をやってたのにランダム使ったら鬼人族になって良い武器を作れないとか絶対起きるわよ」
「まあそうだな。多分俺に変えられる権限があっても変えなかっただろうな」
「じゃあ次の質問。そのデタラメなステータスはなに?」
「デタラメって言われてもこの世界のステータスの基準が分からないんだよ」
「この世界でステータスを上げる方法は二つあるわ。一つは純粋なレベルアップ。レベルアップでは上がるステータスは選べないわ。種族によって上がりやすいステータスと上がりにくいステータスが決まってるのたとえば鬼人族はSTRとVITが上がりやすいけどDEXが非常に上がりにくくなってるわ。二つ目はステータスポイントを振ることこれは自由に振ることが出来るわ。弱点を補うも良し長所をさらに伸ばすも良し、これによってその人のプレイスタイルが決まるわね。で、結局基準なんだけど、普通は5レベでステ-タスポイントを全部振って今のあんたのステ-タスにギリギリ追いつかないくらいね」
ミキが説明してくれる。
「は?」
おい待て俺はまだステータスポイント振ってないんだけど。振ってないのに追いつかないとかどういう状況だよこれは種族のせいなのか? それとも何か別の要因が……
「その反応を見る限り理由は分からないみたいね」
「ああ、悪い」
「わかんないなら良いのよ、次行きましょ」
「はいじゃあ次どこでレベリングしたの?」
「レベリングってレベル上げのことだろ。チュートリアル中にSQが発生してな。クリアしたらこうなった」
「SQの事とか色々突っ込みたいけど後にしとくぞ。続けてくれ」
「クリアしたらこうなった」
「え? おいもしかしてそれだけでここまでレベルが上がったってことか」
「ああ、そうだよなナツメ」
「うむ、クエストをクリアしたら主と我のレベルが4つ上がったの」
いつのまにかルカの手から抜け出していたナツメが先ほど頼んだパフェを食べながら言う。
「うーん、となるとおかしいのはクエストのほうか」
「そんなにおかしいのかその俺が受けたクエストは」
「ああ、召喚士は手に入れた経験値を召喚獣と勝手に分配して与えられてるんだよ」
「今は全ての経験値がナツメと俺に2等分されて与えられてるって事か?」
「そうなんだ。だから召喚士のレベルは上がりにくく召喚獣のレベルも上がりづらい」
「不遇ジョブとも呼ばれているわ」
「そうだったのか……あれ、じゃあ俺たちは2等分した上で4つもレベルが上がったのか」
「そういうこと。それで、どんなクエストだったの?」
「えっと確か名前は『モルドに認められよう』ってクエストだったな」
「はあ!? 『モルドに認められよう』ってあの鬼畜クエかっ!」
「鬼畜クエって?」
「鬼畜なクエストの略称よ。『モルドに認められよう』ってクエストはいろんなプレイヤーが挑んだけど誰一人としてクリアすることは出来なかったクエストよ」
「今掲示板で確認したけど被害者が続出してるって」
「『モルドに認められよう』ってクエストは一番最初に見つかったSQなんだがモルドが本気を出すって言ってから難易度がかなり上がるんだ。みんなそこで負けて終わってる。クエストは受けっぱなしに出来るから負けてもまた後で来れば受けられる。それでリューヤ、さっきクリアしたって言ってなかったか」
「ああ、本気だしたモルドさんは強かったな」
「どうやって勝ったんだ?」
「アーツで場外に吹っ飛ばした」
「モルドさんあいてにアーツ使うと大体避けられるかアーツで押し負けるかの2択なんだが」
「まあモルドさんがアーツ使った直後に使ったからな、避けることもアーツ使うこともできなかったんだろう」
「モルドさんにアーツを使われて何で生きてるんだよ」
「じゃあ最後に一つ。どうしてお兄ちゃん女の人みたいになってるの?」
「は?」
ミキが手鏡を俺に渡す。手鏡なんてあるのか。
覗いてみる。うん、確かにキャラクリエイトで作った顔だ。
「どこか変か? 髪を伸ばしただけなんだが」
「「「それだ!!!」」」
「そのせいで女っぽく見えたのか、元々女顔だしな」
イヤイヤそれだけで女に見えたりしないだろ。
「それにアバターのせいでもあるかもね。ここでは身体は種族とかでランダムで決まるから。ドワーフだと身長が低くなったり、エルフだと身体がスレンダーになったり。まあ、ランダムだから例外もあるんだけど、身長が変わることによって違和感が凄いって言うのもあって、なれないと長距離の移動は難しいのよね。噴水近くがごった返していたのはそういう理由であまり動けなかったって言うのもあるわね」
自分の身体を見るとかなりスレンダーな身体だ。この体型の女性ならいてもおかしくはないだろう。
「俺は現実と身長が変わらなかったから運が良いのか」
「リューヤの運が良いのはいつものことだろ」
「「激しく同意」」
解せん。
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