第5話 模擬戦終わり

「【インパクトシュートオオオオオオオオオオッッ!!】」



 思いっきり盾をぶん殴った。


「ぐおっ!」


 まさか初手で全力の攻撃としてくるとは思わなかったのだろう。

 モルドさんは俺の一撃を受け止めきれずに後ろに跳んで衝撃を殺す。


「ははは! いきなり全力でくるとはな」


「今ので盾を手放してくれればよかったんですけどね」


「まさか、俺たちにとって盾は生命線だ。此奴は死んでも手放さないぜ」


 たしかこっちの世界のNPCは召喚士や調教師の従魔を除き死んだら生き返らないんだったか。

 だったらさっきの言葉も頷ける、盾を手放したら後は殺されるだけだろうしな。


 となると破壊するしか無いのだが破壊出来るのだろうか?

 俺の持っているメイスだが説明がこうなっている



 初心者のメイス

 攻撃力:1

 耐久値:∞

 特殊効果:なし



 耐久値が∞なのは初期装備だからだろう。初期装備が壊れたら何も出来ないからな。

 問題はモルドの装備だ。あの盾の耐久値がこちらと同じく無限だった場合やとんでもなく高い場合、破壊することは出来ない。


 だが盾の耐久値を知る術が今は無い。


 となると盾がある状態で勝つしかない。


 どうすれば良いか考えたいが、もちろんそんなことは許されない。


「今度はこっちからいくぞ!」


 モルドさんが突きをを放ってくる。捌きにくい。

 こちらの攻撃は盾で防がれ、カウンターに剣を振るってくる。


 やりにくいやはり盾をどうにかしないとモルドさんは倒せない。


「避けたり防いだりしかして無いじゃないか、最初の威勢はどうした」


 モルドさんの攻撃を捌く、捌く、捌く、捌く。


 捌く、捌く、捌く、捌く、捌く、捌く、捌く、捌く、捌く、捌く、捌く、捌く、捌く、捌く、捌く、捌く、捌く、捌く、捌く、捌く、捌く、捌く、捌く、捌く、捌く、捌く、捌く、捌く、捌く、捌く、捌く、捌く、捌く、捌く、捌く、捌く、捌く、捌く、捌く、捌く。


 捌きながら考える。

 どうすれば盾に防がれない?


 どうすれば攻撃を加えられる?


 どうすれば勝てる?


 どうすれば……


「ここまで捌かれるとはな、たいしたもんだ。そろそろこっちも本気出すぜ」


 そう言うとモルドさんの剣の速さが更に増す。

 流石に捌ききれずに少しずつダメージを食らう。

 このままだと削りきられる。どうにか抜け出さないと。


 そう考えたリューヤはバックステップで距離を取ろうとするが、それを待っていたと言わんばかりにモルドが思いっきり踏み込んでアーツを放ってきた。


「【スラッシュ】」


 モルドの剣が光り輝くその瞬間......


「それを待っていた」


 リューヤは先程とは打って変わって前に出た。


 アーツはいわば必殺技のようなもの。

 だがアーツには弱点がある。


 それは剣が同じ軌道を描くこと。何回やっても【スラッシュ】のアーツは放った人の目の前に放たれる。

 逆に言えば目の前にしか効果はない。ならばアーツを放った時に目の前に人がいなければ......


 当然空振りである。


「しまった!!」


 モルドが気付いた時はもう遅い。

 リューヤは突進してきたモルドを右に避け、振り向きざまに。


【インパクトシュートオオオオオォォォォッッ!!】


 思いっきり振り抜いた。


 モルドは背中にリューヤ渾身のアーツを受け、そのまま場外まで吹っ飛んだ。



 ――――――――――――――――――

 SQシークレットクエスト:モルドに認められよう


 内容;モルドと模擬戦をして認められよう


 報酬:【クイックチェンジ】のスキルソード


 クエストクリア

 ――――――――――――――――――



 おっ、クエストクリアか。

 っていくかもの凄い吹っ飛んだけど大丈夫かな。


「よっと。あー負けた負けた」


 あ、思ってたよりピンピンしてる。よかった。


「いやーまさか加減しているとはいえ負けるとはな」


「結構ぎりぎりでしたよ。アーツ打たれてなかったら負けてました。」


「普通はアーツ打たれてたら負けるんだけどな」


 モルドは呆れたように言った。


「ほら【クイックチェンジ】のスキルソードだ」


「ありがとうございます」


『リューヤはレベルが上がった』

『リューヤはレベルが上がった』

『リューヤはレベルが上がった』

『リューヤはレベルが上がった』

『ナツメはレベルが上がった』

『ナツメはレベルが上がった』

『ナツメはレベルが上がった』

『ナツメはレベルが上がった』


 おっ、レベルが4つも上がった。ナツメのレベルも上がったってことは召喚中は経験値は分けられるのか。

 ん? じゃあナツメを召喚してなかったらもっとレベルが上がってたのかな。まあ後で調べれば良いか。


 それはともかく今はスキルソードだ。さっそく自分の手に刺す。


『【クイックチェンジ】を取得しました』


 スキル欄を見るとちゃんと【クイックチェンジ】とのっている。タップすると……


『控えの装備と名前を登録してください』


 俺は今持っているメイスと現在着ている装備を登録した。

 名前は……メイスで良いか。


『登録完了しました。現在持っている武器をしまいますか?』


「はい」


 メイスがシュンと音を立てて消えた。

 試してみるか。


「【クイックチェンジ】タイプメイス」


 そう言うと手にメイスが現れた。


 うわ、これめっちゃ使いやすい。

 レベル上げてくと控えに出来る装備の種類も増えるらしいし、このスキルありがたい。


「悪いけどここでもらえる武器は一つだけだから剣は武器屋で買ってくれ」


「いえありがとうございます。さっそく行ってきます行こうナツメ」


「あ! ……魔法のチュートリアルとギルドの説明終わってないんだけど……もう行っちまったしまあ良いか」


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