第4話 模擬戦します

「俺はモルドって言うもんだ。ジョブは剣士だ。アーツの使い方を教えている。よろしくな」


「私はリンデよ。ジョブは見ての通り魔法使い。魔法の使い方を教えているわ。よろしくね」


「よろしくお願いします」


『どちらのチュートリアルを受けますか?』


 どうしようか。召喚士のジョブを考えると魔法なんだろうけど召喚中はMPが半分無くなるんだよな。流石に半分もっていかれるとそんなに魔法使えないだろう。

 そうなると武器を持って前に出た方が良いような気がするな。うん、そうしよう。べつに前に出ちゃ行けないなんて決まり無いしな。


「モルドさんのチュ-トリアルを受けます」


「よし、じゃあ武器を選んでくれ」


 目の前に項目が現れる。

 剣・槍・斧・弓・杖・グローブ・etcと色々あるな……ん? 杖って魔法じゃ無いのか? まあ魔法使いなんてMP無くなったら何も出来ないしな。そういうときに殴ったりするんだろう。


 とりあえず剣を選んでみる。すると剣の種類が表示された。

 片手剣・大剣・短剣。この3つの種類から選べるようだ。まあ全部使ってみれば良いか。

 片手剣を選ぶ。


『【剣術】スキルを取得しました』


 お! スキルをもらえた。取得条件は武器を持つことかな? 簡単だな。いやでもそうしないといつまでもアーツが使えないか。


「スキルは取得したな。まず俺が手本を見せるから真似してみろ」


 モルドさんはそう言うと右手に持っていた剣を構えアーツの名を叫んだ。


「【スラッシュ】」


 すると剣が光り出しもの凄い速さで上から下へと振り下ろされた。

 今のがアーツか。かなり速かったな。威力も高そうだ。


「今のが【剣術】スキルのレベル1で覚えられるアーツの【スラッシュ】だ。今のお前でも使えるはずだぞ。使ってみろ」


 俺はその言葉を聞き、先ほどのモルドのように剣を構え叫んだ。


「【スラッシュ】」


 うおっ! という言葉とともに転んでしまった。【スラッシュ】は発動したのだが身体がついて行かなかった。剣が勝手に動くこの感覚、慣れが必要だな。


「ははは! やっぱ転んだか。アーツを使ったことが無いやつって初めて使うと転ぶんだよ」


 転ぶことを分かっていたなら教えてくれても良いのに。



『【槍術】スキルを会得しました』

『【斧術】スキルを会得しました』

『【弓術】スキルを会得しました』

 ・

 ・

 ・


 フム……色々試したがどれも大体使えるな。スキルの補正かな。さて、メインウェポンはどれにするかな。どうしようか。


「まだメインウェポン決まってないのか」


「はい、個人的にはメイスが一番使いやすかったんですが、剣も使いたくて」


 折角こんな世界に来たんだ。剣とか使ってみたい。


「そうか。なら良いスキルがあるんだが」


「良いスキル? どんなスキルなんですか」


「【クイックチェンジ】ってスキルでな、一瞬で武器を持ち帰ることが出来るんだ。」


「なるほどそれなら剣もメイスも使えますね。それ欲しいです。どうすれば取得できますか?」


「そうだな。スキルソードなんかで取得するんだが、実は一つ持ってるんだよな。俺はすでに取得してるし、これを上げても良いぜ」


 スキルソードとは簡単にスキルを覚えることのできるアイテムでこれを身体に刺せばそれだけでスキルが覚えられるという使い捨てアイテムだ。本来はボスドロップだったりクエストの報酬だったルする。


「え、くれるんですか」


「ああ、ただし模擬戦で俺に勝てたらな」



 ――――――――――――――――――

 SQシークレットクエスト:モルドに認められよう

 内容;モルドと模擬戦をして認められよう

 報酬:【クイックチェンジ】のスキルソード


 このクエストを受けますか

 ※受けなかった場合このクエストは二度と現れません

 ――――――――――――――――――



 あれ? ……なんかクエスト始まったぞ。


 まあクエスト報酬が【クイックチェンジ】のスキルソードならうけるしかないよな。


「受けます」


「よし、ならさっそく始めるか」


 モルドさんはそう言うと剣と盾を構えた。

 俺は武器をメイスにしてモルドさんと向かい合った。


「結局武器はメイスにしたのか」


「ええ、剣は【クイックチェンジ】が手に入れば使えますから」


【クイックチェンジ】が手に入れば剣も使える。なら今は使いやすかったメイスの方が良いだろう。


「お、勝つ気満々だな。まあ俺もお前のレベルに合わせて加減はしてやるさ」


 あ、そう言えば現在レベル1だった。完全に忘れてたな。


 ……よくよく考えてみたら自分よりも明らかに強い人と戦おうとしてたんだな。今の言葉が無かったらそのまんま戦ってたな。



 ……瞬殺されるだろうな。



 まあ今は模擬戦だ。出来ることを思いっきりやろう。


 こっちはメイス、モルドさんは片手剣と盾。

 盾で防がれたところを剣で切りつけられて終わりそうだな。


「じゃあ始めるぞ。そちらからどうぞ」


 PVPの場合は専用のステージへの移動などがあるらしいが、今回は相手がプレイヤ―では無いモルドさんので専用ステージの移動は無いようだ。


 さてどうするか。さっきのビジョン通りになるのは避けたい。

 けどメイスを振るったら防がれるのは当たり前。どうすればいい。


 俺はモルドさんに向かって走りだす。


 防がれるのが分かっているのなら……




 防がれても反撃できないような攻撃を与えれば良い。


「【インパクトシュートオオオオオオオオオオッッ!!】」




 思いっきり盾をぶん殴った。

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