第3話 チュートリアル受けます

『OLFWの世界へようこそ』


 その直後、目の前に扉が現れ独りでに開いた。


「ありがとうございました」


 俺はどこからともなく聞こえる女性の声にお礼を言ってから、その扉をくぐった。


「おおっ、こりゃ凄いな。あの三人が薦めるのも頷けるな」


 まるで現実のようだ。最近のVR技術は凄いと聞いていたがここまでとは。

 そう言えば種族はどうなった。



 PNプレイヤーネーム:リューヤ

 種族:天使族

 LVレベル:1

 HPヒットポイント:100/100

 MPマジックポイント:50/50

 ――――――――――――――――――

 STR筋力:5

 VIT物理耐久:5

 INT魔法力:5

 MND魔法耐久:5

 AGI速さ:5

 DEX器用:5

 ――――――――――――――――――

 職業:召喚士


 ステータスポイント:10



 おおっ、やった、レア種族だ。どうやら5%を引いたようだ。

 天使族か。あっ、背中に羽生えてる。ちょっと邪魔だな、などと考えたらフッと消えた。消すことも出来るのか。

 頭にリングは……流石に無いようだ。有ったら凄い目立っていただろう。


 現在時刻は現実で14時10分。OLFWの中では8時40分。

 OLFW内では、現実より四倍ほど時間の流れが速い。こっちで四秒たてば現実で一秒つというゲーマーにとても親切設計なのだ。脳の負担を極限まで減らしたようで、時間制限はほとんど無い。

 ちなみに14時にサービス絵を開始したのはOLFWの時間が朝になるのを待つためだそうだ。そりゃNPCからしたら真夜中にプレイヤーがぞろぞろ現れたら、いい迷惑だろう。


 VRギアは最新式なので使用者に危険が迫ると強制ログアウトさせられるそうだ。何でもこの機能が無いと脱水症状になる人が多いとか。安全面は考慮されているので思いっきり遊べる。


 とりあえず現在も人がぞろぞろ現れているのでここから離れよう。

 えっと確かチュートリアルは目の前の冒険者ギルドで受けられるんだったか。行ってみよう。


 中に入ると急に人がいなくなった。これはおそらくチュートリアルの時の仕様なのだろう。なのでさっそく受付でチュートリアルを受けられるか聞いてみよう。


「あの、チュートリアルってここで受けられますか?」


「はい、こちらで受けることが可能になっています。受けますか?」


「はい! 受けます」


「それではこちらへどうぞ」


 そう言って通されたのは奥にある闘技場のような場所。


「こんにちは、今回チュートリアルを担当するノルンだよ。よろしくね」


「よろしくお願いします」


「まず君のステータス欄を見てみて。そこに職業が書いてあるだろうから。そこをタップすることで出来ることが分かるよ」


 召喚士の部分をタップする。



【召喚士】


 魔石とMPを消費して召喚獣を呼び出すことが出来る。

 最初の召喚以外は自身の最大MPの半分を消費することにより召喚できる。

 召喚可能数:1体



 ふむ、困った。魔石なんて1つも……あ、くれるんですか。流石チュートリアル。入手方法も知らないからな。終わったら調べてみよう。


「それじゃあ実際にやってみよう。魔石を握って【召喚サモン】って唱えれば君の従魔が出てくるはずだよ」


 言われたとおりやってみる。魔石を握りしめて……



「【召喚】」



 すると手に中の魔石が光り出し形を作っていく。

 そして光が収まった時には……









 幼女が立っていた。



 なぜに幼女?


「ん? ここは何処じゃ?」


「え、えっと、はじめまして。俺はリューヤ。召喚士だ。君は?」


「私は……ん? 何も思い出せん。私の名前は……なんだったかの?」


 記憶喪失か? それにしてもこの子が召喚獣なのか? ほとんど人間にしか見えないんだが。


「これは珍しいね。人型の召喚獣か。あ、そうそう名前やら何やら思い出せないのは記憶がもともと存在してないからなんだよ」


「存在してないって今俺が召喚する前の記憶が一切無いのか?」


「そういうこと。動物型なんかは本能でそういうのがわかるらしいんだけど人型の子はよく混乱するらしいよ」


「そうなんですか」


 AIの技術が高いのだろうか?ずいぶん混乱しているように見える。


「そこでリューヤくん、彼女に名前をつけてあげて。人型の召喚獣は名前をつけると落ち着くらしいから」


「ふむ、よくわからんがつけて見るか」


 どうするか。


「よし決めた。お前の名前はナツメだ」



 そして名前を付けた直後幼女……もといナツメの身体を淡い光が包んで消えた。


「およ? 何じゃ? 頭の中に何かが流れ込んでくるのじゃ」


「うん! 名付けは成功したみたいだね。これで召喚獣の能力がいくつか解放されたよ。彼女のステ―タスは召喚主の君でも見られるはずだよ」


 ナツメのステータスを見てみる。



 CNキャラクターネーム:ナツメ

 種族:龍人

 LVレベル:1

 HPヒットポイント:100/100

 MPマジックポイント:50/50

 ――――――――――――――――――

 STR筋力:7

 VIT物理耐久:4

 INT魔法力:8

 MND魔法耐久:4

 AGI速さ:6

 DEX器用:3

 ――――――――――――――――――

 職業:従魔


 ステータスポイント;10



 おい、ナツメさんや、あなた龍人族だったのかい。


 おっといけない口調が変になってしまった。


 龍人族か、レア種族の一つにありそうな種族だけど従魔として出ていると言うことは魔物の方に分類されているのだろう。


「ふむ、なるほど。なんとなくじゃが分かったのじゃ。つまり私はリューヤに召喚された従魔と言うことなのじゃな。で私の名前はナツメだと、そういうことで良いのじゃな」


「ああ、その認識で問題ない。よろしくな、ナツメ」


「うむ、よろしくなのじゃ主殿」


「うん。じゃあ名付けもすんだし次行ってみよう。といっても教えるの私じゃ無いけどね」


 そう言ってノルンさんと入れ替わりに二人の男女が出て来た。

 男性の方は片手に剣を持ちもう片方には盾を持っている。いかにも剣士って感じの人だ。

 女性の方は手に杖を持っていてローブを羽織り、三角帽をかぶっている。まさに魔女って感じだ。

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